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Hitachi

日立のクラウド Hitachi Cloud

 
 
鹿島建設株式会社

建設プロジェクトで用いる流体解析システムを日本で初めて(*1)クラウドサービスへ移行

クラウドコンピューティングの進展により、さまざまな企業で「IT資産を所有する」考え方から「サービスを使う」方向への大きなパラダイムシフトが進んでいます。
日本を代表する総合建設企業 鹿島建設株式会社(以下、鹿島)は、これまで自社保有のスーパーコンピュータで行っていたビル風解析などの流体解析を、2011年1月より日立が提供する日立クラウドソリューション「Harmonious Cloud」のPaaS(*2)へと移行しました。
オープン基盤の最新プラットフォームをオンデマンドかつ低コストに利用できる環境を整備したことで、従来に比べITコストを40%削減する一方、処理性能を大幅に向上。
より大規模で複雑な3次元シミュレーションも可能とする高付加価値な環境を実現することに成功しました。

*1 日立製作所調べに準拠(2011年1月7日時点)
*2 Platform as a Service
 
鹿島建設株式会社

鹿島建設株式会社 Webサイトを見る

項目 概要
[本社]

東京都港区元赤坂1-3-1

[設立]

1930年

[資本金]

814億円

[事業内容]

建設事業、設計・エンジニアリング事業ほか

選ばれたポイント

  • ITコストの低減を図るクラウド導入
  • 常に最高レベルの演算性能を提供していきたい
  • 「Harmonious Cloud」のPaaSを活用した流体解析システムを選択
  • ITリソースの効率的な活用と大幅なコスト削減を実現
  • 先進のオープンクラスタで処理性能が大幅に向上
  • クラウド活用へのさらなる提案を期待
  • クラウドで設計提案力と競争力の強化をめざす

Point1 ITコストの低減を図るクラウド導入

鹿島建設株式会社 ITソリューション部長 松田 元男 氏

鹿島建設株式会社
ITソリューション部長
松田 元男 氏

江戸・天保11年の創業から数え、170年余の歴史を誇る鹿島。積極果敢な「進取の精神」を発展の礎としてきた同社は、日本の超高層ビルの先駆けとして知られる霞が関ビルをはじめ、六本木ヒルズや秋葉原UDXに代表される高層建築物を数多く手がけてきました。
また、日本各地の国際空港やダム、道路、オフィスビル、スタジアム、学校などの大規模建造を次々と行っているほか、世界各地の現地法人や営業所を通じ、社会インフラの整備などでグローバルにビジネスを展開。近年では東京駅八重洲口の大規模開発プロジェクトなど、新たな付加価値を創造する不動産開発事業においても先進的な取り組みを進めています。
同社は1949年に建設業界初の技術研究所を創立して以来、常にお客さまや社会の新たなニーズに応える最先端の研究・技術開発に挑戦してきました。その一環として5年前に導入されたのが、日立のスーパーテクニカルサーバ「SR11000」でした。

「当社はこれまで、スーパーテクニカルサーバSR11000と、HA8000などで構成されたグリッドコンピュータを併用しながら、ビル風解析や汚染物質の拡散予測などの流体解析(*3)を行ってきました。しかし2008年のリーマンショック以降、建設業界にも景気変動の波が押し寄せ、ITコストの削減が急務の課題となってきました」と、ITソリューション部長の松田 元男氏は語ります。
流体解析を用いた大規模で複雑なシミュレーションは建設プロジェクトごとに行うため、繁忙期と通常期でITリソースの利用頻度に大きな偏りがあります。「そこで、この固定費を利用量ベースに応じた変動費へと移行させ、コストの最適化を図る手段として注目したのが、クラウドコンピューティングだったのです」と松田氏は続けます。

*3 気体や液体が対象物内をどのように流れるか、速度や圧力などを解析する手法

Point2 常に最高レベルの演算性能を提供していきたい

鹿島建設株式会社 ITソリューション部 担当部長 計画システムグループ長 吉清 孝 氏

鹿島建設株式会社
ITソリューション部 担当部長 計画システムグループ長
吉清 孝 氏

自社保有のシステムでは、どうしてもピーク時に合わせたCPU処理能力やメモリー容量などを確保しておく必要があります。しかし通常時のCPU使用率は平均で10~20%程度とされており、ストレージについても将来のデータ増加を見込んで設計されているため、容量に30~50%程度の余裕を持たせて運用しているのが一般的です。このため同社でも、年間を通してスーパーコンピュータシステムを効率的に活用することが難しく、システムを維持管理するためのデータセンターにも多大なコストがかかっていました。
さらに年々、高度化・複雑化する大規模流体解析シミュレーションでは、常にハイレベルな処理性能が求められますが、日進月歩の世界ではスーパーコンピュータといえども、導入から時間がたつほど相対的な処理能力の低下が否めません。

「高度な数値解析を踏まえた高付加価値な技術提案を“鹿島のDNA”として保ち続けていくには、ユーザーに対し、常に最高レベルの演算性能を提供していくことが必要です。その点、クラウドなら最新のITプラットフォームやクラスタ技術などをタイムリーに取り入れることができます。また当社内で2006年から構築していたオープングリッド環境で、流体解析が行えるかどうかの基礎的検証もすでに終えていました。これもクラウド活用にふみきる大きなポイントになりました」と、ITソリューション部 担当部長 計画システムグループ長の吉清 孝氏は振り返ります。

Point3 「Harmonious Cloud」のPaaSを活用した流体解析システムを選択

鹿島建設株式会社 ITソリューション部 計画システムグループ 次長 今関 修 氏

鹿島建設株式会社
ITソリューション部 計画システムグループ 次長
今関 修 氏

そこで同社はSR11000の更改を契機に、必要な時に必要な分だけ最新のITリソースを利用できるクラウドサービスの導入検討に着手。移行評価を担当したITソリューション部 計画システムグループ 次長の今関 修氏は、「既存プログラムの移行や解析精度の再現性確認、計算速度やデータ通信速度といった並列処理性能の評価など、さまざまな検証に約1年半の期間をかけました。特に計算方法は従来のシーケンシャル処理から並列処理へと大きく変化するため、本当に高い解析精度が保てるかどうかをトレーサビリティの観点から徹底的に検証しました」と説明します。
その結果、日立がHPC(*4)分野で培ってきた並列・分散処理やバッチ処理のノウハウを活用することで、流体解析に求められる性能をオープン基盤を活用したクラウド環境でも、高速かつ高効率に実現できることを確認。2011年1月より、日立クラウドソリューション「Harmonious Cloud」のPaaSを活用して本格的なシステム運用がスタートしたのです。

*4 High Performance Computing : スーパーコンピュータやPCクラスタシステムなどの高性能コンピュータ

Point4 ITリソースの効率的な活用と大幅なコスト削減を実現

建設プロジェクトに用いる流体解析システムでは、日本初となるクラウド活用を実現した同社。その新環境は、日立が提供するPaaS形式のクラウドサービスと、同社の大規模社内ネットワーク「KIネット」をVPN(仮想専用線)で接続。流体解析は日立のデータセンター内に設置されたオープンクラスタシステムで展開される一方、プログラム資産やデータなどは、KIネット内に設置されたLinux OSのデータ保存サーバに保存されるという独自の工夫が施されています。
「クラウドには“所有から利用へ”という考え方があります。その原則を踏まえると、利用させていただくのはあくまでもハードウェアベースのプラットフォームであり、自社開発した解析用プログラムやデータは社内資産として持つべきという判断から、このような形態にしました」と松田氏は説明します。
既存システムからクラウドへ移行することで、ユーザーに操作面で不満や負担を与えることがないよう、使い勝手を変えないための工夫も行われました。
「解析ポータルと名付けたポータル・サイトを構築し、事務手続の迅速化や簡素化、また、周知事項の徹底を図るとともに、日立のSEさんとディスカッションしながら、ユーザーインタフェースを極力簡素化したため、利用者からも好評です」と今関氏は語ります。
また、流体解析のプラットフォームが高信頼・高セキュアな日立データセンター内へ移行したことで、機器のトラブルやセキュリティ攻撃への対処、広域災害によるシステムダウンなどへの不安も大幅に軽減しました。
これにより同社は、流体解析システムに必要なハードウェアコストや運用管理コスト、データセンター費用やセキュリティ対策などに頭を悩ませることなく、必要な時に必要なだけオンデマンドで解析を行うことが可能な環境を整備。ITリソースの効率的な活用や、維持・運用における大幅な負荷軽減を図ることに成功しました。「SR11000利用時に比べ、トータルで約40%のコスト削減が可能となりました」と吉清氏は笑顔を見せます。

流体解析システム概要図

流体解析システム概要図

Point5 先進のオープンクラスタで処理性能が大幅に向上

日立が誇るオープンクラスタシステムを基盤としたクラウド環境の活用で、処理性能も飛躍的に向上しました。
吉清氏は「解析内容にもよりますが、これまでと比較して、約6倍程度のスピードアップを実感しています」と語ります。
大幅な性能向上により、流体解析プログラムによるシミュレーションの種類も増やすことが可能となりました。従来は処理性能の面で難しかった、超高層ビルの乱流やトンネル火災などのシミュレーションも容易に行えるようになったのです。
さらに、処理性能が高いほど、扱う空間を細分化できるため、ビル風の発生状況や火災発生時の汚染物質の飛散状況などのシミュレーションでは、より現実に近い結果が得られるようになったとのこと。
「本格稼働を開始した1月以降、平均的な稼働率が30%程度上がっています。高速な処理性能と適用範囲の拡大が、ユーザーの積極的な活用をうながしているのでしょう」と、吉清氏はクラウドの導入効果を高く評価します。今関氏も、「今後は、建築物の環境負荷や安全性を証明する資料として、より付加価値の高い情報を発注者に提示できるため、入札時などに競合他社とのさらなる差別化につながると期待しています」と付け加えます。

Point6 クラウド活用へのさらなる提案を期待

その一方、新たな課題として浮上してきたのが、ハイパフォーマンスな流体解析システムの利用率向上に対するコストマネジメントです。
「ユーザーは新しいシステムを使い始めると、どんどんニーズが増してぜいたくになってくるものです。リソース使用量はもちろん、通信速度やディスク容量のアップなどに対する要求を、いかに損益分岐の観点から最適化していくかが、われわれITソリューション部における新たな課題になってきます。その意味でも将来的に、システムのパフォーマンスや各種データをリアルタイムにモニタリングしながら、利用率を適正に制御できるソフトウェアなどを日立さんに提供していただけるとうれしいですね」と今関氏は語ります。
また、一連のクラウド導入を支援した日立に対し吉清氏は、「日立さんは“鹿島の文化”というものを、いつもきちんと理解した上でシステム提案をしてくださいます。営業さんやSEさんとも意思疎通がうまくいっており、3月11日の東日本大震災当日も、“システムはきちんと動いていますか”と、すぐにご連絡をいただき、サポート力の強さを実感しました。今回の導入実績をふまえ、今後は解析系、基幹系も含めた他のシステムでもクラウド化への強いニーズが出てくると思います。引き続き効果的な提案をいただければうれしいですね」と笑顔を見せます。

Point7 クラウドで設計提案力と競争力の強化をめざす

クラウドサービスでは、マルチテナンシーによるスケールメリットでユーザー企業が常に最新のIT環境を利用できるのが大きなメリット。このため、進歩の速いオープンサーバ技術の恩恵を効果的に享受できるようになることも重要なポイントです。
「われわれ建設業の仕事は、常に自然を相手としています。環境意識の高まりや自然との共生といった観点からも、設計あるいはその前段階から、ここに構造物を作ったらどうなるのかを詳細にシミュレーションし、正確に評価・予測していくことが重要な課題になっているのです。そのため、今後も流体解析や構造解析などの分野では、より高度なコンピュータリソースやパフォーマンスが必要になってくるでしょう。本格稼働を開始した1月時点でも十分に高い処理性能を確保していましたが、4月からさらにパフォーマンスの高いプラットフォームを提供していただき、改めてクラウドならではのメリットを実感しているところです。これからも日立さんにはHarmonious Cloudの継続的な進化と、当社へのサポートを心から期待しています」と松田氏は語ります。
クラウドによる流体解析システムの活用により、今後は環境シミュレーションや広域災害予測のほか、一段とリアルな動きを表現できる3次元高精度シミュレーションなどを大規模構造物で実施し、設計提案力と競争力のさらなる強化を図っていきたいと意欲を見せる同社の皆さま。日立はその積極果敢な取り組みを、高信頼・高セキュアな日立クラウドソリューション「Harmonious Cloud」の強化・拡充を通じて、強力に支援してまいります。

高信頼・高セキュアな日立データセンタ

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