バックアップデータに新たな価値を創出するコピーデータ活用ソリューション
住友商事グループのグローバルITサービスカンパニーとして知られるSCSK株式会社(以下、SCSK)は、クラウドサービスの付加価値向上を図るため、コピーデータ管理「Actifio」と日立ストレージを組み合わせた「コピーデータ活用ソリューション」を導入。マルチクラウドに対応する柔軟なデータ活用とバックアップ・DR*システム運用の高効率化を実現しています。
ビジネスに求められる多くのITサービスを提供し、約8,000社の企業を支援しているSCSKは、企業にとって必須の基盤となったクラウドの幅広いニーズに対応するため、AmazonWeb Services(以下、AWS)やMicrosoft® Azure®などの「USiZEパブリッククラウドモデル」、基幹業務システム向けの「USiZEシェアードモデル」、完全カスタムメイド型の「USiZEプライベートモデル」をラインアップ。各モデルを組み合わせたハイブリッドクラウドも含め、お客さまにとって常に最適化されたITライフサイクル管理の実現をめざしています。
「今多くの企業は、社内システムの開発・運用に携わるIT人財の不足に悩んでいます。DX(Digital transformation)投資に多くのリソースを割くようになった結果、特にミッションクリティカルな基幹システムでは人材不足が深刻化しています。そうしたお客さまを支援するためにセルフサービス型ではなくフルマネージド型クラウドの“USiZEシェアードモデル”を提供しています」と語るのは、USiZEサービス全般を統括するクラウドサービス部 部長の白川 正人氏です。
同サービスでは従来から東日本・西日本のSCSKデータセンター間で、システムのデータ保全と、迅速な災害復旧を可能にするバックアップ・DRサービスを提供していますが、ユーザー数の増加にともなう、課題解決を図る新たなソリューションを求めていました。
「従来はストレージのスナップショット/レプリケーション機能を活用していたため、仮想マシン単位でストレージを割り当てる必要があり、迅速なサービス提供ができない課題がありました。またDRでの迅速な復旧とストレージコストの両立が困難になってきたこと、バックアップデータをテスト開発などにも利用したいというニーズに対応できなかった点も、早急に改善する必要がありました」と説明するのは、クラウドサービス部ソリューション課の木澤 朋隆氏です。
そこでSCSKは2018年春より、新たなバックアップ・DRシステムの検討に着手。複数ベンダーの提案の中から、コピーデータ管理「Actifio」と日立ストレージを組み合わせた「コピーデータ活用ソリューション」を採用しました。
Actifioは、変更データの差分取得と独自の機能によって、ストレージ容量を低減しながらバックアップ運用をシンプル化する製品です。バックアップデータから生成した仮想コピーデータを開発・テスト・分析などに二次利用できるため、本番環境に影響を与えず、「攻めの経営」に向けた価値創出にも貢献します。
「日立はActifioと高信頼の日立ストレージを組み合わせた環境を、ストレージリソースや保守・サポートだけでなく、設計・構築作業も含めた月額課金制のサービス『Capacity On Demand Service』として提案してくれました。これが当社の求める要件にマッチしたのです。当時はまだActifioは国内での活用事例が少なく、検証作業から開始する必要がありましたが、日立にはActifioに関する高い知見と実績があり、サービス実装でトータルな支援が得られた点も非常に助かりました」と語るのはクラウドサービス部 ソリューション課の堀口 秀信氏です。
木澤氏も「USiZEシェアードモデルのDRサービスの特徴として、平常時のDR側にかかるソフトウェアライセンスが不要ということが挙げられます。このメリットを継承できるのもActifioを選んだ重要なポイントでした。また、日立ストレージのフラッシュドライブを活用した圧縮重複排除機能で、よりストレージ容量が削減できます」と高く評価しました。
2019年9月より、一部の顧客にβ版のサービス提供が開始された新バックアップ・DRシステムでは、ActifioのStream Snap機能を利用した短時間でのバックアップ/リストア環境が構築されました。また、独自に開発した顧客向けポータルと日立のシステム運用管理製品「JP1」を組み合わせ、これまでSCSKのSEが顧客オーダーに応じて手作業で行っていたバックアップの設定・実行・リストアをセルフサービス化することに成功しました。
「仮想コピーデータによって、開発やテストで使用するマスキング済みデータも即時利用できるようになりました。これにより当社の開発効率や生産性の大幅な向上を期待しています。今後は、マルチプラットフォーム対応のActifioを活用してAWSなどで開発する際、データの移行やマスキングをサービスとして提供したり、レガシーアプリケーションの開発、特にテスト工程の生産性の向上でお客さまのビジネスに貢献したいですね」と白川氏は語ります。
これまでシステムのバックアップデータは事業継続性を担保するための“コスト”と考えられていましたが、今後はバックアップデータを積極的に活用することで“価値”を見いだす「データマネジメント」の観点が重要となります。クラウドインフラを中心とした全方位のIT商材やサービスを組み合わせ、お客さまのビジネス課題を解決に導くSCSKの取り組みを、日立は今後も多様なソリューションと提案力によって支援していきます。
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