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トレーサビリティ・RFIDソリューション

導入事例:株式会社 北洋銀行

債権書類の厳正な管理と業務効率化を両立させた
積層RFIDタグ活用の「書類管理システム」

個人情報保護法や内部統制への対応を背景に、多くの金融機関では、より厳格なセキュリティ管理と業務効率の向上をめざした重要書類の管理体制強化に取り組んでいます。 北海道を基盤に道内銀行で最大の資金量・預金量を誇る株式会社 北洋銀行(以下、北洋銀行)は、個人向けローン契約書類(以下、債権書類)約40万件の管理強化と業務改善に向け、積層RFIDタグ(*)を活用した日立の「書類管理システム」を導入。入庫から廃棄までの利用履歴の把握や、一括読み取りによる棚卸業務の効率化、保管スペースの有効活用など、コンプライアンス強化と経営効率の向上をともに実現することに成功しました。

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書類や図書などの用途向けにアンテナ形状を従来のRFIDタグから変更させることにより、約1〜2mm間隔で積み重ねても同時に読み取ることが可能なRFIDタグ

[写真]株式会社 北洋銀行
業務管理部 副部長 兼 住構センター長
田中 謙至 氏

[写真]株式会社 北洋銀行
経営管理部 広報室室長
澤井 育雄 氏

導入された製品、ソリューション
重要書類管理ソリューション

北海道経済の活性化を支えるトップバンク

 「北海道の洋々たる発展の礎となる銀行」を経営理念に、北海道経済の自立を支援するための事業展開を進めている北洋銀行。1917(大正6)年の創業以来、旧北海道拓殖銀行の道内事業譲受、旧札幌銀行との合併といった事業再編を経てきた同行は、現在、道内の銀行・信用金庫・信用組合総体の預金に対して19.4%、貸出金に対して28.5%のシェアを占める北海道のリーディングバンクとして確固たる基盤を築いています。

[写真]北洋銀行窓口風景
北洋銀行窓口風景

2010年には新本店ビル「北洋大通センター」が完成。人気のスイーツショップやコスメショップなどが入った商業施設「大通ビッセ」を擁する札幌の新たなランドマークとして、道内経済活性化のシンボルタワーとしての役割も期待されています。

北洋銀行では、190店分の債権書類(有担保・無担保ローン、カードローンなどの書類)、約40万件を関連会社のノースパシフィック株式会社(以下、ノースパシフィック社)の保管センターで集中管理してきました。しかし、保管期間中の債権書類の貸し出し・返却を含めた現物管理や棚卸し業務の効率化が大きな課題となっていました。

債権書類の管理強化とスペース効率向上が課題に

 「保管庫の中には営業店ごとに棚スペースを用意し、そこにバーコードをはった債権書類を保管番号順に格納していました。貸し出しと返却の際にはバーコードの読み取りと同時に専用端末へ日付入力などを行っていましたが、人手が介在する以上、どうしても紛失や返却場所の間違いの可能性があります。年1回行う棚卸しでも、膨大な書類を1点1点リストで確認しながらチェックしなければならず、多くの時間と労力がかかっていたのです」と振り返るのは、業務管理部副部長 兼 住構センター長の田中 謙至氏です。

また経営管理部 広報室室長 澤井 育雄氏は、「保管庫空きスペースの有効活用も同じく重要な課題でした。当行は2011年10月で札幌銀行と合併して3年を迎えます。この間、北洋銀行と札幌銀行、両店舗の統廃合を43か所ほど進めてきましたが、2つの店舗を1つにした場合、従来ですと、新店舗の棚へ旧店舗の債権書類を、すべて番号を付け替えた上で移動しなければならない作業が発生していました。移動のたびに人手が介在するリスクに加え、各店舗で管理する書類数もまちまちなため、それぞれの棚にむだな空きスペースが発生してしまいます。銀行合併による債権書類の増加を考えると、この先数年で保管庫が満杯状態になってしまうと予想されたため、管理性の強化とともにスペースロスも解消できる新たな仕組みの構築が求められていたのです」と付け加えます。

積層RFIDタグを活用した日立の書類管理システム

そこで北洋銀行が注目したのが、RFIDタグを活用した書類管理システムでした。

 「識別番号をワイヤレスで読み取れるRFIDタグなら、貸し出し・返却時の履歴管理が可能になりますし、複数書類をまとめて読み取れるため、棚卸し作業の効率化にも役立ちます。そこで複数ベンダーにRFIDタグを適用したシステム提案をお願いしたわけですが、その中で特に日立さんが、書類の薄さに適用できる、などの要件に加え、われわれの求めていたスペースロスの解消にも役立つ提案をしてくださったのです」と田中氏は語ります。

 日立が提案した書類管理システムは、タグとタグとの距離が短くなればなるほど読み取りが困難だった既存RFIDタグのアンテナ形状を変更することで、約1〜2mm幅の薄い書類を積み重ねた状態でも、同時に一括で読み取れる積層RFIDタグを活用したソリューションです。重要書類にこのタグをはり付けることで、厳格な入出庫管理と詳細な履歴管理を実現するほか、棚卸しなどの定期的な点検時には、ハンディリーダーをかざすだけで迅速にチェック作業が行えます。

 日立は今回、収納棚にもRFIDタグを装着することで、債権書類のRFIDタグと収納棚のRFIDタグ双方の情報を読み取り、どの書類がどの棚に格納されたかを登録できる新たな仕組みを提案しました。これにより、ローン完済などによって空いたスペースに新しい書類を入れる際も、店舗ごとの棚位置や管理番号などを意識する必要のない“フリーロケーション”が実現できるようになります。

 「読み取り専用で内部に個人情報などを保持しないRFIDタグのセキュアな構造や、これまでの導入実績を評価したのはもちろん、将来的にスペース効率の高い運用が行える提案をしていただいたことが大きな決め手になりました」と澤井氏は振り返ります。

[イメージ]書類管理システム構成図
書類管理システム構成図

40万件のタグ貼付作業も日立が受託

 2010年夏から開始されたシステム導入プロジェクトでは、ノースパシフィック社の保管センターに書類管理用サーバと新規登録/入出庫登録兼用のPC、RFIDリーダーを設置。保管庫側には収納場所特定用のRFIDポケットリーダー、棚卸し用のRFIDハンディリーダーが配備され、すべての入出庫/利用履歴/棚卸し管理を一元管理できる環境が整備されました。

 書類袋1つひとつに積層RFIDタグをはり、サーバ上の保管番号とひもづける作業も日立が受託し、スタッフ13名体制で約3か月間をかけて40万件の貼付・登録作業を行いました。

 「万全を期すため、日立さん側の貼付作業にはすべて当行の職員が立ち会い、保管庫への入出庫も銀行側で行う厳しい体制で臨みましたが、互いの協力関係がとてもうまくいき、当初の予定通りに終了できたのがうれしかったですね」と田中氏は笑顔で語ります。

格納場所の確実な把握と厳正な履歴管理を実現

2011年4月から本格稼働を開始した書類管理システムでは、積層RFIDタグをはり付けた債権書類を保管庫へ入庫する時点で受付し、RFIDポケットリーダーによって、どの書類がどの棚に入ったかを確実に記録。持ち出し・返却の際には、そのつどタグを読み取ることで入出庫管理の厳正化を実現しています。

[写真]入出庫業務での利用例。返却の際にはRFIDポケットリーダー
によって、どの書類をどの棚に入れたかを確実に記録できる
入出庫業務での利用例。
返却の際にはRFIDポケットリーダー によって、
どの書類をどの棚に入れたかを確実に記録できる

営業店からの指示で書類を貸し出す際には、まずPC画面上でその書類がどの棚のどの区割りに入っているかを確認します。次に実 際の保管庫内で特定された区割りの場所へ行き、数十冊ほどの束の中から手作業で対象書類を探します。システムに備わった捜索機 能により、区割り付近でRFIDポケットリーダーをかざせば、より詳細な場所が確認できますが、現状ではまだ営業店別の棚並びになっているため、「区割りがわかるだけでも容易に探し出せるようになりました。それ以上にうれしいのは、入庫や返却の際に収納した場所が正確に記録されることです。以前は“ここへ戻したはずなのに見つからない”というケースが多々あり、探し出すのに大変な時間と労力が必要でした。今回のシステム導入により、そういった部分でのストレスが半減したと思います」とノースパシフィック社の担当者は語ります。

 また、従来の入出庫管理システムでは情報が常に最新の内容に書き換えられていましたが、新システムでは新規入庫から廃棄までのすべての流れが履歴情報として残されます。このため、「いつ、どの営業店へ持ち出され、今どこに戻されたのか、きちんとトレースできるようになった点も管理強化の面で心強いですね。個人情報を扱う精神的負担の軽減にもつながっています。」と澤井氏は喜びます。

 現在は徐々に営業店別の棚割りからフリーロケーションへの移行を進めているため、今後はRFIDハンディリーダー捜索機能で、アトランダムに書類を収めてもピンポイントに検索できる環境が整っていくはずです。

大きな効果が出た棚卸し業務の効率化

 棚卸し作業の効率化にも大きな効果が出ています。

 「導入以来、貸し出し・返却などの通常業務でも約1/3の負荷低減が図られていますが、棚卸し業務ではさらに大きな効果が出ています。これまで約40万件の債権書類の棚卸しには20人ほどのスタッフを投入し、延べ3か月はかかっていました。それがわずか6人で6日間程度で終了し、この分、他業務を行う余裕も生まれました」と田中氏は評価します。

 従来なら、バーコードリーダーで書類の情報を1つずつ読み取り、データベースのリストと突き合わせる作業に膨大な手間と時間がかかっていました。これに対し新システムでは、RFIDハンディリーダーを棚列に沿ってかざしながらスライドさせていくことで、1〜2mm間隔で並んだ書類の情報をミスなく一括で読み取っていくのです。

 「読み取り速度は非常に速い。本当にサーッと読んでいくイメージですね。そこにあるはずの書類がない場合は、対象となる債権番号や保管番号が表示されるため、対応も迅速に行えます。棚卸し業務の合間にも書類の出入りが激しいため、従来なら現物と棚卸しデータとの間には不整合が起こりやすかったのですが、これほど短期間でチェックができるなら、その課題も極小化できると思います」と田中氏は続けます。

写真:保管庫に整然と並んだ債権書類の1つひとつに
シール状の積層RFIDタグがはられている
保管庫に整然と並んだ債権書類の1つひとつにシール状の積層RFIDタグがはられている

写真:棚卸し業務での利用例。RFIDハン
ディリーダーを棚列に沿ってスライド
させていくだけで、並んだ書類の情報
をミスなく一括で読み取っていく
棚卸し業務での利用例。RFIDハンディリーダーを棚列に沿ってスライドさせていくだけで、並んだ書類の情報をミスなく一括で読み取っていく

約1/3の収納棚スペースの有効利用が可能に

 債権書類のフリーアドレス化により、将来的には書類廃棄にともない、約1/3の収納棚スペースの有効利用が可能になると予想されています。

 「今後も書類の数は増えていきますが、スペース効率が大幅に向 上するため、現在、別のセンターで保管している他の債権書類などもまとめて管理できるのではないかと考えています」と田中氏は語ります。澤井氏も「銀行に限らず多くの企業では、今持っているエステート(所有地・資産)をどう有効活用するのかが大きな経営課題です。当行でも合併効果を出すために、営業店やバックオフィスなどのスペース最適化に力を注いでいますが、今回のシステムはその大きな足がかりになるのではないでしょうか」と期待を寄せます。

 一連のシステム構築と運用支援を行った日立に対し田中氏は、「企画段階から運用まで、非常にきめ細かい対応を行っていただき本当に感謝しています。今後も、より高い運用効果を出すためのシステム改善や、本部集中部門、関連会社への導入検討などで、継続的な支援を期待しています」と笑顔で語ります。

 その期待に応えるため、これからも日立は、書類管理システムのさらなる機能強化や操作性の向上を図りながら、幅広い企業や組織における重要書類の管理業務に、各種RFIDタグを適用した高付加価値なシステム提案と導入を積極的に進めてまいります。

[お客さまプロフィール]株式会社 北洋銀行

[写真]北洋銀行本店外観

[本社]北海道札幌市中央区大通西3-7
[設立]1917年8月20日
[資本金]1,211億円
[社員数]3,560名(2011年3月31日現在)

「北海道の洋々たる発展の礎となる銀行」を経営理念に、北海道経済の自立を支援するための事業展開を進めており、北海道のリーディングバンクとして確固たる基盤を築いている。

特記事項

  • 2011年7月20日掲載
  • 本事例中に記載の内容は初掲載当時のものであり、変更されている可能性もあります。詳細はお問い合わせください。
  • 事例は特定のお客さまでの事例であり、全てのお客さまについて同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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