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企業情報研究開発

車載ECU向け差分更新技術

GCCE2016にて発表

2016年11月7日

発表者からのレポート


写真1 発表風景

2016年10月11日から10月14日に、京都にて Global Conference on Consumer Electronics (GCCE2016) が開催されました。GCCEは、コンシューマエレクトロニクス(情報家電)分野に関する国際会議であり、本会議においては、152件のoral presentationと88件のposter presentation、12件のdemo presentationが実施されました。

筆者は「Incremental update method for resource-constrained in-vehicle ECUs」と題して、自動車に搭載されたECU (Electric Control Unit) の制御ソフトウェア更新技術についての発表を行いました(写真1)


図1 提案方式
拡大図

近年、自動車システムに搭載される制御用ソフトウェアの規模は増大の一途をたどり、より複雑化しています。また、自動車システムがネットワークに接続される、いわゆる"コネクテッドカー"の普及が始まり、自動車がセキュリティリスクにさらされるようになってきています。このような状況で、コンシューマエレクトロニクスの分野でデジタルテレビや携帯電話にすでに導入されている、OTA (Over the Air firmware/software update) 技術の自動車分野への導入が検討されています。OTAは、無線によるソフトウェアの遠隔更新技術であり、これを用いることで、自動車の所有者に、ソフトウェアの更新のために自動車をディーラーに持ち込む、などの手間をかけることなく、機能向上やセキュリティリスクへの対策を行えるようになります。

本発表では、自動車分野にOTAを適用するにあたっての課題の一つである更新時間の短縮を目的として、ECUソフトウェアの更新に差分更新技術を適用する方法を提案しました。差分更新とは、新旧バージョンのプログラムの差分を抽出し、差分のみを抽出して更新対象の機器に送信することで更新に必要な通信量を減らす技術です。自動車システムを構成するネットワークは低速なCAN (Controller Area Network)*1が主流であり、更新時間の大半はネットワーク転送時間であるため、差分更新技術を適用して通信量を減らすことは、時間短縮に効果があります。車載ECUに差分更新技術を適用するにあたっての課題は、復元時のメモリ量の削減です。提案方式では、PCプログラム向けの差分圧縮技術であるBSDIFF*2に対して「差分抽出データの分割」「データ構造の直列化」「圧縮アルゴリズムの変更」という3つの改善を施すことで使用メモリ量を削減し、車載ECUの限られたリソースでも差分更新を適用可能であることを示しました(図1)

*1
CANはRobert Bosch GmbHの登録商標です。
*2
http://www.daemonology.net/bsdiff/
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