クラウドの活用が本格化するなか、企業ではシステム構築の迅速性と運用管理コストの削減が喫緊の課題となっています。
そこで日立はハードウェアから仮想化環境、ミドルウェアまで、クラウド基盤構築に必要なプラットフォームを事前構成して提供する垂直統合型製品である日立統合プラットフォーム「Hitachi Unified Compute Platform」(以下、UCP)を開発しました。
日立のプラットフォーム事業におけるUCPの位置づけと開発コンセプト、特長などについて、日立製作所 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 事業統括本部長 橋本 崇弘に話を聞きました。
今回発表されたUCPは、日立のプラットフォーム事業戦略において、
どのような位置づけとなる製品と考えればいいのでしょうか。

日立製作所 情報・通信システム社
ITプラットフォーム事業本部 事業統括本部長
橋本 崇弘
橋本
日立では「グローバルで戦える情報・通信システム事業」をスローガンに、成長分野である「高信頼クラウド事業」「スマート情報事業」「ビッグデータ利活用事業」に注力するとともに、その基盤を支えるシステムソリューション事業、プラットフォーム事業を拡大するため、さまざまな施策を行っています。
なかでもプラットフォーム事業では、「One Platform for All Data」をビジョンに掲げ、「グローバル事業強化」「高信頼クラウド事業を支えるソフト・サービス強化」「インフォメーションクラウドによるビッグデータ事業推進」を成長戦略に据えた事業を推進してきました。
例えば2012年4月には統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」のブレードサーバ新モデル「BS500」と、ビッグデータの迅速な利活用を可能とするユニファイドストレージ「Hitachi Unified Storage 100シリーズ」、5月には高速データアクセス基盤「Hitachi Advanced Data Binderプラットフォーム」※1。
さらに10月には複雑化するITシステムの運用を自動化し、運用管理負担を軽減する「JP1 Version10」といった新製品をそれぞれ市場に投入しました。これにより日立は、情報活用によるお客さまビジネスのグローバルな成長を加速させ、安全・安心・快適な社会への変革に力強く貢献していきたいと考えているのです。
その一方、クラウドに代表される仮想化技術の活用が進むなかで、サーバやストレージといったハードウェアと管理ツール、仮想化ソフトウェアなどを組み合わせたシステム設計や検証が複雑化し、IT運用に関わるコストが増大するという課題が顕在化してきました。
そこで日立は、こうした課題の解決に向けた「ITリソースの効率活用」「変化への即応性」「運用容易性」「サービスレベル確保」という4つの要件を満たす新たなITプラットフォームの開発に取り組みました。それを具現化したのが、ビジネス環境の変化に即応できるクラウド環境向けプラットフォームUCPなのです(図1)。

図1 日立統合プラットフォーム「Hitachi Unified Compute Platform」
UCPが提供する価値とは、どのようなものと言えますか。
橋本
UCPのコンセプトは「高いビジネス・アジリティとコスト削減の両立」です。日々変化し続ける事業環境において、迅速な業務構築や改変を可能とすることで、お客さまのビジネスの俊敏性を高めていく。同時に、クラウド運用やSI経験のノウハウを生かしたシステム運用の自動化・自律化で、お客さまのIT活用コストを削減していく。これがUCPの大きな価値となります。
UCPは2004年から提供してきたBladeSymphonyで培ってきた経験とノウハウを投入し、クラウド基盤向けに進化させた製品です。サーバ、ストレージ、ネットワークといったハードウェアの垂直統合に加えて、UCPではVMware® による仮想化環境、「JP1」を中心としたミドルウェア製品群までを工場で事前構成して統合出荷しますので、導入工数を大幅に削減した短時間でのサービスインが可能となります(図2)。

図2 高いビジネス・アジリティとコスト削減の両立
UCPのアピールポイントを教えてください。
橋本 最も特長的なのが、ビジネス環境の変化への即応性です。これはVM管理画面(VMware® vCenter™)からサーバやストレージ、ネットワークのハードウェア管理や仮想化運用をシームレスに行える「統合プラットフォームオーケストレーション機能」によって実現されます。従来のマルチベンダーでのクラウド環境では、サーバ、ストレージ、ネットワークの各担当者がそれぞれ個別の管理ツールを使って設定しなければならず、新しいVM(仮想サーバ)の配備などに多大な時間とコストがかかっていました。しかしこの機能を使えばシームレスにVMの新規作成や構成変更が行えるため、手間やコストを大幅に削減できます。基本的な運用も統一できるため、グローバルにデータセンターを展開しているお客さまも一元的な運用管理で人員の最適配置やタイムラグのないクラウド環境の管理にお役立ていただけるはずです。
UCPは、お客さまの投資対効果を最大化できる基盤になるというわけですね。
橋本
はい。先ほどの話にもつながりますが、いま多くの経営者は仮想化技術を使うことで、高性能・高信頼な機器とリソースを高効率で活用して投資対効果を最大化したい、事業価値を創造する分野に投資を振り向けたいと期待されています。
その一方で、仮想環境の活用は急速に進んではいますが、VM数の急増によるデータセンター運用管理の複雑化や、さまざまな機器、管理ツールによるシステム設計と検証の複雑化が大きな課題になっています。
このため、新規サーバへの投資よりも、運用管理コストの方が大きくなっているのが現実です。UCPはそういった課題を、データセンター事業者向けのIaaS※2基盤としても、またプライベートクラウド向けのPaaS※3基盤としても、トータルに解決できるプラットフォームになると考えています。
クラウド環境の迅速な構築と改変、運用コストの削減を推進する基盤として、
UCPはお客さまのビッグデータ利活用にも寄与するプラットフォームとなりそうですね。
橋本 日立はビッグデータ利活用の本格化に向け、膨大なデータを収集・蓄積する「インフラクラウド」、その検索と可視化を担う「コンテンツクラウド」、分析・予測によって新たな価値創出をする「インフォメーションクラウド」という3つのステップでのソリューション展開を推進しています。今回発表したUCPは、そのファーストステップとなるインフラクラウドを支える製品として、高信頼な仮想化環境の提供と、お客さまの効率的なITプラットフォーム運用に寄与するものだと考えています。
最後に、お客さまへのメッセージをお願いします。
橋本 UCPを先行発表した海外のお客さまからはすでに多くの引き合いをいただいており、サーバやストレージの増産体制が続いています。これは、使い勝手がよく、運用管理の負荷が軽減できるITプラットフォームの登場を、いかに多くのお客さまが望まれていたかの証左だと思います。そのご期待に応えるため今後も日立は、UCPコンセプトのさらなる充実を図り、社会イノベーションとお客さまビジネスの発展に貢献していきたいと思います。