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企業情報研究開発

2015年11月12日

発表者からのレポート


写真1 発表風景

2015年10月4日から7日にかけて富山県の富山国際会議場にて、ISOM 2015 (International Symposium on Optical Memory 2015) が開催されました。ISOMは世界最大の光メモリに関する国際学会です。ISOM 2015の発表はオーラルとポスターの両セッション併せて72件で、企業や大学によるホログラム、ナノフォトニックマテリアル、LD/LEDやその応用に関する発表がありました。日立製作所研究開発グループでは、情報通信イノベーションセンタから6件、エレクロトニクスイノベーションセンタから1件の発表を行いました。その中でわたしは「ホログラフィックメモリドライブにおける高速参照光角度制御技術」と題し、発表を行いました(写真1)

これまで情報通信イノベーションセンタでは次世代光メモリとして知られるホログラフィックメモリを開発してきました。今回、特に再生時の高速なデータ転送速度を実現するための要素技術である角度多重型ホログラフィックメモリにおける参照光の高速角度制御に関する発表を行うことができました。


図1 ホログラム再生における課題
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ホログラフィックメモリの再生では温度変化、吸湿、感光に伴う膨張収縮によって最適な参照光角度が常に変化する記録媒体に対して、再生品質を確保するためには最適角度から数ミリ度以内の精度に制御しなくてはならないという課題がありました(図1)。そこで、情報通信イノベーションセンタでは光軸を用いて最適角度を検出する光軸エラー信号検出用の光学系を新規に開発しました。また、この光学系を用いた高速制御を実現するため、従来のFSC(Final-State Control : 終端状態制御)による初期制御入力に対して光軸エラー信号検出のタイミングに当該エラー信号を基に導出した追加制御入力を加えることで最適な参照光角度への高速移動を可能にするAFSC(Adaptive Final-State Control : 適応型終端状態制御)を開発しました(図2)。AFSCを適用した実機の検討ではホログラムの記録単位であるページ間の移動において、目標とした300マイクロ秒以内での移動を実現しました。また、複数ページの連続移動においてもすべてのページにおいて回折光量が最大となる最適角度への位置付けを実現しました(図3)。この技術によりページ間の移動時間を大幅に短縮し、数ギガbpsクラスの高速なデータ転送速度を実現する見込みを得ました。


図2 提案する適応型終端状態制御
拡大図


図3 複数ページの連続移動時の回折光量
拡大図

今回の学会では本発表だけでなく、これまで情報通信イノベーションセンタが開発してきたホログラフィックメモリに関する多くの技術の発表の機会となり、大容量・高速転送速度のホログラフィックメモリドライブを実現する最先端技術をアピールすることができました。

なお、本発表は東海大学との産学共同研究における開発技術の成果の一部です。

(山田 健一郎    記)

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