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CMOSアニーリング

大規模で複雑なデータを扱う社会課題に、最適な答えを導き出す技術

CMOSアニーリングとは?

CMOSアニーリングは、さまざまな組合せ最適化問題を高速に解くことができる、日立の独自技術です。

量子コンピューターの一種である量子アニーリングの仕組みを半導体上で疑似的に再現することで、手軽に扱える利便性を有しながらも、膨大かつ複雑なパターンから最適解を探索することに特化しており、幅広い分野での組合せ最適化問題への適用が可能です。

CMOS
Complementary Metal-Oxide Semiconductor

CMOSアニーリングと量子コンピューターの違い

従来の半導体コンピューターと量子コンピューターの違いを表した表。従来の半導体コンピューターの処理方式は論理ゲート(使用用途は汎用型)とアニーリング(使用用途は組み合わせ最適化に特化)があり、いずれも計算に用いる「ビット」には古典ビットを使用していて、計算に使えるビット数が多いため、大規模計算が可能である。また、常温で動作し実用化できている。(論理ゲート方式は私たちのパソコンやスパコンなど。アニーリング方式が「CMOSアニーリング」)一方、量子コンピューターの処理方式は量子ゲート方式(使用用途は汎用型)と量子アニーリング方式(使用用途は組み合わせ最適化に特化)があり、いずれも量子ビットを使用していて、計算に使えるビット数がまだ少ないため、大規模計算は難しい。また、マイナス273度の動作環境が必要なものが多い。量子ゲート方式の方は実用化できておらず、量子アニーリングの方は実用化できているが、ビット数が少ない。CMOSアニーリングは組み合わせ最適化に特化、大規模計算が可能で、常温で動作し、実用化できている。

CMOSアニーリングでできること

膨大かつ複雑なデータの中から最適な組合せを高速に探索することができるため、
従来の技術では計算が困難だった大規模な最適化問題を解くことが期待されています。
「組合せ最適化問題」は、以下のように、私たちの身近にさまざまな形で存在しています。

私たちの身近にあるさまざまな組合せ最適化問題。交通の渋滞緩和、製造の導線短縮、通信のアンテナ配置、金融のポートフォリオ、エネルギーの発電計画立案、物流・小売の配送計画立案、医療の医療資源配置、農業の作付計画立案など)

日立の優位性

日立は、幅広い分野でのお客さま業務に関する知識と、
CMOSアニーリングを活用した「組合せ最適化問題」を解く技術の両方を備えています。
豊富な知見を生かし、お客さま業務でのCMOSアニーリングの利用をトータルにサポートします。

シームレスなサポート体制

  1. お客さまの課題の明確化

  2. 課題を解ける数式に変換

  3. 課題に合わせた実装や
    カスタマイズ

  • 業務に精通した
    フロントSE・営業
  • CMOSアニーリング専門チーム
  • 研究開発部門
    技術開発部門

SaaS型のサービス提供

日立の最適化基盤上のCMOSアニーリングとアプリケーション群を準備することで、
ハードウェア、ソフトウェア、アプリケーションをまとめて利用可能です。

高度な専門知識は不要で、
手軽かつ迅速に実業務への適用が可能

  • 専門チームが業務面と技術面の両面で課題解決を支援。お客さまの課題の明確化から運用までシームレスにサポート
  • 開発環境の用意やアプリケーションの構築・保守が不要なため、手軽かつ迅速に利用開始できるほか、コスト削減にも寄与

ユースケース

ニュースリリース・関連情報

ニュースリリース・トピックス

2023年7月6日
ベトナム全土の郵便事業を中心としたデジタル化に向けて、国営企業のベトナム郵便と、デジタルインフラ構築と物流DXの実証を開始
2022年10月3日
疑似量子コンピュータ「CMOSアニーリング」のクラウドサービスを提供開始
2022年8月26日
量子関連技術で勤務シフト作成時間を5割超短縮、業務実証に成功
2020年10月19日
数十人、数百人規模の最適な勤務シフトを作成するソリューションを提供開始
2020年1月8日
半導体ベースの新型コンピュータを活用した損害保険ポートフォリオ最適化に関する実証実験を開始

関連ソリューション

記事・コラム

2022年3月31日
CMOSアニーリング&ファイナンス
2021年9月30日
量子コンピューターとCMOSアニーリング〜量子コンピューターの“今”と、半導体技術で大規模最適化計算に挑むCMOSアニーリング〜【前編】量子コンピューターとは
量子コンピューターとCMOSアニーリング〜量子コンピューターの“今”と、半導体技術で大規模最適化計算に挑むCMOSアニーリング〜【後編】半導体技術を活用した「CMOSアニーリング」
2020年11月19日
「10年先のコンピューター技術」を今!?CMOSアニーリングの性能に迫る! - Qiita Zine

関連サイト

CMOSアニーリング

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シフト最適化

事務センターやコールセンターなどにおいて、
複雑な要件を満たす勤務シフト表を作成

活用イメージ

人手で作成した勤務シフト表(Before)と、CMOSアニーリングで作成した勤務シフト表(After)の違い。Beforeは必要人数に対して全体的に過剰だが、Afterでは過不足のギャップを改善。

課題

  • シフト作成に多大な手間と時間がかかる
  • 個人やチームの能力・タスクといった細かな制約に人手で対応することには限界があり、人員の過不足が発生してしまう
  • 毎週固定のローテーションを組むケースが多く、勤務者の希望を柔軟に反映できない

技術の特長

  • お客さま独自の複雑な要件を考慮しつつ、必要人数に合わせたシフトを高速に作成可能
  • 日、時間帯ごとに「誰がどの業務を担当するか」、「休憩をとるか」など、細かい条件を指定してシフト作成が可能

効果

  • 人員の過不足を解消できることにより、機会損失を回避しながら人件費の抑制を実現
  • 急な業務量の増加や休暇希望の変更があった場合にも、迅速にシフトを再作成できるため、スタッフの満足度向上と勤務シフト作成者の負担軽減に寄与

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ポートフォリオ最適化

さまざまな制約を満たし、リスクが最小、
リターンが最大となるポートフォリオを算出

活用イメージ

多くの要素を考慮する必要がある、大規模な最適化問題を計算可能(従来は地域ごとに最適化していたがCMOSは全地域で最適化する)。さまざまな制約を考慮し、期待する収益率を達成できるポートフォリオを計算。

課題

  • 多数の投資対象から最適なポートフォリオを人手で計算するのは困難
  • 対象とする銘柄数の増加や制約条件の複雑さによって、計算に多くの時間がかかっている

技術の特長

  • 銘柄数が増加しても、迅速な計算が可能
  • 一度の計算で多数の銘柄を取り扱うことが可能

効果

  • 部分最適ではなく、全体最適化されたポートフォリオの組成が可能
  • 短時間での計算が可能になることで、迅速なポートフォリオの組み換えを支援

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ピッキング業務効率化

作業ロボットが注文された商品を倉庫の商品棚から
効率的に取り出す組合せを探索

活用イメージ

「店舗数」「商品の種類」など、組合せ数が膨大。CMOSの活用で最適な取り出し指示を立案する。

課題

  • 同時に取り出す商品の組合せによって工数が大きく変動
  • 全体稼働時間は、移動時間や取り出し時間など複数の要素からなるため、短縮できる箇所が不明確

技術の特長

  • 異なる出荷先の商品を同時に取り出し、作業工数を削減する「マルチピッキング」方式を最適化
  • 効率的な取り出し順序を出力

効果

  • 倉庫作業全体の稼働時間を削減
  • マルチピッキングの効率化と移動距離短縮を実現
  • ピッキングカート式倉庫や無人搬送車式倉庫への応用も可能

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