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Hitachi

一歩先を見据えた戦略的基盤の構築へ
成長を支える次世代インフラの絶対要件とは?

戦略的な事業展開を推進していく上では、高い先進性を備えたITインフラの実現が重要なカギとなる。建材・マテリアルメーカー大手の三協立山株式会社(以下、三協立山)でも、今後のグループビジネスの成長を担う新たな仮想化基盤を構築。日立のミッドレンジストレージHitachi Virtual Storage Platform G600(VSP G600)を採用し、高い性能と信頼性、柔軟性を備えた環境を最適なコストで実現している。


【課題】
 今後の事業戦略を支える新たなITインフラを構築するにあたり、
 仮想化基盤であるVMware vSphere 6の最新機能を有効に活用できる
 ストレージが不可欠に。

【解決】
 VMwareとの高い親和性を誇るHitachi Virtual Storage Platform
 G600を導入。Hitachi Accelerated Flashも採用し、高負荷環境にも
 対応できるパフォーマンスを確保。

【効果】
 ミッドレンジストレージを適用したことで、基幹システムに欠かせ
 ない高い信頼性・可用性を維持しつつ、ITインフラのダウンサイジ
 ングに成功。

先進技術を意欲的に導入し、ITインフラの最適化を推進

工口 祥実氏
三協立山株式会社
情報システム統括室
システム企画部
部長
工口 祥実こうぐち よしのり

 「Life with Green Technology 〜環境技術でひらく、豊かな暮らし〜」のブランドメッセージの下、ビル外壁材や住宅用建材、アルミ押出形材、商業施設用設備など多彩な商品群を提供する三協立山。近年では海外拠点におけるアルミニウム鋳造・押出・加工事業を強化するなど、ビジネスのグローバル化にも積極的に取り組んでいる。

 「目標とする『VISION2020』に向けて、2015年を初年度とする中期経営計画では、改装・リフォーム事業や非建材事業の強化、グローバル展開のさらなる加速など、さまざまな戦略目標を掲げています。我々、情報システム部門としても、これらの取り組みをITの側面から支えるため、各種業務システムの拡充やガバナンス/セキュリティの強化など、幅広い領域にわたる活動を展開しています」とシステム企画部 部長の工口 祥実(こうぐち よしのり)氏は語る。

 同社では、これまでも社内ITインフラの全体最適化とTCO削減に継続的に取り組んできた。その背景の1つが、過去数回にわたって行われたグループ経営統合だ。現在の体制は2012年6月の三協立山アルミ、三協マテリアル、タテヤマアドバンスの3事業会社統合によって発足しているが、それ以前にも2003年12月に三協・立山ホールディングスを設立するなど、大規模な経営統合を経験している。

 「以前は各社が保有する物理サーバの台数が数百台規模にも達するような状況でした。これらを統合してスリム化を図ると同時に、アプリケーション統合や脱メインフレームによるオープン化への取り組みなども推進。より筋肉質で最適なITインフラの実現をめざしてきました」と工口氏は振り返る。

今泉 嘉幸氏
三協立山株式会社
情報システム統括室
システム企画部
運用課
課長
今泉 嘉幸いまいずみ よしゆき

 同社の取り組みの中でも特に注目されるのが、先進テクノロジーの導入に果敢に挑戦している点だ。近年普及が進んでいるサーバ仮想化技術についても、既に2009年の段階で採用を決断。VMware vSphere 4による仮想化基盤を構築し、物理サーバ台数の大幅削減などに活用してきた。

 「グループビジネスへの貢献ということを考えれば、ITインフラについても先々を見据えた取り組みが欠かせません。どの業務に、どのような技術が役立つかを十分吟味した上で、効果が期待できると判断した技術については、前向きに導入を進めています」とシステム企画部 運用課 課長の今泉 嘉幸(いまいずみ よしゆき)氏は話す。

高性能・高信頼環境の実現に日立ストレージが貢献

松本 行央氏
三協立山株式会社
情報システム統括室
システム企画部
運用課
主事
松本 行央まつもと ゆきお

 こうした同社の取り組みを下支えする製品として長きにわたり活用されているのが、日立のストレージである。

 2006年には、基幹ホスト並びに基幹系オープンシステム用統合ストレージとしてHitachi Universal Storage Platform(USP)を採用。さらに2010年には、先に触れたVMware仮想化基盤用としてHitachi Universal Storage Platform VM(USP VM)を導入している。

 「この時、最大の決め手となったのは、優れたI/O性能です。大量の仮想マシンが稼働する大規模仮想化基盤では、I/O性能と安定性が極めて重要なポイント。その点、高いパフォーマンスを備えたUSP VMなら、こうした要件も十分にクリアすることができると判断したのです」とシステム企画部 運用課 主事の松本 行央(まつもと ゆきお)氏は説明する。

 その後も、ミッションクリティカルな業務を稼働させるストレージとして継続して日立製品を採用してきた。今泉氏はその理由として、信頼性の高さを挙げる。「これらのストレージ基盤上で動作する業務システムは、どれも止まればビジネスに大きな影響を与えるものばかり。高い信頼性と可用性を備えた製品でないと、とても安心して適用することはできません。また、VMwareの新機能へ迅速に対応するなど、常に業務の利便性を意識した開発姿勢も高く評価しています」(今泉氏)。

 実際、同社では日立ストレージの先進機能をフル活用している。USP VMではストレージデバイス仮想化機能「Hitachi Universal Volume Manager」やボリューム容量仮想化機能「Hitachi Dynamic Provisioning」を導入し、階層ストレージとして活用。さらにHitachi Virtual Storage Platform(VSP)やHitachi Unified Storage VM(HUS VM)ではこれを一歩進め、「Hitachi Dynamic Tiering Software(HDT)」によるSSDやHDDの特性を生かした自動階層化を行った。HUS VMには、日立独自開発の高速フラッシュモジュール「Hitachi Accelerated Flash(HAF)」も搭載されているため、負荷の重いDBシステムなども高速に動作させることが可能だ。

 「HDT+HAFの効果は非常に大きく、細々としたチューニングを行わなくとも安定したパフォーマンスが確保できるため、運用負荷をさげることができました。性能はHAFで、容量はHDDで確保できますから、投資対効果も大きく向上しています。こうした技術がなければ、同等の環境を構築・運用するのにおそらく倍以上の費用が掛かっていたはずです」と松本氏は満足感を示す。

ハイエンド級の性能・信頼性を評価しVSP G600を新たに採用

 さらに今回、同社では今後の事業環境変化への即応を図るための新たな仮想化基盤の構築に踏み切った。そのポイントは、システムの中核にVMwareの最新バージョンであるVMware vSphere 6を採用した点だ。

 「vSphere 6では、ライブマイグレーション機能である『VMware vMotion®』の大幅強化や、仮想マシンのクローニング/スナップショット処理をストレージ側にオフロードできる『VMware vSphere® Virtual Volumes(VVOL)』の搭載など、さまざまな機能改善が図られています。これらを活用することで、より柔軟で最適なサービス基盤を実現したいと考えました」と松本氏はその狙いを説明する。

 大量の仮想マシンを収容するストレージには、日立の最新ミッドレンジストレージ「Hitachi Virtual Storage Platform G600(VSP G600)」を採用。「VVOLをはじめとするvSphere 6の最新機能をいち早くサポートしており、当社のITインフラに欠かせない高い性能と信頼性も兼ね備えていると判断しました。また、肝心のパフォーマンスについても、事前調査で問題がないことを確認し、ミッドレンジながらハイエンド並みの性能を備えていると評価したのです」と松本氏は採用理由を説明する。

日立グループの支援で効果的なデータセンター移行を実現

 vSphere 6+VSP G600による新仮想化基盤には、今後さまざまな新システムが構築されていく予定だが、それに先立って実施されたのが、かつてvSphere 4で構築された既存システム群の移行である。

 実は同社では、数年前よりデータセンター利用の拡充を積極的に推進している。「直接のきっかけとなったのは東日本大震災です。従来は主要な業務システム群を本社内で稼働させていましたが、万一の事態に備えるためにはより安全な施設にシステムを置くことが望ましい。そこで既存システムの移設を順次進めると同時に、新規導入するシステムについてもデータセンターで構築しています」と工口氏はその背景を述べる。

 しかし、一口に既存システム群の移設といっても、簡単な話ではない。「特に問題になったのがネットワークです。例えば既存の業務アプリケーションの中には、サーバのIPアドレスを直接指定しているようなものもあります。もし、移設によってIPアドレス体系が変わってしまったら、現場業務に甚大な影響が生じるリスクがあります。とはいえ、全てのシステムを調査し、ミドルウエアの設定変更やアプリケーションを改修するのも現実的ではありませんので、本社とデータセンターを一体的に運用できる新たなネットワーク環境が求められました」と今泉氏は振り返る。

 この難題を解決に導いたのが、日立ソリューションズをはじめとする日立グループの提案であった。それはBrocade社のイーサネット・ファブリック装置「Brocade VCS ファブリック」を導入してデータセンター内のネットワークを高速・最適化し、さらに本社−データセンター間を透過的に接続し、L2延伸基盤を構築するというもの。これにより既存システム群のIPアドレスを変えることなく、データセンターに移設することができるようになったのだ(図)。

図 三協立山が構築した新しいITインフラの全体像
顧客向けの新サービスを支える新たな仮想化基盤に日立のVSP G600を採用。
VMware vSphere 6との高い親和性を生かすことで、柔軟かつ高信頼な
ITインフラを実現している

 こうした環境が実現できたことで、今回のVSP G600への仮想マシン移行についても容易に行うことが可能になった。ここではActifio社のコピーデータソリューション「Actifio Sky」も活用し、移行元の仮想基盤からバックアップした仮想マシンイメージを圧縮・重複排除した上でリモート転送することで、作業の効率化とシステム停止時間の短縮を図っている。「自社製品だけにこだわることなく、我々ユーザー企業の視点に立って最適な提案を行ってくれたことには大いに感謝しています」と今泉氏は語る。

オールフラッシュストレージの導入・活用も重要なテーマに

左から今泉氏、工口氏、松本氏
左から今泉氏、工口氏、松本氏

 新たに導入されたVSP G600にも、高い評価が寄せられている。

 「信頼性・可用性はもちろん、性能についても非常に満足しています。今後はお客さま向けの新たなサービスの開発をこの上で稼働させていくため、より負荷の重い業務システムも増えてくる予定です。しかし、VSP G600には、アクセス頻度をリアルタイムに分析して即座にデータを再配置する機能『active flash』なども用意されているため、十分に対応が可能と考えています。またVVOLとの連携を実現する機能『VASA Providera*』なども、vSphere 6の活用に役立てていきたいですね」と松本氏は話す。

 今回のVSP G600はHAF/高速HDD/低速HDDの3階層構成だが、将来的にはオールフラッシュストレージの導入も視野に入れている。「膨大なデータを取り扱うBI(Business Intelligence)や原価計算、さらにはビッグデータ活用やIoTなど、超大量・高速データ処理が要求される用途は今後もどんどん広がっていきます。それだけに日立のオールフラッシュストレージにも大いに期待しています」と工口氏。既に同社ではビジネスを支える新しい基盤の姿を見据えているようだ。

*
VASA:VMware vSphere API for Storage Awareness

USER PROFILE

三協立山株式会社
[代表取締役会長] 山下 清胤
[設 立] 1960年6月20日
[資本金] 150億円
[本社] 富山県高岡市早川70番地

[事業概要]
ビル/住宅用建材、マテリアル、商業施設、海外事業の4分野でビジネスを展開する大手メーカー。各種製品の設計、製造、販売、並びに商業施設の設計からメンテナンスに至るまで、幅広く事業を展開する。現在は『VISION2020』に向けて、中期経営計画に基づく成長戦略を推進中。

PARTNER PROFILE

ブロケード コミュニケーションズ システムズ株式会社

[代表取締役社長] 青葉 雅和
[設 立] :2001年4月16日
[資本金] 3億3,215万円
[本社] 東京都千代田区霞が関1丁目4番2号 大同生命霞が関ビル11階


株式会社 日立ソリューションズ

[代表取締役社長] 佐久間 嘉一郎
[設 立] :1970年9月21日
[資本金] 200億円
[本社] 東京都品川区東品川四丁目12番7号(日立ソリューションズタワーA)

特記事項

  • このページは、2016年3月1日から3月28日まで「ITpro Special」に掲載されていた内容を抜粋したものです。
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