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企業情報研究開発

2014年4月1日

発表者からのレポート

2014年2月16日から20日にかけてアメリカのカリフォルニア州サンディエゴにて、鉱物・金属・材料分野において最大級である国際会議TMS2014 (The Minerals, Metals and Materials Society 143rd Annual Meeting & Exhibition) が開催されました。本国際会議は近年、エネルギーや資源循環などの分野も対象としており、報告分野は多岐に渡っています。今回は70以上の国々から4000人以上の発表がありました。

横浜研究所からは、日立グループで開発したレアアース磁石リサイクル技術について、その全体の取り組みと、横浜研究所で開発した乾式レアアースリサイクル技術、開発リサイクルプロセスの環境影響評価をそれぞれ"Environment-Friendly Recycling Process for Rare Earth Metals in End-of-Life Electric Products","Recovery of Rare Earth Metals in Used Magnets by Molten Magnesium","Assessment of Environmental Impact of Rare Earth Metals Recycling from Used Magnets"と題して3件の発表を行いました。

レアアースであるネオジム(Nd)、ジスプロシウム(Dy)は高性能磁石に使用され、製品の高性能化に不可欠な原料の1つとなっています。しかし、鉱山の偏在、生産国の輸出規制からレアアースの調達には不安定さが伴います。このため、使用したレアアースを回収し再利用することの重要性が高まっています。

日立グループでは、使用済み電気製品を対象とした磁石を取り出すための自動解体技術と、磁石からレアアース元素を分離回収するためのレアアース回収技術を開発し、回収したレアアースを磁石製造に再利用できるリサイクルループを確立しました(図1)。 発表の1件目は、このリサイクルループに関するもので、それぞれの工程について、1日あたり数kg〜数10kgの規模で処理できる設備を試作して検証した結果を報告しました。また、このリサイクルループのうちレアアース回収技術は、薬液を使用しない乾式プロセスで、廃棄物が少なく環境負荷が小さいことが期待されます。具体的には、高温の溶融マグネシウム(Mg)を用いて、Mg中にレアアースのみを浸出させたのち、Mgを蒸留することで、レアアースを磁石の他の成分と分離して回収します(図2)


図1 日立グループの取り組み
拡大図


図2 開発した乾式レアアースリサイクル技術
拡大図

発表の2件目では、その詳細な処理条件や、レアアース中でも高価なDyの回収率を高めるための指針について報告しました。また、この溶融Mgを用いた抽出プロセスの環境負荷を、独立行政法人産業技術総合研究所が開発した環境影響統合評価手法を用いて評価した結果を、発表の3件目で報告しました。Mgの加熱に必要なエネルギーが全体の不可に占める割合が大きく、分離に用いるMg量を低減することでさらに環境負荷が低減できることを見出しました。

発表後、海外の大学や政府系エネルギー研究機関の研究者、Mg製錬企業の技術者から、製品の解体から有用元素の取出しまで一貫した技術開発に対する高い評価や、実用化へ向けた課題、また環境影響の評価結果に基づく今後の技術開発の方向性に関する質問など、多数の反響を頂きました。

なお、本研究は経済産業省の平成21年度補助金で実施された高性能磁石モータ等からのレアアースリサイクル開発技術、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の平成22年度助成金で実施されたレアアース磁石利用製品からの磁石分離およびレアアース回収技術の開発、同平成24年度助成金で実施された使用済製品からの高性能磁石リサイクルシステム構築のためのレアアース分離技術の開発の成果の一部です。また、乾式レアアース抽出装置の開発に際しては、東邦チタニウム株式会社殿のご協力をいただきました。

(赤堀 友彦、佐伯 智則    記)

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