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企業情報研究開発

2015年11月4日

発表者からのレポート


図1 ホログラフィックメモリの特徴
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2015年10月4日から8日にかけて富山市の富山国際会議センターにてInternational Symposium on Optical Memory(ISOM)2015が開催されました。ISOMは世界最大の光メモリに関する国際学会で次世代光メモリに関する技術を中心に数多くの発表が行われます。ISOM 2015の参加者は117名で発表は72件に上り、日立からはホログラフィックメモリに関する技術の6件、カメラの焦点深度拡大技術の1件、石英ガラスと超短パルスを用いた億年記録技術の1件の計8件を発表しました。

日立ではBlu-lay Discの10倍以上の記録容量と転送速度を実現する次世代光メモリとしてホログラフィックメモリに関する研究を行っています。ホログラフィックメモリは、従来の光ディスクで行っていたbit-by-bitの記録とは異なり2次元データを一度に記録再生し、さらにホログラムの原理を利用して3次元的に情報を記録するため、転送速度と記録容量の大幅な向上が見込めます(図1)

日立では同一個所への数百回の多重記録、さらにRun Length Limited(RLL)変調を用いた高密度記録技術(図2)で2.4TB/inch2の記録密度を実現しています。さらなる高密度化のために光の位相情報を用いた研究に取り組んでおり、筆者は「ホログラフィックメモリにおける位相4値信号RLL変調を用いた高密度記録技術」について発表しました。本発表では、扱う信号を従来の振幅2値から位相4値へ変化させ、情報量を倍にした場合でもRLL変調を用いた高密度記録が可能となる方法について示しました。


図2 RLL変調を用いた高密度化
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図3 提案する位相4値対応RLL変調方式
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ホログラフィックメモリでは記録信号として光の強度情報(我々が普段感じる光の明るさ)を用いる方法のほかに、光の位相情報を用いる方法があります。位相情報を用いることで記録する信号を2値から4値にすることが容易になり、記録密度を倍にすることが可能となります。しかし、記録する信号を4値にするとRLL変調方式が複雑化し、演算量や回路規模の増大につながります。そこで4値の位相情報を複素数の形で表現し、
(1)実部2値信号と虚部2値信号に分離
(2)分離した信号をそれぞれ従来と同じRLL変調
(3)RLL変調した2つの信号を加算して4値信号を形成(図3)
という4値の変調を可能とする方式を提案しました。これにより演算量の増大を抑えつつRLLを用いて従来比2倍の高密度記録を達成する見込みを得ました。

このように、ISOM 2015において、ホログラフィックメモリのさらなる大容量化を実現する最先端技術をアピールすることができました。

(田島 和幸    記)

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"Blu-ray Disc"はBlu-ray Disc Associationの商標です。
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