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ますます広がるブロックチェーン・テクノロジー

2017年6月1日〜2日にベルリンで開催されたBlockchain Expo Europeは、ブロックチェーンの適用範囲が金融業界に留まらず、より幅広い分野に適用されつつあることをうかがわせるものとなっていました。現状、最も適用が進んでいる金融系のアプリケーションを中心に、エネルギー、エンタテインメントも含めたユースケースの検討が本格化していることが明らかになりました。

銀行がハブとして機能するエコシステムの実現に向けて

こうした中で、スペインのSantander、ドイツのCommerzbankなどの有力な金融機関がBlockshain Expo Europeに登壇しました。象徴的だったのは、彼らがブロックチェーンの活用をエコシステムの文脈の中で語り、そのためにオープン・イノベーションを活用する姿勢を示していたことです。こうしたモデルは、異業種連携が進むSociety 5.0(*)の中で、銀行がハブとして機能するイメージと考えられます。つまり、今後の金融ビジネスにおいては、多様なコラボレーション・スキームの構築がより強く求められることになるのです。

* Society 5.0:
「必要なもの・こと(サービス)を、必要な人に、必要なときに、必要なだけ提供でき、社会のさまざまなニーズにきめ細やかに、かつ効率的に対応」できる「超スマート社会」の実現に向けた一連の取り組みのこと。政府が決定した「第5期科学技術基本計画」の中で重点テーマとされている。

Barclaysが取り組むオープン・イノベーション

日本国内に目を向けても、オープン・イノベーションに舵を切る金融機関が増加しています。それをグローバル・ベースで進めているのが英国のBarclaysです。Barclaysは世界各国にRiseと称する施設を設立しています。設立の目的は、FinTech関連のベンチャー企業への支援のみならず、投資家、専門コンサルタントなどに対し、よりクリエイティブな創造および連携の機会を提供することとしています。現在、Riseはロンドンをはじめ、ニューヨーク、マンチェスター(英国)、ビリニュス(リトアニア)、テルアビブ(イスラエル)、ケープタウン(南アフリカ)に展開されており、オープン・イノベーションの機会を全世界に求めていることが明らかになっています。
さらに、Barclaysではアクセレレータ・プログラムを組み合わせることにより、参加者に機会を提供するだけでなく、新しい技術発掘も行っています。こうしたBarclaysの取り組みは、オープン・イノベーションに取り組む典型的な金融機関の事例と捉えることができるでしょう。