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Hitachi

仮想ワークスペース・VDI

仕事の実施場所にとらわれないワークスタイルを実現し、従業員の生産性や経営スピードを向上する取り組みが重要性を増しています。こうした取り組みを支えるのが、データセンターのサーバ上にデスクトップ環境(OS、アプリケーション、データ)を配置し、各種クライアント端末からアクセスできるようにしたデスクトップ仮想化です。本稿では、デスクトップ仮想化がもたらす価値を改めて見直すとともに、そこで必要となるIT基盤をどのように整備すべきかについてご紹介します。


図1:デスクトップ仮想化のイメージ

提供する機能価値はITの利用場所とバラバラ運用からの解放

デスクトップ仮想化が普及しつつある背景を語る上で欠かせないのがネットワーク速度の向上です。外部から社内にアクセスするモバイル接続は、インターネット接続のバリエーションや速度向上もあり、64bps程度の速度で繋いでいた黎明期に比べて格段に進化しました。今や会社の外でデスクトップ仮想化を利用して仕事をする場合でも、通常PCと変わらない操作感が得られます。

また、端末にデータを持たないデスクトップ仮想化では、企業の情報を安全に扱う上でも効果を発揮します。出張先や自宅などにデータの入った端末を持ち出す際には、紛失・盗難リスクが存在します。デスクトップ仮想化では利用するデータはセンター側に格納されているので、情報漏えい防止のリスクを極小化できます。

さらに、既存の業務アプリケーションの利用においても運用工数を大幅に圧縮できます。業務アプリケーションを利用する場合は、利用するWebブラウザのバージョンやソフトウェアモジュール、OSパッチなどを動作可能なものに合わせる必要があります。拠点に散在した通常のPCは、すべてにソフトウェアアップデートを実行するのが難しく、フォローやアップデートの工数も無視できません。また調達時期が異なるPCでは環境を揃えることができず、いくつもの環境をヘルプデスクでサポートする必要があります。一方、デスクトップ仮想化では、センターにてマスタによる集中アップデートが可能なので、短期間で確実に環境を整えることができ、端末とデスクトップ利用環境を分離できます。これにより、その都度端末を調達する場合や故障時の対応でも問題が発生しにくくなります。

このように、デスクトップ仮想化はその仕組みを通して「どこでも安全に社内ITを使えるようにする」という機能価値を私たちに提供してくれます。さらに、今までバラバラだったクライアント運用を少ない工数で行えるように標準化できます。

スマートデバイスの登場により感性価値の追求も可能に

クライアント端末として、スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスを利用することで、「すぐに」「楽に」「快適に」という感性価値を追求できるようになりました。

取り出してすぐ利用可能なスマートデバイスは、通常PCに比べ、起動の速さ、直感的な操作性に加え、電池の持続時間も長く、情報の利用機能としてその活用が注目されています。

その一方で、個人所有のスマートデバイスを業務で使っているケースが多く見受けられます。スケジュールやメモ、名刺データなど会社未公認の業務利用は、いわゆる「シャドーIT」と呼ばれ、情報漏えいの新たなリスクとして懸念されます。

スマートデバイスを企業で安全に扱うためには端末管理の仕組みが不可欠です。会社貸与のデバイスとするのか、BYOD(*)とするのかをコスト対効果やセキュリティ確保の仕組み、運用可否も検討しながら決定します。

デスクトップ仮想化は、スマートフォンやタブレットでも利用できます。スマートデバイスの使いやすさが得られる上に、社内ITを 安全に利用できることで、ワークスタイルの変革をもたらします。

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BYOD(Bring Your Own Device):私物端末の利用

求められるのはスピーディーに知を結びつける活動

「情報漏えい対策」「データ、アプリケーションのデータセンター集中管理による運用コスト圧縮」など、デスクトップ仮想化の導入は、主に情報システム部門のニーズに応えるものでした。こうした対策は「守りのIT」として、企業のコンプライアンスの向上に役立つストーリーです。

一方で、ビジネスの成長においては守りだけでなく、「攻めのIT」が不可欠です。ITをうまく活用して「変化への対応スピードの向上」「業務効率の最大化」「多様な働き方への対応」などが求められています。

たとえば、お客さまへの提案場面でITはどのように活用できるでしょうか。会社内にはさまざまな人が蓄積している「経験知」があります。「個人でストックした経験値」「コミュニケーションで 得られる知」「組織としての集合知」。適材適所のクライアントデバイスとチャットなどのコミュニケーション手段を使い、隙間時間や提案場面でアクセスしてこれらの知をスピーディーに結びつけることで、これまでにない質の高い提案が可能になります。

そのためには社内のITシステムに自在にアクセスできる新しいクライアント環境が不可欠です。デスクトップ仮想化の構築だけでなく、スマートデバイスやコミュニケーションツールの導入、自在な分析を実現するビッグデータ活用基盤との連携も欠かせません。日立ではこれらの実現を包括的に支援していくための「日立クライアント統合ソリューション Hitachi unified client experience platform」を提供しています。


図2:攻めのIT投資転換へのカギは「知」の活用

日立グループ約8万人のノウハウを集結した「日立クライアント統合ソリューション」

日立は自社でもグループ約8万人が利用する大規模なデスクトップ仮想化システムやマルチデバイスを利用したコミュニケーションツールを構築・運用しています。自社利用の他にも多数のお客さまにシステムを提供しており、これらで培った豊富な経験と知識を「日立クライアント統合ソリューション」に集約しています。効率的・効果的な活用計画の作成からシステムの設計、構築・運用までをトータルに支援します。

計画策定では、中期的な視点でお客さまの課題解決に最適なクライアント環境の実現に向けた活用計画を策定する「クライアント環境構想策定支援コンサルティング」を提供します。実装推進フェーズでは、システムの導入や運用にかかるコストを最適化する製品・サービス群を新たに整理、拡充した「システム資産・運用最適化ソリューション」を用意しています。

さらに、高信頼なクラウド基盤、セキュリティ、ビッグデータ利活用といった日立グループ内の幅広い製品・サービスと、スマートデバイスやコミュニケーションツール、パブリッククラウドサービスなどを組み合わせ、お客さまにとって最適な「攻めのIT」としてのクライアント環境を共に実現してまいります。


図3:日立クライアント統合ソリューション「Hitachi unified client experience platform」

特記事項

  • この記事は、会報誌 HITACHI USER(2014年3月)に掲載されたものです。
  • 記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。
  • 記載の仕様は、製品の改良などのため予告なく変更することがあります。