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企業情報研究開発

2016年4月13日

発表者からのレポート

2016年3月20日から25日までの6日間、中国の上海で、IEEE Signal Processing Society主催の国際会議ICASSP 2016 (the 41st IEEE International Conference on Acoustics, Speech and Signal Processing) が開催されました。ICASSPは信号処理に関する世界最大の国際会議であり、幅広い分野の研究成果が毎年発表されます。たとえば、音声を聞き取りやすく変換する音声強調技術や、音声対話を実現する音声認識技術などの音響・音声信号処理を初めとして、信号処理の基礎理論、信号処理のための機械学習、画像・映像信号処理、無線通信信号処理、生体信号処理などに関する研究が発表されます。今回のICASSP 2016では、2682件の論文が投稿され、査読の結果、1265件が採録されました(採録率47%)。2300人以上が参加し、最新の研究について活発な議論が行われました。


図1 提案技術の説明
拡大図

ICASSP 2016において、日立製作所研究開発グループより、「Adaptive Boolean Compressive Sensing by Using Multi-Armed Bandit」と題して発表を行い、「グループテスト」の解決法に関する研究成果を報告しました。グループテストは、遺伝子解析のスクリーニング、ネットワークの異常検知、広範囲の危険物質のモニタリングなどに共通して現れる課題であり、その解決法も幅広く応用することができます。グループテストとは、検査対象のたくさんのサンプルから少数の異質なサンプルを見つける課題です。もし、検査対象の全サンプルを個別に検査すると、たくさんの検査回数を要してしまいます。これに対し、グループテストでは、検査回数を減らすため、全サンプルを個別に検査する代わりに複数のサンプルを混ぜた混合サンプルを作り、その混合サンプルに対して検査を行います。混ぜる組み合わせを変えながらこの検査を繰り返すと、複数の検査結果が得られていきます。そして、これらの検査結果を統合することで、なるべく少ない検査回数で異質なサンプルを発見します。従来、検査対象に含まれる異質なサンプルの多さに応じて混ぜるサンプル数を適切に制御しなければ、発見に要する検査回数が多くなってしまうという問題がありました。異質なサンプルの多さは事前には分からないので、混ぜるサンプル数の制御は難しい課題です。今回の発表で提案した技術では、信号処理分野で研究されている「圧縮センシング」と呼ばれる技術と、人工知能分野で研究されている強化学習の一手法である「多腕バンディット」と呼ばれる技術とを組み合わせることにより、混ぜるサンプル数を適応的に制御して、なるべく少ない検査回数で異質なサンプルを発見することが可能になりました。

(川口 洋平    記)

関連論文

  • Y. Kawaguchi and M. Togami, "Adaptive Boolean Compressive Sensing by Using Multi-Armed Bandit", in Proc. IEEE ICASSP, 2016.
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