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企業情報研究開発

2014年7月2日

発表者からのレポート

2014年6月1日〜5日にかけて、シンガポールにおいて、SIWW 2014 (Singapore International Water Week 2014) が開催されました。シンガポールは東京23区と同じくらいの面積の島に500万人が住み、水の安定供給が国家の課題です。そのため、政策として水処理技術の研究拠点「グローバル・ハイドロ・ハブ」となることをめざしており、その一環として、SIWWを2008年から開催しています。SIWWでは、水処理から水事業の管理・運営までの多岐にわたる分野の技術が発表されるWater Convention, 世界各国の水処理技術の集まる展示会Water Expo, 行政関係者が集まるWater Cities Summitなどが同時開催され、今年は全体で118か国から2万人が参加しました。Water Conventionでは、ポスター、口頭発表ともに約200件が発表されました。

横浜研究所からは、日立製作所の事業の1つである海水淡水化システムに活用する新しい水質評価技術を「Water Quality Evaluation Method for RO Fouling Potential Using Quartz Crystal Microbalance」と題して発表しました。

海水淡水化システムは、海水中の塩分を除去するために逆浸透膜を用います。逆浸透膜は塩分を通さず、水分子のみを透過するろ過膜です。高効率運転には、海水に含まれる物質により表面が汚れて目詰まり(ファウリング)が発生することを抑制することが重要ですが、水中のファウリング物質量を直接検出する手段がないため、逆浸透膜に海水を送るポンプの圧力上昇からファウリングを確認しており、ファウリングの検出までに時間がかかります。


図1 海水淡水化システムの模式図と開発技術の特徴
拡大図


図2 圧力上昇と各種水質評価指標の相関
拡大図

横浜研究所の開発した技術では、高感度な水晶振動子マイクロバランスのセンサー上に逆浸透膜の表面を再現することでファウリング物質を選択的に捕捉してその重量を測定します(図1)。実験室スケールの海水淡水化システムを運転して、ポンプの圧力上昇と開発技術による評価値の相関を検証したところ、既存の水質評価指標よりも相関が高く、ファウリングの危険性を迅速に定量評価できることを示しました(図2)。また、どのような物質がファウリングを起こしやすいかについての基礎的なデータを得ることにも活用でき、モデル物質とされているものよりもさらにファウリングを起こしやすい物質を見出しました。

発表後、本技術の適用できる範囲や今後の日立グループ内での展開などについての質問があり、実用化への期待の声をいただきました。

(中野 敬子    記)

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