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三井住友海上火災保険株式会社殿

合併効果の早期実現に向けて〜店舗/端末統合作業〜

背景

2001年10月、互いに業界No.1を目指す住友海上殿と三井海上殿は合併し、三井住友海上殿としてスタートしました。

両社は合併を決定してから、各分野で提携や共同開発を開始し、事務の統一を図るなど様々な準備をおこなってきましたが、店舗についても、合併前の両社合計570ヶ所を370ヶ所に統廃合することとなりました。また社内システムについても、新会社ではすべての店舗において共通のシステム環境で業務がおこなえるよう、合併時までに端末の統合を完了させることとしました。

本ページでは、短期間に数多くの店舗を統廃合し、同時に2社の社内端末を統合新会社のシステム仕様に改造して展開した同社の作業について、そのポイントをご紹介します。

概要

これまでの金融機関の大規模合併では、合併前の限られた期間に店舗統合・端末統合の両方を実施する例はありませんでした。しかし三井住友海上殿では、合併効果を早期に得る施策の一つとして、合併前に店舗・端末の両方を統合することにしました(以下、両作業をあわせて「統合展開作業」と呼ぶ)。

まず端末統合については、旧住友、旧三井それぞれで使用してきた端末について、新会社仕様に改造できる端末、できない端末に区分けし、できない端末については新機種への入れ替えをおこなうこととしました。新会社仕様に改造する場合、統合作業は現地店舗でおこない、現地ユーザが利用できない時間が極力生じないようにしました。

また、両社の端末ユーザインターフェースの統一を図るため、合併直前に環境を整える必要がありました。この作業については、合併直前の一定日に端末を立ち上げるとプログラムが自動実行される仕組みを取り入れることで、現地ユーザに負担をかけずに切替をおこないました。

さらに合併後、三井住友海上殿の関連会社など、いまだ端末が不足している拠点への端末配備を実施し、2001年末までに必要な配備を完了させました。

一方、全国の店舗統合作業は、両社総務部と合同で検討を重ね、パイロット店舗のテスト実施後、毎週30〜40店舗ずつに分け、2001年6月〜9月の約4ヶ月にわたって実施しました。

また、合併後、店舗のニーズでレイアウト変更が必要な場合、これを順次実施し、2002年1月末までに完了させました。

当社の役割

当社が取組んだ主な統合展開作業は次のとおりです。

統括担当の業務

  1. 店舗・端末統合方式の検討と作業計画立案の支援
  2. 確実な統合作業に向けた展開スケジュールや作業工程の作成、それらに関連する他ベンダや他業者との調整業務
  3. 作業当日の現地指示、作業の進捗確認や障害発生時の不具合箇所の切り分けと関連部署への展開

全国店舗での作業

  1. ビル・フロア間のシステム機器移設
  2. 新社内端末への改造・入替え
  3. 電源、ネットワーク等の設備工事

統合展開作業では、両社のシステム部や総務部・ベンダ・店舗・その他の関連業者と、様々な調整事項が発生します。当社では、それらの調整事項について三井住友海上殿の立場にたって、計画立案を支援しました。三井住友海上殿では、全国の拠点を本店、東日本、中日本、西日本といったいくつかのブロックに分け、それぞれにシステム部の担当者を置いて実務にあたりました。当社もこれに呼応する形でブロック担当のSEを配置し、両社システム部の社員と連絡を密にして作業を遂行しました。

また、計画の立案から店舗での実作業とその統括まで一貫しておこなったため、様々な事態にも臨機応変に対応でき、現地ユーザの業務事情を最優先した作業を実施できました。

三井住友海上殿へのインタビュー

[写真]統合展開チームの皆様
【三井住友海上殿 統合展開チームの皆様】

私ども三井住友海上は、互いの強みを活かし「お客さまにとってのベストな商品・サービス」をご提供することを目指して、2001年10月に合併しました。中期経営計画「MS Wave」においても、全員が一体となり合併効果を早期に実現することを掲げ、お客さまニーズに応えることを目標にしています。

合併発表後、情報システムについてはシステム専門部会を結成し基本的な方針を策定していきました。この中で、店舗・端末統合に関する具体的な方針・方式については、プロジェクトチームを発足させて検討を始めました。当初、両社システム部の店舗・端末統合担当は、住友が八王子、三井が千葉ニュータウンと地理的に離れていたため、打ち合わせひとつおこなうにも効率が悪く、また店舗統合作業に不可欠なレイアウトの管理についても不便を感じていました。そこで、2001年2月、両社の中間点である両国に「統合展開センター」を開設しました。これにより、両社システム部・総務部・ベンダが同一ビルで作業できるようになり、情報共有を確実におこなえるようになりました。本センターの役割は、全国で実施される統合展開作業の司令塔として、作業遂行のための施策を検討し実施するというものです。具体的には、統合展開作業のスケジュールや作業手順を計画立案したり、店舗作業当日に指示を出したり進捗状況を確認するといった統括機能を担いました。

プロジェクトチームでの検討においては、いくつかの重要課題がありましたが、特に旧三井社側の検討過程で大きなターニングポイントとなったのが、店舗と端末の統合作業のうち、どちらを先におこなうかという問題にぶつかった時でした。当初、旧三井社では作業を確実に遂行するため、端末統合を店舗統合より後に実施する予定でしたが、コストもロードも二重にかかるという問題を抱えていました。そこで日立殿と検討を重ねた結果、「作業手順の合理化により店舗と端末の統合作業を同時に実施する」という案が浮上し、これにより事務ロード・作業ボリューム・コストの削減が可能との結論に達しました。この大幅な方向転換を決定したのは本番展開を間近に控えた2001年4月でしたが、その後急ピッチで事務フローや実施スケジュールを練り直し、無事に本番展開に入りました。

本番展開は2001年5月末から開始しましたが、合併前、かつ店舗と端末を同時に統合する作業ということでいくつかの工夫をしました。例えば、合併前に同一フロアに両社が入居した場合、必要な間仕切りはおこないつつ、端末のアドレス体系の統一を図りました。この間仕切りを合併後に取れば、すぐに新会社仕様の端末として使えるようにしました。また、事務についても細部まで指示を徹底するための業務連絡票を作成し、効率良い事務フローを確立して、作業の漏れがないように工夫しました。

今回の作業を通じて、週末の作業実施後、週明けの業務開始時に店舗全体の端末が動かない、ネットワークが通じないという大きなトラブルは全くありませんでした。これは全体のスケジュールや個別店舗の作業管理をおこなうにあたって、日立殿他関係各社の強力な支援があったおかげだと感謝しています。

当社は今後とも、お客さまに「最高品質の安心と安全」をお届けできるよう、グループ全員一体となって、一層の努力を重ねてまいります。

  • * 本稿は、三井住友海上IT推進部 端末グループ 大植課長代理他皆様へのインタビューを編集部にてまとめたものです。

[お客さまプロフィール] 三井住友海上火災保険株式会社

(2001年3月末の2社合算数値)

三井住友海上火災保険株式会社
会社名三井住友海上火災保険株式会社
本店〒104-8252 東京都中央区新川2-27-2
資本金約1,284億円
総資産約7兆2,000億円
正味収入保険料約1兆1,600億円
従業員数約14,000人
URL http://www.ms-ins.com/