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Hitachi

企業情報研究開発

2015年8月5日

発表者からのレポート

2015年6月30日から7月3日にかけてインドネシアのバリ島にてアンテナ・電磁波伝播の国際会議2015 IEEE 4th Asia-Pacific Conference on Antennas and Propagationが開催されました。本国際会議はアンテナ技術、電磁界解析技術およびその応用技術を対象としており、中国、シンガポール、日本、インド、米国、欧州などから大学、企業の研究者が参加し活発な議論が行われました。

日立製作所研究開発グループからは電磁界解析技術とその応用に関するセッションにおいて2件の発表を行い、筆者は「Ground planes resonance suppression technique of glass interposer using high-resistivity via holes for high-speed serial links」と題して、サーバ・ルータなどの情報処理装置を高性能化するためのガラスインターポーザの電気特性改善技術に関する発表を行いました。

スマートフォンの普及もあり情報処理装置の伝送容量は年1.4倍の比率で増加しており、数年内に10Tbps級が必要と予想されています。これには、情報処理装置内のプロセッサとメモリ間や複数のプロセッサ間の通信速度の向上が不可欠です。しかし、高速な信号はプリント基板内配線での損失が大きく、伝送速度の向上が難しくなっています。これを解決する技術として、一つのLSIパッケージ内に複数の半導体チップと、インターポーザと呼ばれるµm級微細配線基板を内蔵することで、チップ間の信号数を増やし、劇的に伝送速度を向上させるシステム・イン・パッケージ技術が注目されています(図1)


図1 システム・イン・パッケージの構造の例
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図2 ガラスインターポーザにおけるプレーン共振
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インターポーザの材料候補にはSiやガラスがあります。本研究では、Siより低コストかつ低損失である点から有望視されているガラスインターポーザに注目しました。ガラスコアが低損失であることは信号伝送にとって有利ですが、一方で信号配線から漏れ出した電磁波の一部が減衰せずにガラスコア内で反射を繰り返すために、ガラスコアのサイズに応じた周波数で共振を引き起こします。これにより信号波形が歪んだり、不要な電磁波が放出されたりして、問題となります(図2)。そこで、ガラスコアの上下導体プレーンを接続するビアの一部に高抵抗材料を使用することで、共振を抑える構造を提案しました(図3)。共振電圧の腹の位置に配置された高抵抗ビアが共振のエネルギーを消費し熱に変換することで、共振を抑えることができます。電磁界シミュレーションを用いて、共振のしやすさをあらわすQ値を計算することで、インターポーザの四隅に一つずつの高抵抗ビアだけでも、多くの共振モードを抑えられることがわかり(図4)、ガラスインターポーザの電気的特性が改善できることを示しました。今後もガラスインターポーザを含む情報処理装置の高性能化技術に取り組んでいきます。


図3 提案する共振抑制構造
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図4 提案構造による共振Q値低減効果の解析結果
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(遠山 仁博    記)

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