新基幹システムに「AP8800」を採用し、工場の24時間操業を支える高い安定性を確保。
大幅な性能向上と業務効率化も実現
高品質な特殊鋼を幅広い分野に提供する山陽特殊製鋼株式会社(以下、山陽特殊製鋼)は、基幹システムのメインフレームを刷新。
大量の業務データを迅速に処理すると同時に、今後の事業拡大にも柔軟に対応できるIT基盤を実現するのが狙いだ。
同社の工場は24時間操業を行っているため、基幹システムにも極めて高い信頼性・可用性が要求された。
そこで同社は、日立のエンタープライズサーバ「AP8800」とオペレーティングシステム「VOS3/US」を採用。
「止められないシステム」に必要な高い安定性を確保すると同時に、「アクセラレートプロセッサ」や「仮想MTL(磁気テープライブラリ)」などの活用により、大幅な性能向上と業務効率化も実現している。

山陽特殊製鋼株式会社
システム企画室
室長
牧田 優彦氏
高品質の特殊鋼を安定供給することで、市場から高い信頼を得ている山陽特殊製鋼。
その鋼は「高信頼性鋼」として、自動車の重要部品など、幅広い分野で活躍している。
特に、ベアリングなどに用いられる軸受鋼などは、他社の追随を許さない高い品質水準を誇る。
「グローバル化やニーズの多様化が進むなど、当社を取り巻くビジネス環境も変化しています。
利用部門の課題を迅速に解決できるよう、PCのシンクライアント化やサーバ仮想化などの先進技術導入を図るなど、さまざまな取り組みを行っています」と牧田氏は説明する。
製品の安定供給のためには、システムの安定稼働も重要なテーマだ。
「当社工場は、24時間操業が基本です。
システムを止めることができないため、信頼性・可用性には特に気を遣っています」と寺尾氏は語る。

山陽特殊製鋼株式会社
システム企画室
管理グループ グループ長
寺尾 賢二氏
同社では2010年春より、基幹システムの最重要IT基盤であるメインフレームのリプレースプロジェクトに着手した。
「当社では中期計画において、生産能力の上方弾力性の確保を課題として掲げています。
しかし、旧システムは性能的な限界に近づいており、今後の課題に対応するには余力が少ない状況でした」(牧田氏)。
そこで同社は、基幹システムを支えるインフラとして、日立のエンタープライズサーバ「AP8800」を採用。
AP8800は命令プロセッサやメモリー、電源の冗長化機能を標準搭載しており、高い耐障害性と安定性が欠かせない基幹システムに最適と判断されたのだ。
「メインフレームの高い信頼性・可用性を評価しました。
また、アプリケーション資産を有効活用できる点も考慮しました」(寺尾氏)。
2011年1月に本番稼働を開始した新基幹システムは、同社の業務に多くの改善効果をもたらしている。
今回新たに命令プロセッサの処理を分担して高速化を図る「アクセラレートプロセッサ」を導入。
これにより磁気テープのエミュレーションを行う「仮想MTL」の処理時間を50〜60%削減、DB再編成時間を約50%削減など、大幅な時間短縮を実現し、業務効率化に貢献している。
「DB再編成は年2回のシステムメンテナンス時に実施しますが、この時期にしかできない作業が他にも沢山あるため、時間を短縮できたのは非常に助かります」と田中氏は語る。
さらに、AP8800の「プロセッサ資源分割管理機構(PRMF)」も大きく貢献。
これにはLPARへのプロセッサ割り当て量を動的に変更する変動共用機能が備わっており、特定のLPARの負荷が高まった際には、他のLPARの空きリソースを自動的に割り当てる。
「旧システムは固定共用方式での運用だったため、月末・月初めのピーク時などには手作業で本番用・開発用の割り当て量を変更する必要がありました。
しかし現在では、そうした手間は不要です」と梶山氏は語る。
「LPARの追加を容易に行えるため、テスト用LPARの設置も検討中です。
本番に近い環境でテストを行えれば、システム開発・変更時のテスト品質向上にも大きく寄与できます」(田中氏)。

サントクコンピュータサービス
株式会社
システム技術部
部長
梶山 芳博氏
新基幹システムでは、性能と信頼性を向上させるための工夫が多数盛り込まれている。
まず、AP8800と日立ディスクアレイシステム「Hitachi Universal Storage PlatformVM」間を、従来のACONARCチャネルから高速なFIBARCチャネルに変更。
さらに、一つの物理チャネルを複数のLPAR間で共用することで、リソースの有効活用と可用性向上も実現している。
また、メモリー搭載量拡大を活かし、性能向上に向けたチューニングも実施。
仮想メモリーのスワップアウトを減らしたり、I/Oアクセス回数を削減するなどの改良を加えることで、オンラインやバッチの高速化を実現した。
「業務に必要なデータを、より迅速に提供できるようになるなど、ユーザーへのサービスレベルは確実に向上しています」(牧田氏)。
オンラインレスポンスが約30%向上。
以前は約12秒かかっていた処理が、約3秒にまで短縮できたケースもあるという。
もう一つ注目されるのが、以前より活用していた仮想MTLの適用拡大だ。
以前はCMT装置自体にかなりの設置面積を必要としていた上に、保管用CMTの巻数も2,000巻近くに達していた。
これを仮想MTLとLTOライブラリ装置に置き換え、完全CMTレスでの運用とすることで、スペース・電力・運用負荷の大幅削減を目指したのだ。
「日次バックアップのテープ巻数は、以前のCMT155巻からLTO3巻に減少。
今後はマシンルームのスリム化を進め、電力使用量の半分を占める空調費用の削減にもつなげたい」(寺尾氏)。
さらに、日次バックアップ時間の約50%削減や物理的なテープのハンドリング作業が不要になるなど、さまざまな運用改善効果を発揮。
仮想MTLの適用拡大にあたっては、大容量のエミュレーションタイプのディスクを適用することで、CMT仮想化に必要なディスク容量を確保しつつ、装置数増加に伴う仮想メモリーの圧迫を防止している。

サントクコンピュータサービス
株式会社
システム技術部
設備運営グループ 主任
田中 宏和氏
本プロジェクトでは、短期構築も大きな課題だった。
わずか8ヵ月間で移行作業を終える必要があった上に、システムを止められるタイミングも夏季休暇と年末年始の2回に限られた。
そこで日立では、VOS3専門部隊を中心に万全のサポート体制を敷いて支援。
「工場から支援部隊を派遣するなど、日立は総力を挙げてバックアップしてくれました。
おかげで予定通りの本番稼働を果たせました」(梶山氏)。
もっとも、これでプロジェクトが全て終わったわけではない。
「今回はあくまでも新システムへの安全・確実な移行が最優先でした。
今後はセキュリティや稼働監視体制の強化など、さらなる改善に向けた取り組みを推進していきます。
会社の事業基盤でもある情報システムを強化するのが我々IT部門の使命。
今後も会社の競争力強化と事業拡大に貢献していきたい」と牧田氏は抱負を語った。

[お客さまプロフィール]
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[本社]兵庫県姫路市飾磨区中島3007
[設立]1935年1月11日
[資本金]201億8,268万円(2011年3月31日現在)
[従業員数]2,858名(連結、2011年3月31日現在)
「信頼の経営」を経営理念に掲げ、「高信頼性鋼の山陽」として、
極めて高い信頼性を誇る特殊鋼の製造・加工・販売などを手がける。
[本社]兵庫県姫路市飾磨区中島1547-1
[設立]1990年7月5日
[資本金]2,000万円
[従業員数]74名(2011年3月31日現在)
鉄鋼製造で培ってきたノウハウを活かして、鉄鋼分野のみならず、
さまざまな分野・業種へシステム開発・運用・保守サービスを提供。
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