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背景

近年のグローバル化により、世界的に統一された会計基準の必要性が増してきたことを背景として、国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards、以下IFRS)が制定されました。これにより、各国において会計基準をIFRSに合わせる動きが加速化しています。
例えばEUは2005年に、「欧州域内企業にIFRSを強制適用し、域外企業もIFRSまたは同等な基準を強制する」ことを発表しました。また米国では2008年に、2011年6月までに米国会計基準をIFRSに近づける方針の下、2014年12月期からのIFRS強制適用に向けたロードマップ案を公表しています。一方日本では、会計基準設定主体が2007年に、2011年6月までに日本会計基準と国際会計基準の差異の解消を図ること(コンバージェンス)と、金融庁が2009年に、2010年3月以降の財務諸表から原則として全ての金融商品に時価の開示を求めることをそれぞれ発表し、2015年を見通したIFRS強制適用(アダプション)の判断を2012年に行う予定としております。

日本の金融機関におけるIFRS対応の課題と対応策

日本の金融機関におけるIFRS対応では金融商品会計への対応が最大の課題であるといえます。コンバージェンスの一環である金融商品の時価開示により、日本会計基準とIFRSとの差異は多少縮まるものの、公正価値測定、減損処理、ヘッジ会計については、依然として開きがあると考えられます。具体的にはそれぞれ以下のような対応が必要となります。

公正価値測定
市場取引がほとんど無い金融商品(貸付金など)に対する理論的な価格算出モデルの構築
(市場価格が適用できる上場金融商品は考慮不要)
減損処理
期待損失(発生が予想される信用損失を考慮したもの)を反映させた将来キャッシュフローの見積りが行えるモデルの構築
ヘッジ会計
有効性テストの算定モデルの準備
(有効性テストの手法に関してIFRSでは数値基準は無く、考え方の原理原則のみ提示されているため)

またこの他に、金融商品の会計基準は改訂作業中であることから、今後発生する更なる基準改訂に対応できるメンテナンス面も考慮する必要があります。

日立の取組み

上記のような課題に対して、金融機関では、先進パッケージの活用により実績のある算定モデルを利用するとともに、導入時および基準改定時のメンテナンスの負担を軽減する動きが見られます。日立グループではFERNBACH -Software S.A.(本社:ルクセンブルク、以下、フェルンバッハ)(*1)と協業し、IFRSの金融商品会計対応のパッケージソフトウェア 『FlexFinance』を核としたソリューションを提供することで金融機関の金融商品会計対応を強力に支援いたします。

  • −『FlexFinance』の主な特徴−
    • 金融商品のサンプルポートフォリオやビジネステンプレートを約200種類用意
      (約200種類の金融商品及び各国の会計基準に対応する会計ロジックを装備)
    • 既存システムへの影響を低減する「外付け」対応
    • IFRS会計基準の変更に対応したバージョンアップ実施

日立グループでは、『FlexFinance』に関する業務コンサルティングから基盤SI、パッケージ導入、及び運用・保守までをワンストップサービスとして提供することに加え、パッケージ適用だけでなく既存関連システムとの連携も含めたIFRS対応のトータルソリューションを提供してまいります。

*1
フェルンバッハは、1986年に設立された、金融機関向けソリューションを得意とする、世界有数のソフトウェア会社です。ルクセンブルクに本社を置き、ドイツ、英国、スイス、オーストリア、香港、韓国に拠点をおいて活動しています。様々な国の会計基準に対応する会計ソフトを提供しており、特に欧州で導入が始まっているIFRSで、世界で70の金融機関に製品を導入しています。日立グループである株式会社日立コンサルティングは、2009年7月30日にフェルンバッハと提携し、金融業界向けソフトウェアFlexFinanceを日本で独占販売しています。