グローバルビジネスの進展とミッションクリティカル業務の恒常化によって、企業システムは一時でもサービスを止められない時代となっている。だが、数年毎に発生するストレージシステムの更改時には膨大なデータ資産を新システムに移行させるため、業務サービスを停止しなければならない課題があった。日立はその解決に向け、従来からのストレージ機能と「Hitachi Virtual Storage Platform」(以下、VSP)で追加された「仮想ID引継ぎ機能」などを組み合わせた、完全無停止でのデータ移行ソリューションを開発した。その概要と活用メリットを、ソリューション開発を指揮したITプラットフォーム事業本部 ストレージSI部 部長の荒井弘治氏に聞いた。

日立製作所
ITプラットフォーム事業本部
PFビジネス本部
ストレージSI部 部長
荒井弘治氏
—今回新たに提供が開始された「無停止データ移行ソリューション」は、どのような市場ニーズから誕生したものなのでしょうか。
荒井 ディスク装置をモーターで駆動させる構造上、ストレージシステムは、どうしても摩耗劣化などの問題から逃れられないため、一般的には5年程度で新しいシステムに交換されていきます。このため、新ストレージへのデータ移行や、上位サーバの設定変更に伴う業務サービスの停止が、企業にとっては従来から大きな課題となっていました。
情報システムも一昔前なら、週に一度、あるいは半年に一度は全システムを停止してメンテナンスを行うことが当たり前でした。しかしIT活用の進展によって、近年は24時間365日システムを止めることができないミッションクリティカルなシステムやサービスが増えています。また、ストレージコンソリデーション(統合)によってストレージシステムあたりのデータ量がどんどん大きくなっていくため、それにつながるサーバ数も増え、システム停止の影響が広範囲な業務に広がっていきます。そうしたシステム環境でも、企業はシステム改変に伴うデータ移行やストレージ交換を行っていかなければならない。そのため、やはり一時でもシステムやサービスを停止したくないという要求が強まってきたことが大きな背景としてあります。
—クラウドコンピューティングやビッグデータ利活用の本格化によって、データ量も飛躍的に増大しています。これも無停止データ移行への要求と重なっていると考えていいのでしょうか。
荒井 そうですね。特にビッグデータ時代になるとデータ量が桁違いに増えていくだけでなく、ビジネス環境変化の兆候をいち早く掴んだアクションにつなげるため、リアルタイムなデータ解析を常に行える状態にしておくことが何よりも重要なポイントになってきます。つまりビッグデータ利活用によるビジネスチャンスを逃さないためには、ストレージとサーバを絶対に止められない−−そういった要件が出てくるわけです。その意味でも、業務無停止によるデータ移行を求めるお客さまのニーズは急速に増えているといえます。