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Hitachi

データ移行の仕組み解説編

長江さん 業務サーバの停止時間を大幅に短縮するデータ移行の仕組みの解説を開始

それではいよいよ、業務サーバの停止時間を大幅に短縮する
データ移行の仕組みを解き明かしていきます

国府津
長江さん、前のページでは、ストレージシステム同士を直接つなげましたが、結局、どのような構成でコピーをするにしても、業務サーバの停止→データのコピーが完了するまで待機→ 移行先のボリュームへのアクセスパスの切り替え→業務の再開、という一連の流れは変わらないのではないでしょうか。
長江
そう思いますよね。しかし、ここで発想の転換が必要です。今回のポイントは、従来のように「コピーが終わってからパスを切り替える」のではなく、「パスを切り替えてから、業務を再開した後、バックグラウンドでデータコピーを進める」のです。
国府津
コピーが完了していない段階で、パスを切り替えて業務を再開してしまうのですか。いったいどういうことでしょうか。
長江
ご説明しましょう。
これまでは、コピーが完了した後でないと、パスを切り替えられなかったわけですが…
長江
ストレージシステム同士を直接つなげることで、以下の流れで、業務の停止時間を大幅に短縮するデータのコピーができるのです。

これまでのデータコピー中のイメージ

①業務サーバが移行元のボリュームにアクセスしている状態のイメージ

長江
左の図を見てください。今、業務サーバは移行元のボリュームにアクセスしている状態です。
国府津
VSP Gx00モデル内のボリュームについている番号は何ですか?
長江
Hitachi Tiered Storage Manager(以下、HTSM)でボリュームを管理するための、管理番号です。これが後々「業務を止めない」ことのポイントになるので、覚えておいてください。
国府津
ボリュームの管理番号ですね。わかりました。

②マッピングのイメージ

マッピング:
移行元のボリュームを仮想的にVSP Gx00モデルのボリュームとして管理できるようにすること。これによって、移行元のボリュームに対してVSP Gx00モデルが持つデータ移行の機能を使えるようになる。
長江
ストレージ管理者はまず、HTSMで移行元のボリュームを見つけ、VSP Gx00モデル内のボリュームであるかのように仮想化します。この際、仮想化されたボリュームの管理番号も割り当てます。この一連の操作を「マッピング」と呼びます。
国府津
「マッピング」ですか。
長江
そうです。データの実体は移動元のボリュームにあるのですが、仮想的なボリュームとして、 VSP Gx00モデル内に取り込むイメージです。こうすると、取り込んだボリュームに対して、データのスムーズな移行を実現するVSP Gx00モデルの機能を使えるようになるのです。

③業務停止のイメージ

停止中に実施する作業:
  • 移行元ストレージのアンマウント
  • 業務サーバとストレージ間のFCケーブルの付け替え
  • 業務サーバのOSのリブート
  • ファイルシステム定義ファイルの書き換え
  • 移行先ストレージのマウント
長江
ただし、ここで1度だけ業務を停止する必要があります。これまで、業務サーバと移行元ストレージを接続していたFCケーブルを、VSP Gx00モデルにつなぎ替えます。
国府津
長江さんが、今回のデータ移行を「無停止」ではなく「停止時間を大幅に短縮する」と言っているのは、ここで1度業務を止める必要があるからなのですね。
長江
そうです。でも、これまでと比べて停止時間が圧倒的に短縮されていることに注目してください。これまでは、データをコピーしている間何時間も業務を止めておく必要がありましたが、今回は、左に挙げた作業をしている間だけになります。
国府津
これでしたら、実質の作業は1時間くらいで済みそうです。

④業務再開のイメージ

長江
あとは、業務を再開してそのバックグラウンドでコピーを実行すれば良いのです。
左の図をご覧ください。業務サーバは、#2の管理番号が割り当てられた仮想的なボリュームを経由して、移行元のボリュームにアクセスして業務を再開しています。そのバックグラウンドで、HTSMを使って移行元のボリュームから、移行先のボリュームへと、データのコピーを実施しています。
国府津
なるほど、「コピーしている間に業務を止める必要が無い」のは、このような仕組みがあるからなのですね。
ただ一つ疑問があります。コピーが終わった後、#1のボリュームにパスを切り替えるタイミングで、再度業務を止める必要があるのではないでしょうか。

⑤管理番号入れ替えのイメージ

長江
ご安心ください。VSP Gx00モデルはデータのコピーが完了した後、自動的にボリュームの管理番号を入れ替えます。業務サーバは管理番号#2のボリュームにアクセスしていたわけですから…
国府津
わかりました。管理番号が入れ替わった時点で、自動的に移行先のボリュームにアクセスするようになるのですね。
長江
そのとおりです。

ストレージを接続したデータ移行による業務時間短縮のイメージ