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富国生命保険相互会社殿/安田生命保険相互会社殿

変額年金保険システム〜年金保険の銀行窓販開始にあたって〜

背景

2002年10月1日の年金保険の銀行窓販解禁にあたり、富国生命殿・安田生命殿は変額年金保険商品を販売することになりました。このため、両社は共同で2001年12月から「変額年金保険システム」の開発に着手し、2002年10月に本番稼動しました。

概要

本システムは、当社のIDC(*1)で提供するホスティングサービス(*2)を利用し、変額年金保険の契約管理業務を実現しています。具体的には、保険会社が利用する「契約管理機能」と、契約者が利用する「インターネットサービス機能」から構成されています。

「契約管理機能」は、保険会社の事務担当者が代理店から送付される新規契約者の申込書情報を登録したり、増額・減額などの異動処理や入金情報との自動照合する機能です。また、既存の特別勘定システムと連携し、ユニット価格の計算などをおこなうことができます。

一方、「インターネットサービス機能」は、契約者が積立金のファンドへの配分割合をいつでも自由に変更できたり、住所変更や各種問合せができる機能です。また、これらをインターネット上で受付けて契約管理システムへ連携することができ、契約内容や最新の積立金額を照会する機能も備えています。

[イメージ]変額年金保険システム概要
【図】変額年金保険システム概要

特徴と効果

本システムの特徴と効果は次の通りです。

 1. 全工程でのITコンサルティングサービスの適用

昨今のシステム構築ではエンドユーザ部門の役割がこれまで以上に大きくなり、システム部門間にも様々な調整事項が発生し、開発が長引く傾向があります。また、共同開発とはいえ、両社間で要求仕様に相違があります。当社では、要件定義をはじめシステム構築の全工程で、それらの調整事項について、お客様の各々の立場に立ちながら主体的に参画して支援しました。これにより、プロジェクトを円滑にかつスムーズに進め、短期間での本番稼動を実現しました。

 2. 日本国内仕様の業務パッケージ

本システムは、日本国内仕様の変額年金保険業務システムとして開発し、当社が他の生命保険会社にご提供しております。仕様に関する問合せや調査分析はすべて日本国内で完結し迅速に対応できるシステムです。

 3. コスト削減

本システムは共同開発のため、両社負担の開発コストを大幅に軽減することができました。また、IDCを活用したことで、初期導入コストを抑制できたうえ、情報システム部門の体制が少人数で業務運用できるようになり、コスト削減につながりました。

企画者・開発者へのインタビュー

[写真]宮崎 孝行 氏
富国生命保険相互会社
顧客サービス部
宮崎 孝行 氏

[写真]神津 啓太 氏
安田生命保険相互会社
法人渉外部
神津 啓太 氏

わが国では、金融ビッグバンによる規制緩和が急速に進んでおり、銀行による保険商品の窓口販売が2001年4月から可能になりました。その後の規制緩和で取り扱い保険商品の範囲はさらに拡大され、翌年10月より年金保険についても銀行窓口での販売ができるようになりました。

そのような背景から、私ども富国生命と安田生命は、変額年金保険システムの検討を共同でおこなうことになりました。この共同開発は、両社が約3年前からコスト削減と共有化を目指した包括業務提携の成果のひとつです。

2001年11月、私どもは共同でプロジェクトを立ち上げ、変額年金保険システムの具体的検討を開始し、ベンダの選考を始めました。当初は既に欧米で稼動実績がある海外のパッケージを検討しておりましたが、制約事項やカスタマイズが多く、保守も複雑だと判断しました。そこで、日立殿から、日本国内の仕様にあわせて、メインフレームよりもシステム変更対応が容易なクライアントサーバ型での構築をするという提案がありました。検討を重ねた結果、以前に両社のGIC型商品管理システムをスピーディーに開発し、保険商品の業務知識が豊富で信頼できるという点で日立殿の採用を決定しました。

日立殿を含めた3社は、2002年2月までに基本設計の完了を目標に週2回ペースで定例会を実施しました。定例会では、日立殿がリーダーシップをとり、両社の商品の相違を前提にしながらも、業務フローや帳票類を極力共通化できるようにたたき台を作成していただきました。それに基づき3社で議論をおこない、私どもが持ち帰って確認をおこなうという形式をとりました。これにより、わずか約2カ月で両社の共通仕様が纏まり、各社個別仕様の策定やその後の作業がスムーズにおこなえました。また、システムテストについては、私どものエンドユーザ部門が中心になってテストパターンを作成し、実施しました。これについては、1社ではテスト漏れになりそうなことでも、両社で補完しながらでき、共同開発のメリットが生かされました。

今回のシステムは、検討期間が短い上、本番時期が決まっており、限られた期間で開発する必要がありましたが、2002年10月1日に無事に本番を迎えることができました。現在もシステムがダウンして全く動かないなどの大きなトラブルもなく安定して稼動しています。

私どもは今後ともお客様にご満足いただけるように、情報開示やネット受付などの各種サービスの充実に一層力を入れてまいります。また、この時代に沿って、スピード感を優先したサービスを心がけてまいります。

  • * 本稿は、富国生命顧客サービス部 宮崎課長と安田生命法人渉外部 神津主査のインタビューを編集部でまとめたものです。

[お客さまプロフィール] 富国生命保険相互会社

(2002年3月末決算報告)

富国生命保険相互会社
会社名富国生命保険相互会社
本店〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2
代表者秋山 智史
総資産4兆7,531億円
保険料等収入 7,646億円
従業員数14,537人
URL http://www.fukoku-life.co.jp/ (新規ウィンドウを表示)
安田生命保険相互会社
会社名安田生命保険相互会社
本店〒169-8701 東京都新宿区西新宿1-9-1
代表者宮本 三喜彦
総資産9兆7,786億円
保険料等収入1兆3,983億円
従業員数21,382人
*1
IDC:Internet Data Center
*2
ホスティングサービス:インターネットなどで、サーバの一部領域をユーザに貸し出し、ユーザ独自のWebサーバとして運用するサービス