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事例紹介:西尾市

指静脈認証システムで住民情報システムのセキュリティ強化を実現
マイナンバー制度導入にも対応

課題 解決 効果

情報漏えいリスクを極小化するため、住民情報システムにアクセスする端末のセキュリティ強化が必要だった

煩雑なID/パスワード入力を指1本で代替できる日立の「指静脈認証システム」 を導入

利便性向上とセキュリティ強化を両立。マイナンバー制度の導入においても、個人情報保護に対する市民の不安を ( ふっ )( しょく )

住民情報システムのセキュリティ強化をめざして

愛知県の中央を北から南へ流れる矢作川流域の最南端に位置し、豊かな自然環境に囲まれた西尾市。日本有数の抹茶(てん茶)生産地としても知られる西尾市は2011年4月、幡豆郡の一色町、吉良町、幡豆町と合併。人口約17万人、約6万世帯を擁し、西三河南部の中核的都市として発展を続けています。

行政を担う西尾市役所では住民情報システムにアクセスする端末のログイン認証に、2015年3月に日立の指静脈認証システムを導入しました。企画部 情報システム課 主事の犬塚 隆之氏は「本庁の市民課では、端末へのログイン認証を共用のID/パスワードを使い行っていました。しかし、自治体に関連した個人情報 漏えい事件が全国的なニュースとなり、われわれも住民情報の取り扱いに関して見直しを図っていました。その過程で、住民情報システムにアクセスする端末を利用する際のセキュリティ強化や、住民情報へのアクセスログの厳密な管理を、利便性を損なわずに行える方法はないかと模索していたところ、日立さんから指静脈認証システムを提案されたのです」とその経緯を振り返ります。

選定にあたり他の生体認証システムも調査した結果「すでに別のシステムで導入していた指紋認証は認証精度が低く、手荒れなどで指紋が読み取りにくい場合、認証に時間がかかるなど不便さを感じることがありました。しかし、指静脈認証は生体内部の情報を読み取るため外的要因に左右されないこと、導入前のテストで非常に高い認証精度が得られたこと*、また生体情報を常時暗号化して管理するため職員の個人情報を確実に保護できることなどから、今回の用途には最適だと判断しました」と犬塚氏は語ります。

*
関連特許(特許第04207937号)

安心かつスピーディーな業務環境を実現

日立の指静脈認証システムは、近赤外線を指に透過させて得られる静脈パターンの画像と、あらかじめ登録した静脈の構造パターンをマッチングさせて個人認証を行う仕組みです。指静脈は体内にある情報のため、偽造やなりすましが困難で、高いセキュリティレベルを実現することから、すでに多くの自治体や金融機関、企業でPCログインや出退勤、入退室管理など幅広い用途に適用されています。

西尾市は今回、住民情報を扱う端末約220台に小型の指静脈認証装置を導入。指をかざすだけですばやく個人認証が行えるセキュアな環境を構築しました。

「ID/パスワードを入力する必要がなくなったため、業務に取りかかるまでの時間が短縮されました。離席する際もボタンを押すだけでロックできますし、再び指をかざせばすぐ業務画面に戻れるため、ストレスがありません」と喜ぶのは、ユーザーの1人である地域振興部 市民課主事 須 美里氏です。特に、窓口共用端末では、操作する職員が頻繁に入れ替わっても指静脈認証で本人確認が行えるため、毎回ログイン画面に戻る必要がなく業務効率が大幅に向上。繁忙期でも市民を待たせてしまう心配がなくなったといいます。

現在、指静脈情報を登録している職員数は約500名にのぼります。「端末を利用する可能性のある職員は、基本的に全員1人あたり2本の指静脈情報を登録しています。登録作業もスムーズに行えるため、ユーザー数が増えても大きな負担はありません。導入後、地方選挙が行われた際に雇用した臨時職員にも登録してもらいました。限られた期間だけ臨時職員が携わる業務でも、容易な登録作業で厳密なセキュリティ管理が行えるので本当に助かっています。こういった部分を含め、実用性が非常に高く費用対効果が高い点も気に入っています」と犬塚氏は評価します。

写真:指静脈認証システムの利用風景

マイナンバーで高まる不正防止への期待にも応える

さらに「指静脈認証システムの活用が定着した時点でマイナンバー(社会保障・税番号)制度の導入に向けて運用がスタートしたことも、当市にとっては良いタイミングでした」と犬塚氏は笑顔を見せます。マイナンバー制度では、社会保険・雇用保険・税など、さまざまな行政手続きで市民の特定個人情報を取り扱うことになります。このため多くの自治体では、今まで以上に個人情報の保護や情報セキュリティ対策の強化が必要とされています。

「私たちは今までも住民情報を取り扱う際には細心の注意を払ってきました。マイナンバーが導入されたからといって特別に情報の扱い方が変わるものではありません。しかし市民の皆さまからすれば“マイナンバーが漏れる心配はないか”“職員は情報をしっかり管理しているのか”といった不安や関心が従来以上に高まっているのも事実です。その点、指静脈認証システムには、どの職員がいつ、どの情報を閲覧し、どのような操作を行ったかというログ管理機能が備わっています。不正行為への抑止力と同時に職員の意識もおのずと高まり、万一事故が起こった際にも迅速な原因究明や関係者への説明責任が果たせるようになりました。これも指静脈認証システムの大きな導入効果の1つです」と犬塚氏は評価します。

日々、窓口で市民と接する須氏は「マイナンバー制度に関して、すでに数多くのお問い合わせが寄せられています。今後は個人番号カードの交付など、関連業務も増えてくると予想されるため、業務を安心・スピーディーにサポートしてくれる指静脈認証システムのさらなる活用効果に期待しています」と語ります。

住民から信頼される自治体運営には、個人情報の漏えいを防ぐ強固なセキュリティ基盤が不可欠です。これからも日立は指静脈認証システムの継続的な機能強化で、西尾市の行政サービスの質的向上とセキュリティを強力にサポートしていきます。

2015年10月6日取材

[お客さまプロフィール] 西尾市

西尾市 西尾市

[所在地]愛知県西尾市寄住町下田22番地
[人口]170,409人(2015年10月1日現在)
[世帯数]60,724世帯(2015年10月1日現在)
[職員数]1,669名(2015年4月1日現在)

特記事項

  • 2015年12月1日掲載
  • 本事例中に記載の内容は初掲載当時のものであり、変更されている可能性もあります。詳細はお問い合わせください。
  • 事例は特定のお客さまでの事例であり、全てのお客さまについて同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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