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Hitachi

2019年4月、東京ビッグサイトにおいて「第8回IoT/M2M展」が開催されました。日立ブースでは、OT、IT、プロダクト・システムと、現場業務の知見を結集し、お客さまのアフタービジネス拡大に寄与するための新しい製造業のカタチを紹介いたしました。ここでは現場データを活用した次世代メンテナンスへの日立の最新の取り組みと、選りすぐりのソリューションを紹介します。


故障・修理履歴データを学習したAIによる保守現場サポート


次世代メンテナンス「修理リコメンデーションサービス」について、中三川さんに伺いました。


「OT*1 ×IT*2 ×プロダクト・システム」でバリューチェーンの「際(きわ)」をつなぎ、技術者不足時代の保守・アフターサービスの品質維持とリカーリングビジネスの実現を支える日立の次世代メンテナンス。その提供サービスのひとつである「修理リコメンデーションサービス」について、中三川さんに話を聞きたいと思います。よろしくお願いします。

*1 OT:Operational Technology
*2 IT:Information Technology

「修理リコメンデーションサービス」は、ネットワークにつながっていない、言わば「Non IoT*3 」の設備・機器にも適用できるものです。お客さまの持っている故障や修理の履歴に関するデータをAI*4 で分析し、モデル化することで、自動的に完治率の高い適切な修理箇所や修理方法を提案します。

サービスの利用にあたっては、設備・機器のユーザーさまや製造・提供したメーカーさまのサービス員の方が修理対象の置かれた現場に行って、タブレットやスマートフォン上で操作することを想定しています。

*3 IoT:Internet of Things
*4 AI:Artificial Intelligence

熟練技術者の知見をAIで継承・標準化

いまや熟練技術者の減少は修理対応の現場でも深刻な課題になっているようですが、このサービスはその解決に有効な手だてとなりそうですね。
ええ、修理の現場からも熟練技術者がいなくなってしまった結果、経験の浅いサービス員が間違った判断で間違った対応をしてやり直すなど、修理対応が二度手間、三度手間になってしまっている、といったケースも少なくないようです。

本サービスでは過去の故障・修理履歴データを「機械学習」したAIが修理対応の際に、精度の高いリコメンデーションを提示します。これにより、熟練技術者の知見を伝承しながら、属人化していたその技術やノウハウが標準化され、いつでも、どこでも、誰もが質の高い保守サービスを提供することができるようになるのです。
そもそも、AIに取り込む故障や修理の履歴に関するデータを持っているお客さまはどのくらいいるのでしょうか?
そうした情報自体を保管・管理していないお客さまもいらっしゃいますし、手書き伝票などアナログデータとして持っているお客さまも少なくありません。実はこうしたお客さまが大多数で、故障・修理履歴をデジタルデータとして保管されているお客さまは、全体の1割程度かなと言うのが私たちの感覚ですね。

AIに取り込むにはデジタルデータ化する必要がありますが、これまで修理の履歴に関するデータを取っていなかったお客さまや、手書き伝票などのアナログデータのみをお持ちのお客さまには、稼働状況や設備情報を含めて故障・修理履歴データをデジタルデータとして取得・保管、またはアナログからデジタルへのデータ変換を行う「見える化サービス」なども別途ご提供しています。

アフターサービスの高付加価値化とリカーリングビジネスの実現

このサービスを利用すれば、修理対応の確実性向上だけでなく、スピードアップも実現できそうですね。
故障の症状などに関する情報を入力すると、AIが複数のアルゴリズムを組み合わせた独自の分析モデルで、即座に修理箇所の候補やその対処方法まで回答します。これにより修理時間、そしてその間の設備・機器の停止時間を短縮化できるので、結果的に設備・機器の稼働率も向上します。
その場ですぐ不具合箇所を修理できることもあると思いますが、部品交換などが必要になるケースもありますよね?
はい、手元に交換部品があればそれを使うことになりますが、もし現場には交換すべき部品のストックがない場合には、アセットマネジメントシステムなどと連携して設備・機器メーカー側に交換部品を引き当てたり、必要に応じてメーカーによる修理サービスを提案したりといったオペレーションも可能です。

メーカー側にとって、部品販売やサービス提供のひとつの契機となるこの仕組みは、アフターサービスの高付加価値化や、製品販売後も継続的な収益を生み出していける「リカーリングビジネス」の実現を後押しするものだと思います。




[イベント名]第8回 IoT/M2M展
[日時]2019年4月10日(水)〜12日(金)
[場所]東京ビッグサイト 西1〜4ホール
[イベント概要]
第8回 IoT/M2M展では、「売上拡大とコスト削減に寄与する次世代メンテナンス」コーナーにて、機器・設備の状態をデジタル化して拠点間で有機的に統合、さらに熟練者の技能をも取り込むことで、価値あるデータに変換。それを現場にフィードバックすることで経営KPI改善への流れを作り出す、さまざまなメンテナンスソリューションをご紹介いたしました。