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Hitachi IoT Platform Magazine

オープン・マインドのエンジニアがOSSでイノベーションを創り出す

第3回 OSSのマインドで世の中を変えよう

IoTをはじめとする社会イノベーションが進展する中、ますます重要度を高めるOSS。日立は昨年10月、日立グループ全社のOSSに関するノウハウを蓄積し、OSS活用に関する付加価値の高いソリューションを生み出すためにOSSソリューションセンタを開設しました。センタのOSSに対する取り組みとOSSが変える未来について、金融ビジネスユニットと公共ビジネスユニットのCEOであり、OSSソリューションセンタをセンタ長として牽引する山本さん、そしてセンタの部長である石川さん、安井さんにお話を伺いました。

第3回目は、日立のOSSコミュニティに対する貢献と今後の取り組みについてお話を伺いました。


山本さん(左)、安井さん(中央)、石川さん(右)

──日立はOSSコミュニティへの貢献をいつ頃から始めたのですか。

安井 現在も多くのOSSへ積極的に技術貢献していますが、2000年代はじめ、OSSの黎明期から日立は貢献をスタートさせています。主には、当時まだ信頼性の面で課題の多かったLinuxの機能改善に力を入れてきました。たとえば、ファイルシステムの信頼性を高める機能や障害時の復旧を速めるためのトレーサーなどを開発し、ソースコードを公開してきました。これらの開発は、OSとして信頼性を高めるためにはここまでしなければならないというメインフレーム技術で培った知見と、そのための技術が日立にあるからこそできたことです。

山本 つまりOSS用にまったく新規に技術開発したのではなく、これまでの日立製品の開発で培った既存ノウハウを活用して技術貢献したわけです。そういう視点で見ると、日立グループ内にいる数多くのエンジニア全員の、OSSに貢献しようというマインドをもっと高めることができれば、まだまだたくさんの既存ノウハウを集めることができ、貢献度をさらに上げられると考えています。そのためにOSSソリューションセンタが中心になってマインドを高める啓発活動を始めています。

──それは例えばどのような活動ですか。

安井 一例として、ラウンジディスカッションというものを開催しています。例えば「ビッグデータ(Spark)」など、テーマを事前に決めてそれに興味を持った人たちが定時後に集まってお茶を飲みながら、上下関係も気にせずフラットに議論し合おう、というものです。当初は20〜30名だったのが、今は1回に50名近くの参加者がいます。そこでアイデアを出し合いノウハウを共有するとともに、人材の交流もしています。

山本 教室のように講師がいて、受講者も定員を決めて・・・というのではなく、テーマに対してオープンに議論しましょうとアナウンスして集まってもらうのです。こうした場への参加者が増えているということは、マインドが変わってきているということです。そこでできた横の繋がりを仕事にも活かしていくようになれば、まさしくオープン・イノベーションの体現だと言えますね。

──OSSに貢献しようというマインドは、今、やはり重要ですか。

山本 重要です。まず、ビジネスの視点でいうと、OSSはこれからまだまだ普及していきます。その時、OSSコミュニティにおいて日立が貢献できるということは、お客さまのOSS活用をより高度にささえるためにきわめて重要です。実は、国際的なOSSコミュニティの中でも、日本の企業はOSSを使うだけで貢献していないと見られがちな状況です。OSSを利用したらノウハウを内に抱え込むのではなく、外に向かって情報を発信するということでも、貢献の1つになります。昨今、1社だけでビジネスや社会の課題を解決することは不可能です。社会が求めているのは、企業がお互いに持っている技術で貢献し合うことで、革新的なサービスを生み出すオープン・イノベーションです。そのマインドを持てないと、企業は強くなれません。

安井 海外のカンファレンスに参加すると、ユーザー企業が、自分たちがどうやってこのOSSとあのOSSを接続したかなどの苦労話をこと細かに発表するセッションを数多く目にしますが、日本ではまだそれほど見られません。

山本 OSSを活用する時には、システム開発に対する考え方を、今までのクローズからオープンへ、まったく変える必要があります。日立も、そして日立のお客さまにとってもマインドを変えることは大変ですが、それを実現できた会社は必ず今よりも強くなれると思います。

──確かにIoTやフィンテックの分野でも、複数企業がエコシステムを形成してサービスを提供しているケースが多いように思います。

安井 IoTやフィンテックの分野に進出する企業のサポートをどこまで拡充させられるかが、OSSソリューションセンタの目下の挑戦だと考えています。例えばビッグデータの高速処理、クラウドや仮想化環境のスピード構築、DevOpsの考え方に基づくサービス提供の迅速化。このような高い付加価値を持つプラットフォームを、OSSを使って実現することで、多様な企業がつながるエコシステムの形成をサポートしたいと思っています。

──オープン・イノベーションのプラットフォームを提供する。それがOSSソリューションセンタの大きなタスクなのですね。

石川 しかし、社会インフラに近いシステムほど信頼性が問われます。例えば、銀行系の基幹システムをすべてOSSで構築することは難しいことです。データベースは日立製品でがっちり組んで、フロントサーバはOSSで早く作るなど、最適なバランスのソリューションを開発することも、センタの重要な役割です。

山本 日立は、堅牢性が必要な部分には日立のミドルウェアを提供し、スピードと革新を実現する部分はOSSを活用しながら、信頼性の高いシステムを構築できるソリューションを開発しなければなりません。

──最後にOSSソリューションセンタの将来像をお話いただけますか。

安井 なぜOSSコミュニティに人が集まるのかというと、端的に楽しいからです。開発していて楽しいですし、他のメンバーと議論することも楽しいのです――英語で技術について議論するのはなかなか大変ですが。OSSの高度な知識はもちろんですが、そういう楽しさも当センタで伝えていきたいと思います。そうした啓発活動を通じて、OSSコミュニティに入って活躍できる人材を数多く育成していきたいと思います。

石川 ものづくりの会社としての日立グループの長い歴史の中で、OSSはちょっと異質なものです。OSSをきっかけに、アジャイルなものづくりの仕方も数多く出てきました。それらを推し進めて、自発的にこうしたものを作りたい、というエンジニアが大勢出てくるような、新しい発想の会社に変わる中心に当センタがなれればいいなと思っています。

山本 OSSソリューションセンタがオープン・イノベーションのマインドに溢れた場所となることで、日立に若い人が集まり、つねにチャレンジを続ける。そして会社のミッションである社会イノベーションを実現するための中核としての役割を担っていく。そういう場所に育てたいと思います。ビジネスになるかどうかはともかく、チャレンジを続けないとダメなのです。チャレンジすることで人は伸びますし、企業としても次のステップに行くことができます。そのために我々も挑戦を続けなくてはならないと思います。

──これからの社会イノベーションを牽引する日立のOSSソリューションセンタの活動がますます楽しみです。どうもありがとうございました。

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Linuxは,Linus Torvalds氏の日本およびその他の国における登録商標または商標です。



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