地球規模の環境・資源エネルギー問題の深刻化、人々の価値観の変化などにより、都市のあり方が問い直されるなかで、日立グループは社会イノベーション事業の一環として国内外のパートナーの皆さまと連携し、スマートシティ関連事業を展開・推進しています。
2012年7月19日(木)〜20日(金)に東京国際フォーラム(有楽町)で開催した「日立イノベーションフォーラム2012」では、"日立が考えるスマートシティ"のビジョンや各種ソリューションの先進事例、国際標準化の取り組みなどを、セミナーや展示を通して紹介しました。また、スマートシティを支える技術の一つである、クラウドコンピューティングやビッグデータの利活用なども同会場で紹介しました。多くの皆さまのご来場、誠にありがとうございました。
講演・セミナー会場では、特別講演Ⅰ「情報活用が生み出す、ビジネスや社会のイノベーション」においてパネルディスカッションを開催。有識者や経営トップをお招きし、弊社 執行役専務 インフラシステムグループ長 兼 インフラシステム社社長 齊藤 裕と、スマートシティの実現に向けた具体的なディスカッションを交わしました。さらに、セミナーでは24のテーマで日立グループのスマートシティ関連事業のビジョンや各種ソリューションの先進事例、国際標準化の取り組みなどを紹介。多くのセミナー会場が満席となるなど、沢山の方々に聴講いただきました。

セミナー「日立が考えるスマートシティ 〜人と地球のちょうどいい関係〜」講演風景
本展示会で紹介したテナント向けエネルギー見える化サービス「EcoAssist Tenant Energy Management Service 」は、東京都港区が2012年4月20日より募集していた「テナントビルの省エネ促進に関する調査業務プロポーザル」の委託事業に採択されたソリューションです。
港区は、自治体としては全国初の取り組みとなる省エネ促進調査事業を進めるにあたり、省エネ効果を計測するテナントビルを約20棟選定し、本サービスを導入します。インターネット経由でリアルタイムにエネルギー利用状況を見える化することで、省エネ活動の実施・効果の把握を可能とするモデル事業を推進します。また、本事業で収集したデータを、港区における今後の省エネ活動の施策立案に活用していきます。
なお、日立のエネルギー見える化サービスは、5月22日に開業した東京スカイツリータウン®(事業主体:東武鉄道株式会社・東武タワースカイツリー株式会社)にも導入されており、水族館、ドームシアターなどの全310店舗のエネルギーを見える化し、街ぐるみの省エネ推進に貢献しています。


上:「EcoAssist-Enterprise」の展示
下:特別展示Ⅱ「東京スカイツリー®に日立グループの技術が集結!」
スマートモビリティの実現をめざし、移動の結節点となる駅構内においても、利用者が安全かつ快適に利用できるようにさまざまなシステムを開発しています。そのひとつが人の流れを妨げることなくセキュリティを高める、ウォークスルー型爆発物探知装置と監視カメラ網を連携した人物追跡システムです。
これは、ゲートを通過する際に服や手荷物に付着した爆発物の成分を瞬時に検出し、施設内各所に設置した監視カメラ映像から対象人物の通行経路と現在位置をリアルタイムで追跡する技術です。不特定多数の人々が集まる駅や空港、イベント会場などでも人の流れを寸断することなく、スピーディーに検査を実行することができます。
展示会場に爆発物探知装置と監視カメラを設置し、対象人物をリアルタイムに追跡する様子を、実際の監視カメラの映像でご覧いただきました。


上:「爆発物探知と監視カメラの連携による追跡システム」の展示
下:監視カメラ映像による人物追跡の様子
スマートシティゾーンのステージでは、"日立が考えるスマートシティ"と題したプレゼンテーションを行いました。各インフラ間を相互に連携する都市マネジメントインフラを核に、街の成長・発展にあわせて進化する次世代社会インフラシステムの構築に取り組んでいることを伝え、「エネルギー」「交通」「水」「IT」など各分野の取り組みを通して、お客さまと幅広い分野で協創しながら、日立グループのノウハウを活用したトータルエンジニアリングによってスマートシティの構築を加速させていくことを宣言しました。


ステージでのプレゼンテーション風景
今後、自然エネルギーの大量導入やEV(電気自動車)の増加に伴い、電力の安定的な供給の仕組みが不可欠となることが予想されます。そのため日立グループは、これまでの火力発電の高効率化などに加え、風力/太陽光発電システム、不安定な電力変動を緩和する蓄電システムといったインフラを提供する一方で、需要と供給、双方のバランスを取りながら電力の流れを制御するスマートグリッドの実証を進めています。
本展示会では、ガスタービンや風車の模型などによるエネルギーインフラの紹介に加え、日射量予測に基づく太陽光発電制御や需要家をコントロールするデマンドサイドマネジメント、事業所をひとつの仮想コミュニティとみなし、無理のないピークカット・シフトやBCP対応を強化する分散型EMS実証など、各地の実証成果をデモ画面で紹介。スマートシティを支える次世代のエネルギーインフラシステムをトータルに提供していくことを伝えました。
BCP:Business Continuity Plan

「H-25ガスタービン」模型

各地の実証事例のデモ画面
法制度の改正や電力供給不足などにより、より一層のエネルギー管理負担と省エネの促進が求められるなか、オフィスから流通/小売店舗、ホテル・病院、工場にいたるまで、業態やニーズに合わせてエネルギーの見える化や機器の最適制御を行うエネルギーマネジメントソリューションを提供しています。
これらの幅広いソリューションラインアップを一堂に展示するとともに、クラウドサービスやBEMS導入事業の補助金制度*を活用し、初期投資を抑えたサービス導入が可能であることを紹介しました。さらに、一般家庭のエネルギーを見える化する生活支援サービスも紹介し、街全体のエネルギーマネジメントに貢献していくことをアピールしました。
BEMS:Building Energy Management System

日立のエネルギー管理ソリューション紹介パネル

「日立EMSゲートウェイ」の壁面展示
*(株)日立製作所、(株)日立ビルシステム、日立コンシューマエレクトロニクス(株)、日立コンシューマ・マーケティング(株)、(株)日立システムズ、東京ガス(株)は、経済産業省の「平成23年度エネルギー管理システム導入促進事業(BEMS導入事業)」のBEMSアグリゲータに登録されました。
交通渋滞や交通弱者の問題を解消しながら、温室効果ガスの排出を抑制するため、天候や人の流れなどのさまざまな情報を活用し、複数の交通機関が柔軟に連携したスマートモビリティの実現をめざしています。
利用シーンに合わせた多数のEV充電器を展示し、車両の位置情報や地域の電力需給情報を用いたEVの充電管理システムをはじめ、交通情報を収集・分析し、利用者の快適なドライブをナビゲートする各種システムを紹介しました。さらに、安定した輸送を実現するクラウド型ダイヤ作成サービスや都市空間での人の流れを検知・予測・制御するシステムなど、総合システムインテグレーターとしてモビリティの未来に貢献する最新技術をご覧いただきました。

スマートモビリティ紹介パネル

各種EV充電器の実機展示
水不足や水質汚染、洪水など、水に関するさまざまな問題が地球規模で顕在化するなか、100年の歴史を持つ高度な水処理技術と最先端の情報制御技術を融合することにより、最適な水循環を実現する「インテリジェントウォーターシステム」を提唱しています。
インテリジェントウォーターシステムを構成する水運用・配水コントロールシステムやシミュレーション技術を紹介するとともに、地域や都市の水循環全体をITを活用して"見える化"していくことで、水資源の有効活用や省エネルギー化を図り、地域全体での最適な水循環を実現していくことを伝えました。

インテリジェントウォーターシステム紹介パネル

水環境ゾーンの展示風景
「エネルギー」「交通」「水」といった社会インフラの高度化が求められるなか、日立は社会インフラシステムから収集した大量のインフラ関連データを分析・情報化し、街全体にフィードバックする都市マネジメントインフラを開発しています。
インフラ関連データを地図上にマッピングし、時系列で分析することで、分散電源の最適配置など都市機能の最適化が図れることを紹介。さらに、エネルギー使用量など需要家・設備側の各種データを収集・管理し、業務高度化や新サービス実現のためのビッグデータ活用基盤を提供する「MDM」、設備稼働状況やメンテナンス情報を収集・解析し、蓄積した実施結果との検証により企業資産の全体最適化を支援する「EAM」を紹介しました。加えて、目的の異なるシステム間で資源を自律的に融通し合う「共生自律分散システム」により、効率的かつ持続可能な社会インフラシステムを実現していくと訴えかけました。
MDM:Meter Data Management
EAM:Enterprise Asset Management

共通基盤ゾーンの展示風景

「共生自律分散システム」の展示