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Hitachi

2022年11月4日
株式会社 日立製作所

株式会社日立製作所(以下、日立)は、このたび公益社団法人発明協会が主催する令和4年度関東地方発明表彰において、ストレージシステムのデータ圧縮時の書き込み(ライト)処理性能向上に貢献する特許「圧縮データのライト処理切り替え方式(特許第6802209号)」で、特許庁長官賞を受賞しました。

地方発明表彰は、大正10年に創設され、全国の8地方(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州)ごとに、優れた発明、考案または意匠を生み出した技術者・研究者を表彰するものです。

本特許が解決する課題と特長

従来のストレージシステムでは、データ圧縮機能を利用した場合、書き込み実行時のプロセスに圧縮が追加されるためレスポンス性能が低下しました。レスポンス性能を向上する手段はありましたが、その反面、スループット(単位時間あたり処理量)が低下するという技術的な課題*1がありました。このため、ユーザーは、レスポンスとスループットの両方で高性能が必要な業務のデータには、圧縮を適用できませんでした。

本特許は、ストレージシステムのデータ圧縮時において、ライト処理のレスポンス性能を優先すべきかスループット性能を優先すべきかを、コントローラーの負荷などの条件をもとに自動的に切り替える技術に関するものです。具体的には、高速データアクセスのようにレスポンス性能が優先される際には非同期ライト方式(図(A))に、バッチ処理など大量データ更新でスループット性能が優先される際には同期ライト方式(図(B))に、自動的に切り替えます。
これにより、データ圧縮時のライト処理において高いレスポンスとスループットの両方の性能が向上可能となり、性能を重視する多くのユーザーが、データ圧縮によりストレージ容量を削減できるようになります。ストレージ装置のメディア搭載量も削減でき、消費電力量や環境負荷の低減にも貢献します。

*1
レスポンス性能の向上に適した非同期ライト方式(図(A))は、圧縮の前に完了応答することでレスポンスを向上できるが、メディアへの書き込みが完了するまでのプロセスが増えるため、スループットの低下要因となる。一方、同期ライト方式(図(B))は、プロセスが少なくスループットを向上可能だが、レスポンス性能は低下。二つの方式は二律背反の関係にある。

データ圧縮時のライト処理の自動切替による性能向上
図:データ圧縮時のライト処理の自動切替による性能向上

なお、本発明は、日立のエンタープライズストレージである「Hitachi Virtual Storage Platform 5000シリーズ*2」および、ミッドレンジストレージ*3に使用されており、高性能かつ環境に配慮したストレージの実現に寄与しています。

*2
Hitachi Virtual Storage Platform 5100,5500,5100H,5500H,5200,5600,5200H,5600H
*3
Hitachi Virtual Storage Platform E390,E590,E790,E990,E1090,E390H,E590H,E790H,E1090H,G150,G350,G370,G700,G900,F350,F370,F700,F900

日立は、今後も、ITプラットフォーム分野に関する技術開発を通じて、科学技術および産業の発展に貢献していきます。

商標注記

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お問い合わせ先

株式会社日立製作所 サービスプラットフォーム事業本部 ITプロダクツ統括本部