ページの本文へ

みずほ銀行の為替Webシステム基盤の確実な更改と、その基盤を有効活用したFXサービスチャネルシステムの新構築

【課題】
複数のサーバ/OSが混在する為替Webシステム基盤の確実な更改と、アジア拠点での取引を迅速化するシステムを構築したかった
【解決】
為替Webシステム基盤のLinux統一化と、そのリソースの有効活用により、同一基盤上にFXサービスチャネルシステムを新構築
【効果】
現行業務の最適化とメンテナビリティの向上に加え、アジア戦略の基軸となるシステムを実現

為替Webシステム基盤をOSも含めて全面刷新

 「One MIZUHO」というコンセプトのもと、銀行・信託・証券などの金融機能を備えた総合金融グループとしてグローバルビジネスを展開する、みずほフィナンシャルグループ。その中核となる株式会社みずほ銀行(以下、みずほ銀行)は現在、旧みずほ銀行、旧みずほコーポレート銀行、みずほ信託銀行で運用されてきた三つの勘定系システムを統合した新システムへの全面移行を急ピッチで進めています。このビッグプロジェクトを見据えて、日立は2015年2月に為替Webシステムの基盤更改を実施しました。

 「当行では、法人のお客さま向けに『みずほe-ビジネスサイト』を提供しています。今回、更改した為替Webシステムは、本サービスの中で外国為替取引業務を担う最重要システムとなります。2005年のサービス開始以来、国内9,000社以上におよぶお客さまにインターネットを使った為替予約や指値オーダーなど豊富な取引メニューを提供してきました。このたび、システムの老朽化と次期勘定系システムの統合を見据え、10年ぶりにシステム基盤の全面刷新を図りました」と語るのは、みずほ銀行IT・システム統括第二部 市場系システム推進チーム 調査役の樋口 春男氏です。

 日立は、ミッションクリティカルなシステム基盤に欠かせない信頼性と処理能力を実現するため、統合システム運用管理JP1、クラウドサービスプラットフォームCosminexus、日立アプリケーションフレームワーク「Justware」など実績あるミドルウェアとITプラットフォームを活用して為替Webシステムを構築し、保守を担当してきました。今回の基盤更改にあたり、日立はミドルウェアを最新版に刷新するとともにOSをLinuxへ統一することを提案しました。

 「既存の為替Webシステムは旧みずほ銀行用と旧みずほコーポレート銀行用のサーバがあり、OSもAIXとSolarisとで混在していました。OSを変更するとプログラム改修も増えるため、当初は不安もありました。しかし、綿密な事前検証を実施して問題なく移行できそうであったこと、またこれまで安定稼働を維持してきた日立さんへの信頼も後押しして、思い切ってOSの統一へと踏み切れました。その結果、将来的に二つの基盤とアプリケーションを統合したいという当行のロードマップに寄り添うだけでなく、OSの共通化によるコストメリットも享受できて、日立さんの提案には非常に満足しています」と樋口氏は頬を緩めます。

 2013年7月にスタートした基盤更改プロジェクトを日立とともに推進した、みずほ情報総研株式会社(以下、みずほ情報総研)銀行システムグループ 市場・リスク管理系システム事業部 第1部 チーフシステムエンジニアの谷口 卓也氏は「OSを一新するため、プログラム改修には予想以上に手間と時間がかかりました。しかし日立さんは早い段階から問題点を洗い出し、適切な対策を打ってくれたため、後続工程をうまく回すことができました。メンテナビリティが向上したことに加え、Linuxへの変更後も安定稼働を果たしているのは日立さんのおかげだと感謝しています」と当時の状況を振り返ります。

 為替Webシステムは次期勘定系システムのリリースにあわせて国内全営業店への展開が予定されており、外国為替取引の入力口一本化に貢献するものと期待されています。

並行してOne Stop FX機能も構築

[写真]みずほ情報総研株式会社:谷口 卓也 氏、高谷 友子 氏、株式会社みずほ銀行:樋口 春男 氏

 この基盤更改プロジェクトと並行して、日立はみずほ情報総研とともに、OneStop FX機能の構築プロジェクトにも着手していました。

 「現在、みずほ銀行はアジア地域でのトランザクションビジネスの戦略的拡大を図っています。しかし従来は電話対応により処理していたため、スピード面でも業務負荷の面でも課題がありました。そこで日立さんから“為替Webシステムの新基盤のリソースを生かし、同一基盤上に新機能として追加してはどうか”という提案があったのです。当行にとってコスト面でも開発効率面でもメリットがあるため、お願いすることにしました」と樋口氏は語ります。

 アジア拠点の担当者が使う為替Webシステム上に実装されたOne Stop FXは、他拠点に対する地場通貨の為替レート照会や取引のシステム化を実現した機能です。これまでは、一つのリクエストのたびに拠点間で電話対応をしていましたが、新機能では複数のリクエストを1アクションでシステム処理できるため、より迅速でリアルタイムな為替取引が実現できます。日立はLinuxで強化された為替Webシステムの新基盤を有効活用するとともに、為替レート照会の登録や担当拠点でのリクエスト・キャッチ・回答投入、画面自動更新による結果の通知などに既存システムの仕組みを活用。コスト低減を図りつつ、新機能を基本設計からリリースまでわずか10か月で実現しました。導入後は、アジア市場において、取引の迅速化によるお客さま満足度向上と現場担当者の負担軽減を両立する大きな効果を生み出しています。

 「新しい機能でしたのでコーディングや単体テストが終わった直後、日立さんには早々にプロトタイプを作ってもらい、ユーザー打鍵や仕様変更のヒアリング、画面やマニュアルの英語化などにも協力いただきました。またUATではシンガポールまで同行するなど、導入教育面も含めて手厚く対応いただき、大変ありがたかったですね。おかげさまでリリース後も問題は発生せず、タイ、シンガポール、香港などのユーザーからとても喜ばれています」と、みずほ情報総研 銀行システムグループ 市場・リスク管理系システム事業部 第1部 システムエンジニアの高谷 友子氏は笑顔で語ります。

User Acceptance Test:ユーザー受け入れテスト

金融システムの進化を支援し続ける日立

 こうした為替Webシステムの実績をもとに、現在日立が構築を支援しているのが「外国為替明細管理システム」です。本システムはみずほ銀行の外国為替取引の全明細を管理するシステムであり、外国為替取引の元帳を作成し、勘定系システムや関連システムをつなぐ重要な役割を持つことになります。

 「これまで勘定系で行っていた取引明細の管理を市場系に移管するもので、当行でも最重要システムと位置づけられます。その構築を日立さんにお願いしたのは、数々のシステム構築とアフターフォローを通して、われわれの信頼にきちんと応えてくれた実績と真摯な姿勢を高く評価したからです。今後も外国為替領域のメインパートナーとして、他のさまざまなシステムやソリューションに関する積極的な提案を期待しています」と樋口氏は語ります。

 大規模なシステム統合に挑みながら、外国為替業務の高度化を図るみずほ銀行。その取り組みを、これからも日立は豊富なSI技術・ノウハウと、多様な市場ニーズに柔軟に対応するシステムソリューションを組み合わせて、全力でサポートしていきます。

みずほ銀行に導入された為替Webシステムの概要

[お客さまプロフィール] 株式会社みずほ銀行

みずほフィナンシャルグループロゴ

[写真]株式会社みずほ銀行

[本店所在地]東京都千代田区大手町1-5-5(大手町タワー)
[発足日]2013年7月1日
[資本金]1兆4,040億円
[従業員数]27,522人(2015年9月30日現在)
[事業内容]預金業務、貸出業務、商品有価証券売買業務、内国為替業務、外国為替業務など

[お客さまプロフィール] みずほ情報総研株式会社

みずほフィナンシャルグループロゴ

[本店所在地]東京都千代田区神田錦町2-3
[発足日]2004年10月1日
[資本金]16億2,750万円
[従業員数]約4,700人(2016年4月現在)
[事業内容]コンサルティング、システムインテグレーション、アウトソーシング、調査研究サービスなど

特記事項

  • 本事例中に記載の内容は初掲載当時のものであり、変更されている可能性もあります。詳細はお問い合わせください。
  • 事例は特定のお客さまでの事例であり、全てのお客さまについて同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
  • はいたっく2016年7月号掲載記事
PDF形式のファイルをご覧になるには、Adobe Acrobat Readerが必要です。