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Hitachi

日立アドバンストサーバ HA8500/9000Vシリーズ

バックアップに用いるストレージの組み合わせ

バックアップはもともとテープに対して行うのが基本でしたが、ATA技術*1に基づくディスクサブシステムの登場によって、ディスクサブシステムのGB単価が急速に下落しています。このため、ディスクを用いたバックアップソリューションも登場しています。

*1
ATA(AT Attachment) はアメリカ規格協会(ANSI)によって標準化されたIDE(Integrated Drive Electronics)の正式な規格。従来のファイバーチャネル接続のハードディスクに比べて安価。

D2T(Disk to Tape)

本稼働のディスクサブシステムからテープストレージにバックアップをとる、実績のある手法です。小規模のシステム環境では現在もなお採用されていますが、ある程度の規模を持つシステム環境や将来的に規模が拡大される見込みのシステム環境では、後述するD2D2Tを採用するケースが増えてきました。

D2D(Disk to Disk)

テープストレージの代わりにディスクサブシステムを使用してデータのバックアップを行う手法です。アクセス性能の優れたディスクサブシステムを使用することで、バックアップやリストアの所要時間が短縮されます。ただし、何世代にもわたるバックアップデータを保管するには、大きなディスク容量が必要です。このため、D2Tと比較してデータの保管コストがかなり高価になります。

D2D2T(Disk to Disk to Tape)

ディスクサブシステムとテープストレージを用いて2段階のバックアップを行う手法です。通常は、本稼働のディスクサブシステムからバックアップ用のディスクサブシステムに対して高速にバックアップを行い、世代の古いものや特に長期保管を必要とするものをデータの保管コストが安価なテープストレージに移管します。中・大規模のシステム環境では、確実なデータ保護、運用管理のしやすさ、適切なデータ保管コストなど、さまざまな面で優れたバックアップ手法です。

表1.D2D、D2D、D2D2T 比較
  D2T D2D D2D2T
バックアップ速度
リストア速度(フル)
リストア速度(部分)
管理の手間 △*1
ネットワークバックアップの安定性 △*2
複数ジョブ
容量単価
電力消費
*1
自動化運用による改善
*2
LANのボトルネックが原因

画像 ディスクとテープを用いたバックアップの種類
図3.ディスクとテープを用いたバックアップの種類

テープストレージが不可欠な理由

ディスクの価格下落に伴いD2Dのような読み書きの高速なディスクサブシステムだけでストレージシステムを完結させる動きも見られるようになりました。しかし、バックアップに求められる数々の要件は、テープストレージを併用しなければ決して満たせません。
ここからは、低コストのバックアップソリューションに欠かせないテープストレージについて紹介していきます。

  • テープストレージのメリット
  • テープストレージの種類
  • バックアップの形態
  • テープオートメーションの選定

まず、初めにテープストレージの併用することで得られるメリットをあげます。

容量あたりの価格がディスクサブシステムよりも安価

これまで、さまざまなストレージ機器が“生まれては消え”を繰り返していますが、テープストレージは最初の製品が登場してから半世紀以上もの歴史を持つストレージです。現在も進化を続けており、衰退の兆しはありません。実は、ここまで安定して生き残れた背景には、テープストレージがディスクサブシステムより容量あたりの価格が安価である点です。現時点で、ディスクサブシステムの最も安いものとテープストレージの最も高いものを比較しても、容量あたりの価格には数倍以上の開きがあります。

画像 容量当りのディスク価格の傾向
図4.容量当りのディスク価格の傾向

バックアップシステムのランニングコストが安価

テープストレージは、容量あたりの価格が安いだけではなく、連続運用のための電気料金、空調や電源施設の設備費など、いわゆるランニングコストも非常に安価です。ディスクサブシステムは、原則としてディスクドライブがすべて稼働しており、電気料金や空調施設のランニングコストが莫大です。一方、テープストレージは、バックアップを実行しているときにしか大きな電力を消費しません。大型テープストレージの消費電力は、同容量帯のディスクサブシステムと比較して10分の1程度にすぎません。

メディアがリムーバブルでデータの安全性を確保しやすい

特に長期保管を想定した場合、データをいかに安全に保管するかが重要になってきます。ディスクサブシステムは、ディスクドライブが常時稼働していることから、保管されているデータは常にオンライン状態にあります。このため、何らかの理由によってディスクサブシステム上のバックアップデータが破壊、改ざんされる危険性は依然として残っています。データを確実に保護するには、テープのようなリムーバブルメディアによってデータを完全なオフライン状態にする必要があります。

テープストレージの種類

続いてテープストレージの種類を紹介します。

単体のテープドライブ

画像 テープドライブ

テープストレージの最も基本的なハードウェアが単体のテープドライブです。テープドライブは、テープカートリッジに収納されている磁気テープを引き出し、磁気ヘッドでデータを読み書きする磁気記憶装置です。本体のサイズが小さく、価格もリーズナブルなので、サーバに直結して小規模のバックアップ向けとして使用されます。テープカートリッジの挿入や取り出しは人間の手によって行われますので、テープカートリッジを頻繁に入れ替えるような運用を続けると、人為的なミスが発生するケースがあります。

オートローダ

複数のテープカートリッジを収納し、これらのテープカートリッジを自動的に入れ替える機構が装備されたテープストレージです。通常は、本体に内蔵されるテープドライブが1台で、単純な機能しか持たないものをオートローダと定義しています。オートローダは、テープカートリッジの入れ忘れや誤ったテープカートリッジの挿入など、システム管理者自身の人為的ミスを未然に防げます。

画像 オートローダの構造
図5.オートローダの構造

画像 オートローダ

テープライブラリ

複数台のテープドライブと多数のテープカートリッジを筐体に収納し、ロボット機構によってテープカートリッジを自動的に入れ替えるようにした大型のテープストレージです。テープライブラリは、オートローダでは対応できない中・大規模のバックアップシステムを構築するときに使用されます。システム規模にあわせてスケーラブルにテープライブラリを拡張できるように、テープカートリッジを納めるスロットを筐体単位で増設できるようにした製品も発売されています。

画像 テープライブラリの構造
図6.テープライブラリの構造

画像 テープライブラリ

本格的なバックアップにはテープオートメーションが不可欠

テープカートリッジの自動入れ替えに対応したオートローダやテープライブラリを総称してテープオートメーションと呼んでいます。テープストレージはリムーバブルであるがゆえに運用や管理が面倒という意見がありますが、これは単体のテープドライブを用いたときの話です。テープオートメーションを導入することで、人手を介さずにテープカートリッジの入れ替えを行い、日々のバックアップを正確に実行できます。つまり、テープオートメーションの選択こそがエンタープライズバックアップのスタート地点なのです。

テープストレージの接続形態

次にテープストレージの接続形態を紹介します。

ディスクサブシステムと同様に、テープストレージの接続方法にもサーバに直結する DAS(Direct Attached Storage)方式とストレージ専用ネットワークの一部として接続するSAN(Storage Area Network)方式の2通りがあります。

サーバに直結して使用するDAS方式

DASは、その名の通りサーバに直結するタイプのストレージを指しています。多くはサーバにテープストレージを外付けする形となり、両者を結ぶインタフェースには主にパラレルSCSI(Small Computer System Interface)が用いられます。将来的には、SAS(Serial Attached SCSI)が採用される見込みです。DAS方式は、導入時のコストが安く、導入や運用の際の技術的な敷居も低いことから、直結したサーバ本体のバックアップもしくはLANを通じた小規模の統合バックアップに適しています。

画像 DAS形式
図7.DAS形式

ネットワークの一部として接続するSAN方式

SANは、サーバに直結していた各種ストレージを切り離し、ストレージ専用のネットワークを独立して構築するシステム、もしくはそのネットワーク自体を指します。通常、SANを構成するサーバやストレージは、高いデータ転送能力を持つファイバチャネルによって接続されます。SANに接続されている多くのサーバで1台のテープオートメーションを共有すれば、このテープオートメーションで全サーバの統合バックアップ環境を構築できます。この結果、システム管理者の作業負担が大幅に軽減され、運用・管理コストの削減につながります。SAN方式は、中規模および大規模の統合バックアップに適しています。

画像 SAN形式
図8.SAN形式

テープメディアの種類と仕様

最後にテープメディアの種類と仕様を紹介します。
テープメディアは、データ転送速度、記憶容量、保管コストなど、バックアップシステムに求められる要件に合わせてさまざまな種類が用意されています。その中でも近年、多くのテープオートメーションで採用されているのがLTO Ultriumです。

オープンな大容量テープ規格「LTO Ultrium」

LTO(Linear Tape Open)は、大手のストレージベンダーが1998年に発表したオープンなテープ規格です。12.7mmの幅広な磁気テープとリニア記録方式、そして1 リール方式を採用したLTO Ultriumが製品化されています。。現在主流のUltrium規格は、Ultrium4およびUltrium5となり、非圧時の記憶容量とデータ転送速度は、それぞれ800GBと120MB/秒*1、および1500GBと140MB/秒*1となります。

*1
カタログスペックの性能値です。お客様ごとのシステム構成により性能は異なります。
表2.主なテープ規格とその仕様
  DAT72 SAIT-1 SuperDLT
Tape2
LTO
Ultrium2
LTO
Ultrium3
LTO
Ultrium4
LTO
Ultrium5
テープメディア幅 3.81m 12.7m
テープメディア長 172m 600m 558m 609m 680m 820m 846m
カートリッジ内のリール数 2リール 1リール
ドライブ例のヘッド方式 ヘリカルスキャン方式 リニア記録方式
メディア容量(非圧縮時) 36GB 500GB 300GB 200GB 400GB 800GB 1500GB
データ転送速度(非圧縮時) 3MB/秒 30MB/秒 36MB/秒 30MB/秒 80MB/秒 120MB/秒 140MB/秒
表3.LTO Ultriumの読み書き互換性
  LTO Ultrium1
ドライブ
LTO Ultrium2
ドライブ
LTO Ultrium3
ドライブ
LTO Ultrium4
ドライブ
LTO Ultrium5
ドライブ
Ultrium1メディア 読み書き 読み書き 読み出しのみ - -
Ultrium2メディア - 読み書き 読み書き 読み出しのみ -
Ultrium3メディア - - 読み書き 読み書き 読み出しのみ
Ultrium4メディア - - - 読み書き 読み書き
Ultrium5メディア - - - - 読み書き

TIPS【バックアップ運用におけるノウハウ(1)】

優れたテープを用いたバックアップシステムも運用次第で性能を十分に発揮できないことがあります。バックアップ運用におけるノウハウと題し3回にわたって運用のノウハウを紹介します。 今回は、ヘッドクリーニングの実施の必要性とその頻度について説明します。

(1)ヘッドクリーニングの頻度と利用限度数
テープライブラリに搭載されているテープドライブの磁気ヘッドは、カートリッジテープの使用回数が多くなるに従い、テープから出る小さいゴミや、空気中の塵埃が付着し、読み書きエラーが発生しやすくなります。そこで、読み書きエラーを防止するために、クリーニングカートリッジで、テープドライブの磁気ヘッドを定期的にクリーニングする必要があります。
クリーニングする目安は、テープライブラリのパネルにクリーニングを要求するメッセージが表示され、LEDが点灯した時になりますが、使用環境によってクリーニング時期が異なるため特定できません。そこで、目安としてテープドライブ種類ごとのヘッドクリーニングの頻度および利用限度回数の表を用意しましたので、下記表に従いクリーニングをお願いします。

表4.ヘッドクリーニングの頻度と利用限度回数
テープドライブの種類 ヘッドクリーニングの頻度 クリーニングテープ利用限度回数 *1
LTO *2 月1回 50回
(ユニバーサルクリーニングカートリッジ使用時)
DLT *3 ドライブ動作時間150時間に1回 20回
DAT
  • 4時間未満/1日使用時:1回/週
  • 4〜12時間/1日使用時:2回/週
  • 12時間以上/1日使用時:毎日
  • 週に1回使用時:運用前にクリーニング
  • 月に1回使用時:運用前にクリーニング
45回
*1
クリーニングテープ(DLTを除く)は、利用限度回数を超えるとヘッドクリーニング動作を行わずにそのまま排出されるため、ヘッド清掃が行なわれません。そこで、クリーニング毎に使用回数を記録して、利用限度回数に達したクリーニングテープは使用しないようお願いします。また、使用回数が判らないクリーニングテープは使用せず、新しいクリーニングテープを使用するよう願います。
*2
LTOドライブのクリーニングテープ利用限度回数は50回となっていますが、LTOドライブのクリーニングテープは同一箇所を何度も使う構造であり、クリーニングテープに付着したほこりが逆にヘッドを傷つける可能性が高まりますので、20回程度で交換する事を推奨しています。
*3
  • DLT8000ドライブを使用した装置は、クリーニングを行い過ぎるとヘッドを傷める要因となり、メディアエラーなどのバックアップ失敗の要因となります。従って、クリーニングは、ドライブからのクリーニング要求時、またはバックアップ/リストア動作が150時間以上経過時に1回実施までに留めるようお願いします。加えて、続けて2回以上のクリーニングは行わないようお願いします。
  • DLT用のクリーニングテープは、利用限度回数(20回)を超えても使い続けることが可能ですが、利用限度回数を超えたクリーニングテープをそのまま使い続けると、ドライブのヘッドを傷つけ、ドライブ故障に至ります。クリーニング毎に使用回数を記録して、利用限度回数に達したクリーニングテープは使用しないようお願いします。

次回案内

今回は、データ保護の必要性とその種類について紹介しました。次回は、バックアップシステムの構築としてテープオートメーションの選定、アプリケーションの必要性を紹介していきます。

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