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株式会社 東京金融取引所

取引所為替証拠金取引/取引所株価指数証拠金取引の構築事例

「くりっく365」新基盤の開発・運用をトータルに受託

 2006年夏から始まった新システム基盤のリプレースプロジェクト。そこで新たなSIパートナーとして選定されたのが日立でした。
 「ミッションクリティカルな取引所のシステムをトータルに構築できるベンダーそのものが日本では数社しかありません。さらに今回は、従来以上の高信頼・高拡張を要件とするフルスクラッチのシステムを、21か月という短期間で構築しなければならないという厳しい条件が加わりました。それに対し“できる”と応えていただけたベンダーは、日立さん以外にはなかったのです」と語るのは、システム部長の小原 隆二氏です。
 市場トレンドに先駆けたスピーディな立ち上げが要求される取引所システムは、実績あるパッケージ導入が大きな潮流となっています。東京金融取引所においても、金利先物取引市場のシステムは海外で広く利用されているパッケージベースとなっています。しかし「くりっく365」をはじめとした、日本特有の市場や新商品向けのシステムでは、さまざまなビジネスパートナーとのシステム連携や、法改正に対応した頻繁な要件変更が欠かせません。
 「そうした拡張性や柔軟性を考慮すると、今回もフルスクラッチによる自社開発がベストだと考えました。また、ますます増加する取引量と24時間の安定稼働に耐えうる信頼性・可用性を担保するため、プラットフォームOSも大規模な社会インフラを支える実績を持つAIXに転換することを決断しました」と小原氏は説明します。
 2007年1月、東京金融取引所 システム部とともに新システム基盤の開発に着手した日立は、数多くの国内取引所システムの開発で培ってきた実績・ノウハウをベースに、FX売買・清算システムの基本設計からプログラム開発、各種テスト、実装までをスピーディに展開しました。従来システムでは先延ばしになっていた追加機能や、取扱会社のすばやい参入を容易にするネット取引ASPサービスの開発も含め、ピーク時に300人もの熟練技術者とSEを投入し、キックオフから21か月後の2008年10月、予定どおりにシステム本稼働を果たしました。 

システム基盤を構成する“オール日立”の製品群

 新基盤システムの中核プラットフォームには、POWER6®プロセッサーによる高い処理性能とスタッカブルSMP構成によるスケーラブルな拡張性、AIX®の高信頼化機能による堅ろう性を兼ね備えた日立エンタープライズサーバ「EP8000」が選ばれました。周辺システムでは統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony BS1000」、日立アドバンストサーバ「HA8000」が脇を固め、データを格納するストレージシステムには「USP V」と「Hitachi Adaptable Modular Storage2000」を適用しました。基盤上では統合システム運用管理「JP1」、SOAプラットフォーム「Cosminexus」、ノンストップデータベース「HiRDB」などによる高性能なハイトランザクション環境が実現されており、システム全体がセキュアで堅ろうな日立のデータセンターでアウトソーシング運用されています。
 「高信頼なサーバ、ストレージ、データベース、それらの緻密な連携と安定稼働を担うミドルウェア。基盤を構成するほぼすべての要素を日立さんの製品で取りそろえました。それはシステムの性能と信頼性をきちんと確保するとともに、万一の障害発生時にも日立さん側でソースコードを一括把握した迅速な対応が可能になると考えたからです」(小原氏)。
 FXをはじめとする金融先物取引はきわめて高度なミッションクリティカル性を持っており、取引時間内のシステムダウンは絶対に許されません。グローバルな金融市場と連動した24時間365日のシステム稼働を支える信頼性と、取扱会社や取引量の増加に対応する柔軟性の両立は、東京金融取引所と日立の双方に課せられた大きな社会的使命といえるでしょう。
 「24時間休むことのない大規模システムの性能設計や信頼性設計が非常に難しいということは、われわれも十分に承知しています。日立さんは短い期間内で、みごと期待どおりの成果を出してくれました」と小原氏は喜びます。
 延岡氏も、「本稼働以降、市場を停止するようなトラブルはまったく起こっておらず、システムは日々、非常に安定しています。当社に設置されたJP1の統合コンソールにより、稼働状況も逐一把握できます」と笑顔で語ります。
 取扱会社や取引量の増加に合わせたITリソースの追加についても、日常的な稼働監視のもと、最適なタイミングでのシステム増強を図っているため、「コスト面においても高効率なシステム運用ができています」と延岡氏は高く評価します。


EP8000


Hitachi Universal Storage Platform V

日本初の取引所株価指数証拠金取引「くりっく株365」も同じ基盤上で稼働開始

 そして2010年11月22日、「くりっく365」と同じ基盤システムを利用した新商品が上場されました。株価指数を取り扱う取引所株価指数証拠金取引としては日本初となる「くりっく株365」です。
 この商品は従来の株価指数先物取引とは異なり、取引期限に制約がなく、また「日経225証拠金取引」ではほぼ24時間の取引が可能となっています。世界の主要な株価指数であるイギリスの「FTSE100」、ドイツの「DAX®」など、国外の株価指数でも為替レートを気にすることなくそのまま円価格で取引ができるほか、「売り」からも「買い」からも取引ができるため、株価指数の上昇局面でも下降局面でも利益をねらうことが可能です。また税制面においても、税率一律20%や3年間の損失繰越といった税制優遇など、数々の優れた特徴を備えています。
 小原氏は「最も大きなポイントは“わかりやすさ”です。通常の株投資では特定企業の株を売買しなければなりませんが、それが一般的な相場の上下に連動するとは限りません。しかし日経225など、ニュースや新聞で身近な株価指数なら相場の変動を予想しやすいでしょう。今回の“くりっく株365”の上場により、従来から“くりっく365”をご愛顧いただいていた投資家の皆さまの選択肢や利便性がさらに大きく広がったと考えています」と語ります。

特記事項

  • ●「くりっく365」および「くりっく株365」の取引は、預託すべき証拠金額に比して、 取引金額が大きいため、相場次第で、差し入れた証拠金以上の損失が発生することがあります。
    また、税率・課税関係は、税法やその解釈が将来変わることがあります。
    詳しいリスクについて


  • ●「日経平均株価」は株式会社日本経済新聞社(以下「日本経済新聞社」という)によって独自に開発された手法によって算出された著作物であり、日本経済新聞社は「日経平均株価」自体及び「日経平均株価」を算出する手法に対して、著作権、知的財産権、その他一切の権利を有しています。「日経平均株価」を対象とする株価指数証拠金取引(以下「本件証拠金取引」という)に関するすべての事業、取引規制および実施は、専ら株式会社東京金融取引所(以下「金融取」という)およびその参加者の責任であり、それらについて日本経済新聞社は一切の義務ないし責任を負うものではありません。
    本件証拠金取引市場を運営するに当たり本件証拠金取引に必要となる「日経平均株価」採用銘柄の配当落ち分は、金融取の責任の下、算出及び公表しています。
    日本経済新聞社は「日経平均株価」の採用銘柄、算出方法、その他「日経平均株価」の内容を変える権利および公表を停止する権利を有しています。
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  • ●この事例の内容は、2010年12月現在のものです。