ページの本文へ

Hitachi

企業情報研究開発

2013年9月3日

発表者からのレポート

2013年8月5日から9日までの5日間、アメリカのコロラド州デンバーにおいてIEEE EMC Societyが主催するInternational Symposium on Electromagnetic Compatibility (IEEE EMC 2013)が開催されました。IEEE EMCシンポジウムはEMC(電磁環境両立性)の分野では世界最大規模の国際会議であり、例年技術発表とワークショップ/チュートリアルを含めて250件以上の報告・講演が行われます。


図1 近傍電界計測の活用例
拡大図

日立製作所横浜研究所からは技術セッションにおいて「Double Position-Signal-Difference Method for Electric Near-Field Measurements」と題し、電磁ノイズ計測の高空間分解能化技術について発表を行いました。

近年、スマートフォンやタブレットをはじめとする無線通信機能を搭載したモバイル型電子機器は増加し、その一方で電気自動車が普及し始めるなど電動化社会が進んでいます。これに伴い、電子機器が発する不要な電磁ノイズが他の電子機器に電磁的に干渉しないよう、電磁ノイズを抑制する技術がますます重要となってきています。

近傍電界計測技術は、このような不要な電磁ノイズがどこからどのように発生しているかを可視化する重要な技術です。また、近傍電界計測では密集した電子部品が発生する電磁ノイズを切り分けるための"空間分解能"が重要な性能指標です。しかし、高空間分解能を実現するためには微細な近傍電界計測用プローブを必要な分解能に応じて設計・作製する必要がありました。


図2 DPSD法の原理
拡大図


図3 PSD法とDPSD法の適用結果
拡大図

そこで横浜研究所では既存の近傍電界計測用プローブを用いて任意の空間分解能を得る計測手法(PSD: Position Signal Difference法)に着目しました。

本計測手法は、同一のプローブを用い、各計測位置においてプローブ高さを微小にずらすことで二つの高さにおける近傍電界強度を計測・取得します。そして、各位置における二つの計測データの差分を計算することで、微細なプローブと同等の測定結果を得られ、高分解能化を実現します。

しかしこの手法は近傍電界のうち垂直成分のみを得ることができ、もう一つの重要な要素である水平成分を得ることができませんでした。そこで本報告では、PSD法により得られた高分解能化結果と、元の二番目の測定データとの差分をもう一度計算することで、これまで測定が困難であった水平成分を得る手法(DPSD: Double Position Signal Difference法)を提案し、実験により提案手法の妥当性を示しました。

これにより、既存のプローブを用いて所望の分解能を所望の場所で得られるようになりました。横浜研究所ではこのような近傍電磁界計測技術を活用し、電磁ノイズ抑制設計を推進していきます。

(船戸 裕樹    記)

  • ページの先頭へ