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Hitachi IoT Platform Magazine

オープン・マインドのエンジニアがOSSでイノベーションを創り出す

第1回 OSSは、IoT時代のエンジン

IoTをはじめとする社会イノベーションが進展する中、ますます重要度を高めるOSS。日立は昨年10月、日立グループ全社のOSSに関するノウハウを蓄積し、OSS活用に関する付加価値の高いソリューションを生み出すためにOSSソリューションセンタを開設しました。センタのOSSに対する取り組みとOSSが変える未来について、金融ビジネスユニットと公共ビジネスユニットのCEOであり、OSSソリューションセンタをセンタ長として牽引する山本さん、そしてセンタの部長である石川さん、安井さんにお話を伺いました。

第1回目は、OSS活用の現状やお客さまからの期待と課題についてお話を伺いました。


安井さん(左)、石川さん(中央)、山本さん(右)

──早速ですが今回、日立がOSSソリューションセンタを設立された目的はどこにありますか。

山本 日立は今までもOSS活用に取り組んできましたが、日立がめざす社会イノベーション事業をより強力にドライブさせるためにこれまで以上にOSS活用に積極的に対応していかなければならないと判断し、2015年10月にOSSソリューションセンタを立ち上げました。最大のミッションは、OSSをお客さまが安全・安心に活用できるようにすることです。OSSはお客さま自身が運用・保守を行うことが前提となりますが、センタではそのためにお客さまが必要とされるさまざまなノウハウを蓄積し、ソリューションとして提供していきます。さらにそのための人材育成もミッションとして掲げ、2018年には全社で3,000人のOSS人材の実現をめざしています。

──OSSと聞くと真っ先にOSのLinuxを思い浮かべます。しかし近年IoTの進展とともに多種多様なOSSが話題になっています。

山本 OSに限らず今では、OSSはほぼすべてのIT領域で使われています。2000年頃からLinuxが企業のフロント業務、続いて基幹システムのOSとして使われるようになりましたが、さらにOSSはその領域をWeb/APサーバ、データベースなどのミドルウェアや各種アプリケーションへと広げます。そして現在では運用監視やクラウド基盤、ビッグデータ利活用基盤、スマートフォンのプラットフォームなどへと拡大し、もはやビジネスや社会をささえるシステムに不可欠な存在となっています。これまでOSS活用のリスクを重視されていた金融機関や公共、通信キャリアなど社会インフラを支えるお客さまにおいても、今ではOSS活用に積極的に取り組まれています。

──今なぜ、これほどOSSが熱いのでしょうか。

安井 少し前までOSSの選択理由として多かったのが、商用ソフトウェアに比べてシステムの構築コストが安く済むこと、そしてシステム構築の際に技術の選択の幅が広がること――主にこの2点でした。しかし最近のお客さまのOSSの選択理由は、商用ソフトウェアにはない先進の機能が使えること、システム開発を迅速化してビジネスを優位に進められること、あるいは技術情報が豊富に公開されパッチの配布やバージョンアップの頻度も高く、安心して使えること、といったものが目立ちます。

──その意識の変化には何があったのでしょうか。

安井 ひとつには日立を含むベンダー各社がOSSへの注力の度合いを高めたことによるOSSの進化があると思います。従来まではミドルウェアもデータベースも、ベンダー各社はより良いものを競争して開発していました。しかし、クラウドサービスが実用化されはじめた2010年頃――ちょうどクラウド環境を構築するOSSであるOpenStackへの注目度が高まった頃でしょうか――今までできなかったことをOSSでやろうというムーブメントが盛り上がり、世の中にさまざまなOSSのコミュニティが立ち上がりました。
その流れの中で各ベンダーは、ITシステムの中で共通化できる基盤的な部分ではOSSコミュニティの中でベンダーの壁を超えて協力して開発し、より上位のソリューションの部分では各社固有の価値をアピールし、今まで通り競争していきましょうという考え方に移行していきました。その結果、大勢のエンジニアがOSSに関わるようになったのです。そして開発の質とスピードが向上し、OSSは素晴らしい価値を市場に提供できるようになり、お客さまのOSS選択の理由もより前向きに変わったのだと思います。

──大勢で考えた方がアイデアも豊富に出るでしょうし、バージョンアップのための作業スピードも違いますね。

安井 例えばOpenStackは半年に一回リリースされますが、一つのソフトウェアに2,000人規模のエンジニアが関わっていると言われています。これを1社で開発しようとしたら相当のコストと時間がかかります。また、さまざまなバックグラウンドを持ったエンジニアが集まって開発していますから、新しいアイデアも生まれやすいでしょう。

山本 OSSがユーザーにもたらす価値はなんといっても「スピード」と「革新」です。OSSはオープン・イノベーションそのものであり、OSSの選択は世界中の技術者の知見を自社のシステムに取り込むことに他なりません。IoTの時代になり、今起きている課題に対してどれだけ早く、革新的な解決策を市場に提供できるかどうかがビジネス成功の鍵になってきています。そういう今の環境の中でお客さまがOSSに熱い視線を注ぐのは当然だと思います。

──なるほど。だからIoTの進展とともにOSSへの注目度が高まってきたのですね。

石川 IoTのサービスは、従来からある製品――例えば自動車や冷蔵庫やロボットなどにセンサーを付加し、そのデータを組み合わせて活用することで新しい価値を生み出そうというものです。つまり将来的にそのシステムがどのように広がっていくのか、立ち上げてみないとわからない部分もあります。だとすれば、まず「こんなサービスが世の中にあればいいな」というアイデアを、OSSを活用してスピーディーに構築、リリースしてみる。そして使ってみながら変化に応じてどんどん修正して、完成度を高めていく。そういう開発の仕方が向いています。すべてを自社開発で時間をかけてがっちり作り込むというシステムの開発の仕方は向かないのです。その時にOSSのオープン性という特長も重要になります。IoTはさまざまなシステムとつながって初めてソリューションが実現するわけですから、製品ごとの仕様やAPIが標準化されていたり、プラグインがそろっていたりするOSSの方が、IoT時代にマッチした、より広がりのあるシステムが生まれてくると思います。

──いいことずくめのOSSですが、逆にお客さまがOSSを活用する際に注意すべきことは何でしょうか。

安井 システムは、複数のOSSをさまざまな商用ソフトウェアと組み合わせて作るわけですが、すべての組み合わせが検証されているわけではありません。不具合がどこに隠れているのかわかりませんし、そうした構築・運用の問題はユーザー自らが調査して自分で解決する必要があります。また明確な問い合わせ先やサポート主体もありません。こうした部分ではお客さまにはどうしても不安がともなうでしょう。また、OSSはオープンと言ってもライセンスに従う必要があり、使い方に条件や制約があります。このコンプライアンス管理が煩雑なのも、お客さまの大きな負担となっています。

──その不安や負担を払しょくするのが日立のOSSソリューションセンタというわけですね。

山本 そうです。さまざまな不安からOSSの活用をためらっていらっしゃるお客さまに対して最適なソリューションを提供し、安全・安心なOSS活用をお届けするのがOSSソリューションセンタの役目です。

──センタの開設でOSSへの期待は今後ますます高まりますね。どうもありがとうございました。
次回はOSSソリューションセンタについて、さらに詳しくお聞きします。

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