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Hitachi IoT Platform Magazine

2018年10月、東京国際フォーラムにおいて開催された「Hitachi Social Innovation Forum 2018 TOKYO」。ここでは、「テクノロジーがビジネスを変える! デジタルイノベーションの潮流」と題して行われた株式会社日立製作所 中村輝雄のセミナーをご紹介します。

異業種参入者による新たなビジネスの形

既存のビジネスをITの力で新しいものに変えていく「デジタルトランスフォーメーション」。その重要性が声高に叫ばれるなか、日立も従来の製造業から「モノを作るサービス業」へ業態の脱皮を図っている。デジタルトランスフォーメーションが企業の生き残りに欠かせない理由を、日立製作所の中村輝雄は次のように語る。

「プロダクトを作って売るだけではメーカーが利益を生み出しにくくなった今、プロダクトを所有して月額課金で貸し出すというサービスビジネスが増えています。ただ、このビジネスモデルはキャッシュインより先にキャッシュアウトが発生するので、財務的に余裕がないと成り立ちません。その一方で見逃せないのは、新たなビジネスプレイヤーの台頭です」。

そう指摘すると、中村はタクシー配車サービスの「Uber」や音楽ストリーミング配信の「Spotify」などのサービスを例に挙げた。

「この2つに共通しているのは“マッチング”です。Uberは自家用車を運転して収入を得たい人と、車で移動したい人とをマッチングし、その手数料を取っているわけです。もちろんそのシステムを作るためのIT投資は必要ですが、このビジネスモデルなら自動車そのものを所有するリスクが発生しません」。

ニューヨーク市タクシー・リムジン委員会のデータによると、2017年7月、ひと月当たりの乗客数でUberがついに既存のタクシー会社「イエローキャブ」を追い抜いたという。「また、Spotifyに代表される音楽ストリーミング配信は、2017年に初めてCDやレコードの売上金額を上回りました」と続けた。

さらに中村が着目するのは、UberもSpotifyも「異業種参入者」であることだ。

「彼らは既存のビジネスのやり方を破壊して、ITを駆使した新たなビジネスを展開し、世界中の経営者を悩ませています。それに対して、既存企業はどうすればよいか? 自らがデジタルトランスフォーメーションを起こして、変わるしかありません。そのためのお手伝いをするのが、日立です」。

ITをうまく使えば、ビジネスのバリューは高められる!

日立には、企業のデジタルトランスフォーメーションを支援した実例が豊富にある。そのなかからいくつか例を挙げた。

「1つめは東京ヤクルトスワローズ(株式会社ヤクルト球団)さまです。もともとヤクルトさまは、チケット販売やグッズ販売の事業部がバラバラに顧客データを管理していました。そこで日立がお手伝いして、それらを紐づけて一元管理できるデータベースを構築したことで、観客一人ひとりがいつ球場に来て、どの席に座って、どんなグッズを買ったのかといった情報を掛け合わせて分析できるようになりました」。

その結果、例えば「若いカップルがよく座る席」「家族連れがよく座る席」といった傾向が見えてきたと中村は言う。

さらに分析を進め、さまざまな施策を打った結果、同社は前年比130%のチケット売上を達成できたという。

2つめの例は、東急電鉄(東京急行電鉄株式会社)。駅の混雑状況など、お客さまに“今の状況”を伝えたい。そこで着目したのが、全駅で約3,000ある駅構内カメラだ。しかし、カメラの映像はプライバシー保護の観点でそのまま配信はできない。そこに応えたのが日立だ。

「『人流分析技術』に基づく画像データ加工によって、リアルタイムでのアイコン表示を実現。技術者とデザイナーがチームで開発に当たることで、機能と使いやすさを両立しました。また、動いている/止まっているだけでなく、アイコンの肩の形や姿勢を調整することで、『動いている方向』までを識別できるようにしました。さらに、『混雑度レベル』を表示するゲージも追加するなど、東急電鉄さまと密なコミュニケーションを通じて改善を続けました。このアプリによって移動の利便性が向上すれば、『東急沿線に住もう』と考える人も増えるのではないでしょうか。そんなバリューも期待できます」。

これまでのデジタル化の役割は、コストを下げることだった。「でも、これからは違います」と中村は力を込める。

「デジタル化には、ビジネスを拡大できる可能性があります。先ほどお話ししたように異業種参入で競争が激化している今、それぞれの企業がITを活用してビジネスのバリューを高めていかないと、競争に負けてしまう時代です。逆に言うと、ここで挙げた企業のようにITを上手く活用すれば、ビジネスを拡大するチャンスがあるのです」。







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