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Hitachi IoT Platform Magazine

2018年10月、東京国際フォーラムにおいて開催された「Hitachi Social Innovation Forum 2018 TOKYO」。ここでは、デザイン思考に基づくビジネスモデル設計について「デジタル時代に価値を生み出す勘どころ」と題して開催された株式会社日立製作所 渡邉友範のセミナーの模様をご紹介します。

お客さまにとって当たり前のことを当たり前に

日立製作所 渡邉のセミナーは西武鉄道さまとの協創事例の紹介から始まった。西武鉄道には、車いす利用者が電車を乗り降りする際に介助する案内業務がある。乗車駅から降車駅に電話連絡し、メモやアラームなども使用して駅係員がそれぞれ工夫をこらしながら対応していたが、引き継ぎがうまくいかないこともあった。そこで日立製作所とともにスマートフォンを活用した案内業務支援システムを構築。これにより、どの駅でもどの駅係員でも適切な対応ができるようになった。「お客さまにとっては当たり前のことを、当たり前にできる。それがスマートフォンなどのデジタル技術を活用することで、生み出された価値なのです」と渡邉は話し始める。

現在、ネットサービスやスマートフォン、タブレットなどが普及してビジネスの現場でも活用されるようになった。総務省の調査では全世帯の約75%(2017年末時点)がスマートフォンを保有しており、こうした消費者を相手にした配車サービスやキャッシュレス決済などの新しいビジネスが次々に登場している。「身近になったデジタル技術を活用することで、仕事のやり方やサービスが変わり、ビジネスが変わる時代になってきたと言えます。本日は、そんなデジタル時代に価値を生み出すにはどうすれば良いのかをお話ししたい」と渡邉は続ける。

成功要因は、人の問題に目を向けること

「みなさんが何かに取り組もうとするとき、その課題はどのようなものでしょうか?」と渡邉は問いを会場に投げかけた。

「自動運転など、技術の課題が大きい分野もありますが、人に関する課題も忘れてはならないと思います。スマートフォン以前の携帯機器には操作ボタンがたくさん付いていました。既存のやり方でそこに音楽プレイヤーやパソコンの機能を加えようとしたら、携帯電話の操作ボタンは100を超える姿になっていたかもしれません。 “技術”だけでなく使う“人”の問題にも目を向けたことが、スマートフォンの成功要因だと思います。これまで無理していたこと、我慢していたこと、気付いていなかった問題点はないか。デジタル時代に価値を生み出すために、今一度、見直してみる必要があります」。

そのやり方はいくつかあり、ひとつはデジタル技術で何ができるのか、他分野の活用事例やユースケースなどを参考にしながら見直すというやり方。例えば他分野のRPAによる改革事例を自社の問題にあてはめて考えてみることだ。業務の自動化や半自動化は、働き方改革につながり、少子高齢化や人手不足対策としても期待を集めている。

RPA:Robotic Process Automation

デジタルにデザインの手法も取り入れた掛け算

もうひとつは現場観察やデータ分析で問題点を洗い出し、改善に取り組むやり方だ。いまやセンサーなどを活用して収集したビッグデータを現実世界で分析できるようになった。SNSや購買履歴などを分析すれば消費者の潜在ニーズが見え、機械の稼働データを分析すれば故障の予兆が見える。潜在ニーズや問題点にいち早く気づいて手を打つことは、売り上げに直結するテーマだ。こうしたデジタルによるアプローチは、データを分析して傾向を把握したり、人工知能やロボットで効率を上げたり、アイデアを素早く試したりするのに役立つ。

「しかし、デジタルで『性能』『機能』など客観的な価値を生み出したとしても、相手に『すごい』『便利』『安心』と感じてもらえなければ広まっていきません。そこで大切なのが、デザインによるアプローチです。デザインは、人を起点とするアプローチで『心地よさ』や『驚き』などの主観的な価値を追求します。顧客を深く洞察することで従来の延長線上にない発想が生まれます。デジタルにデザインの手法も取り入れた“掛け算”で、顧客のニーズに気づき、価値を追求していくことが大切なのです」。

次からはデジタルで仕事のやり方を変えた事例を紹介していく。







関連リンク

Hitachi Social Innovation Forum 2018 TOKYO