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企業情報研究開発

2013年7月11日

発表者からのレポート


写真1 会場 Ghent University


写真2 IM 2013 での発表

2013年5月27日から31日の5日間、IFIP/IEEE International Symposium on Integrated Network Management (IM 2013) がベルギーのGhentで開催されました。IFIP/IEEE IMは、コンピュータネットワークの運用管理における代表的な国際会議であり、世界中から300名以上の研究者の参加がありました。

横浜研究所は、「マルチテナント型データセンタにおけるネットワーク機器設定の事前検証方式の提案」と題して発表を行いました。

近年では、一般公開向けのWebシステムや社内業務システムなどのIT システムを、事業者が保有するデータセンタで稼働させることが一般的となってきました。マルチテナント型データセンタは、ネットワーク機器やサーバ機器などの物理機器を複数の顧客で共用する形態のデータセンタであり、設備コストの削減に有効です。それぞれの顧客のITシステム (テナント) は、各種機器が備える仮想化技術を用いて論理的に分離されます。一方で、データセンタ管理者にとっては、機器に対して間違いのない設定を入力するために、その設定内容の事前検証に著しい負担が生じていました。

発表者はこの事前検証を自動化する技術を発表しました。この技術のポイントは、各種ネットワーク機器の設定項目間の依存関係をグラフ形式で抽象化し、グラフ理論を用いてテナント間の接続ミスがないことなどの検証を行うことです。グラフは汎用性と可視化性に優れたデータ構造であり、データセンタを構成するさまざまな種類の機器や仮想化技術を汎用的に扱えるとともに、検証結果を可視化することで設定の正しさ・誤りを直感的に把握できるようになります。会場からは、通信帯域などの性能の分離や、機器の性能上限超過を検出する機能への対応など活発な議論がありました。


写真3 ManFI 2013 での発表

また、併設ワークショップの Management of Future Internet (ManFI) では、「プロビジョニングテンプレートによるテナントネットワークプロビジョニング基盤の提案」というタイトルでポスター発表を行いました。

マルチテナント型データセンタにおけるテナントの追加(プロビジョニング)にあたっては、テナントの論理構成、データセンタの物理構成、パラメータ採番ルールなどの、相互に複雑に関連する要素を考慮する必要があります。プロビジョニングを簡単に行うためには、その一連のプロセスをプログラム化し、自動化する方法が有効ですが、データセンタごとにプログラムを作りこむ必要があり、多大なソフトウェア開発コストが生じることが問題になっていました。

本発表では、プロビジョニングのプロセスを定型化したテンプレート(雛形)を用いてプロビジョニングを実施するフレームワークを紹介しました。このフレームワークを用いると、プログラムを開発することなく、簡易な外部ファイルの記述のみで、複数のデータセンタにおけるプロビジョニングを自動化できます。このフレームワークの技術的なポイントは、データセンタごとに異なるプロビジョニングのプロセスにおける共通・個別コンポーネントを分析し分離した点と、個別部分をテンプレートとして簡便に記述するための「プロビジョニングプロセス記述言語」を定義した点です。会場からは、テンプレートの記述方法についての質問が多数ありました。

IM 2013 におけるデータセンタ関連の発表では、電力消費や SLA (Service Level Agreement) を考慮したテナント配置などの問題を数理的に解く発表が多数見られ、この分野における研究活動が活発であることを実感しました。横浜研究所では引き続き、データセンタの運用管理の効率化に向けた研究開発を推進していきます。

(横浜研究所)

関連する論文

  • Yosuke Himura, and Yoshiko Yasuda , "Static Validation of Network Device Configurations in Virtualized Multi-tenant Datacenters," IFIP/IEEE IM 2013, May 2013
  • Yoji Ozawa, Yoshiko Yasuda, and Yosuke Himura, "A Platform for Tenant Network Provisioning with Provisioning Template," IFIP/IEEE ManFI 2013, May 2013
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