ページの本文へ

Hitachi

お客さまのビジネスに成果をもたらすビッグデータ利活用

第1回 データ活用の目的を明確にしてビジネス成果につなげる

永年培ってきたデータベース基盤技術やフィールドサポートのノウハウに加え、最新のAIテクノロジーやデータ分析技術を駆使しながら、ビッグデータをお客さまのビジネスに役立てるソリューションを提供する日立の新しいビジネス。今回は、そのビッグデータソリューション事業のマーケティングとプロモーションの担当者にお話をお伺いします。

第1回目は、ビッグデータ市場の動向とビッグデータ利活用ソリューションについてお話を伺いました。


船生(ふにゅう)さん(左)、更田(ふけた)さん(右)

──日立がビッグデータを扱いはじめたのはいつ頃からになりますか?

船生 2009年くらいからですね。当時はまだビッグデータとは言っていませんでしたが、東京大学とコラボレーションして、大量のデータを処理する国家プロジェクトに参画していました。そこで生まれた技術を元にして、ビッグデータ活用のための高速データベース製品を開発しました。それがビッグデータ事業の創世記にあたります。

──日立の技術を基にして事業化していったわけですね。

船生 最初はそうでしたが、日立グループ全体が社会イノベーション事業にフォーカスしていく中で、近年は「技術」の提供から、お客さまのビジネスに貢献する「ソリューション」の提供に重心を移してきています。現在は、IT(Information Technology)とOT(Operation Technology)の融合という大きな視点から、さまざまな業界でビッグデータを活用したソリューションの展開を進めています。

──お二人とも最初はエンジニアでいらっしゃったのですか?

更田 船生も私も、もともとソフトウェアの技術者ですので、データベース技術に関しては、メインフレーム時代から脈々と培われてきたノウハウを持っています。しかし、これからは技術や製品を売ることが第一ではなく、お客さまの課題をいかに解決するかが重要だと考えています。そのために用いるものはオープンソースや他社から導入したものであってもいいのです。いかにお客さまの課題を解決し、やりたいことを実現してあげられるか、そういう思考で私たちは活動しています。

──ビッグデータがこれほど注目を集めるようになったのは、なぜでしょうか。

更田 データウェアハウスやデータ活用といった言葉はもう20年以上前から言われています。ただ、その当時は企業の中にある業務データを扱って定型業務を効率化することが主目的でした。それから技術が進み、多くの人がスマートフォンやタブレットなどいろいろな端末を使うようになり、動画や音声なども扱う非定型業務へとデータ活用の範囲が広がりました。そして、最近ではIoTによってモノのデータがインターネットにつながる仕組みができてきました。企業・ヒト・モノとデータを取得できる範囲が広がることで、データ量も指数的に拡大するにつれ、求められるソリューションも変化してきています。つまり定型業務の効率化から非定型業務の支援や新たな価値創出へと変わってきたのです。
それに伴って、ビッグデータ利活用による経済効果も大きくなっており、政府の調査では2012年度の時点で60兆円超と算出されています。データの活用は企業や組織にとってマストになってきているのです。

──お客さまがビッグデータを活用する際の課題は何でしょうか。

更田 お客さまが実際にビッグデータで何かをやりたいと思った時に直面する課題は、大きく2つあります。1つは、活用・分析するためのデータがうまく揃わないという問題です。これには、データの形式がバラバラというケースと、データが各拠点に散在していてタイムリーに収集できないというケースがあります。多くの企業では、業務の内容や活動拠点に応じた業務システムが複数稼働しており、そこにはさまざまな種類のデータが混在し、システムやデータの連携が非常にやりづらくなっているのです。

もう1つの課題は、データが揃っていてもそれをどう活用すればよいかが分からないというものです。つまり、データ活用による目的が明確でない場合です。しかし、そもそも何を達成もしくは改善したいのかが定まっていないと、プロジェクトはうまく進みません。また、目的と合わせてその投資効果を明確にすることも必要になってきます。

こうした課題をどう乗り越えるかですが、1つ目のデータが揃わない問題については、社内やグループ内の全てのシステムとデータ形式を統一できれば理想的です。しかし、海外の拠点まで含めて稼働している多数のシステムやデータを統一することはなかなか難しく、現実的ではありません。このような場合は、既存のシステムを活かしながら緩やかな連携をはかるデータ連携・統合のアプローチをおすすめしています。

また、2つ目のデータ利活用の目的と投資効果の課題については、改善すべき経営課題は何かということをお客さまとご相談したうえで明らかにし、「まずはこの範囲と目標でスモールスタートしましょう。成功したら段階的に範囲を広げていき、効果を大きくしていきましょう」とご提案しています。そのようなアプローチをご提案できるのが、私たちのソリューションなのです。

──では、日立のビッグデータソリューションの特長をお聞かせください。

更田 はい。先ほどもご説明したように、何のためにビッグデータを活用するのかが重要です。分野にもよりますが、企業の目的を突き詰めていくと、大きくは「売上拡大」、「コスト削減」、「リスク低減」の3つに集約できると考えられます。そして私たちは、金融・製造・流通・公共・エネルギー・公共などの各分野のお客さまがデータを活用してそれらの経営効果を生み出すための仕掛けをサービスとしてご提供します。それを実現するのがサービスプラットフォームです。

その中でも私たちが特に力を入れているのが、データの統合や分析を行うためのPentahoソフトウェアや、人工知能のHitachi AI Technology/H、超高速データベースエンジンのHitachi Advanced Data Binder(*1)、データ連携・統合のマネージドサービスであるHIMMS(Hitachi Integrated Middleware Managed Service)です。

──Pentahoソフトウェアには、どのような特長がありますか。

更田 Pentahoソフトウェアには、大きく2つの役割があります。1つは、データの連携・統合の役割です。先ほどお話したように、多種多様なフォーマットのデータがさまざまな端末やセンサーからやってきた場合、そのままでは分析できませんから、データのフォーマットや粒度を変換して統合することが必要になります。

もう1つの役割がデータの分析と可視化です。データの分析結果をグラフや表などの形にビジュアライズして、人間の意思決定を支援します。これら2つの役割を両方提供できるのがPentahoソフトウェアの強みであり一番の特長です。元はオープンソースソフトウェアであったため、コミュニティによる最新技術の取り組みが早い、という点でも、Pentahoソフトウェアはこの分野で抜きん出ています。

──日立の人工知能には、どのような特長があるのでしょうか。

更田 Hitachi AI Technology/Hは、大量のデータからその道の専門家では思いも付かないような仮説を生み出すことができるのが特長です。活用のしかたとしては、お客さまが改善したいKPIをまず明確にします。先程の「データ活用の目的」の話と同じです。例えば、流通・小売業では顧客単価を上げることがKPIになり得ますし、製造業では製品不良率の低減やリードタイム短縮がKPIかもしれません。そして、それらに関係あるデータも、一見関係なさそうなデータも、とにかく多種多様かつ大量のデータを集めて日立の人工知能で分析すると、最初に設定したKPIに最も相関性が高い要因を探し出してくれます。それがKPI改善の施策のヒントになるのです。

──しかも日立のソリューションはスモールスタートできるということですが。

更田 はい、そのためのサービスメニューをご用意しています。その1つがデータ利活用のトライアルサービスです。これはアセスメントから分析効果の確認までを試験的に行えるサービスです。お客さまが持っているデータを使うと、どういう分析ができて、どういう効果が生み出せそうかということを、範囲を決めて大体3カ月くらいでまずは試してみて、その結果をご検討いただけます。

もう1つが、データ利活用の検証支援サービスです。お客さまの実際のデータを使って、「試しに分析してみたい」というご要望にお応えします。データ統合から可視化までの流れをお手軽に体験・検証していただけます。

──ビジネスに直結するソリューションが手軽に実感できるサービスですね。(次回に続く)


(*1):内閣府の最先端研究開発支援プログラム「超巨大データベース時代に向けた最高速データベースエンジンの開発と当該エンジンを核とする戦略的社会サービスの実証・評価」(中心研究者:喜連川 東大教授/国立情報学研究所所長)の成果を利用。






オススメ記事