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ビッグデータ×AI(人工知能)

クーポンサービスの強化にHadoopを導入 “勘”を排除した最適なレコメンドを実現

[かんたんHadoopソリューション 導入事例]

マーケティング効果向上のためにビッグデータを活用したいが、そのためにHadoopを導入するのは荷が重い−。このように感じている企業は少なくない。

しかし最近では、こうした悩みを解決できる手段も増えている。その一例として紹介したいのが、レコメンドクーポンサービスの強化を成功させたネットパイロティングとユニックスのケースである。

両社はそのデータ分析基盤に日立の提供する「かんたんHadoopソリューション」を導入。これにより、サービスの規模を拡大するとともに運用の省力化も実現している。

効果の高いレコメンドクーポン 規模拡大への対応が重要課題に

武田 正英氏 写真
ネットパイロティング株式会社
ソリューションサービス部
ソリューショングループ
武田 正英氏

 ネットパイロティングはヘルス&ビューティケア分野を中心に、マーチャンダイジング支援などのサービスを提供するIT企業。ユニックスは流通小売業向けのITパッケージやサービスを提供するIT企業だ。両社は2013年8月に共同で、ドラッグストアチェーンを対象にしたレコメンドエンジン「ReNU(レニュー)」とそのデータを活用したレコメンドクーポンサービス「ER-CRM」を発表*。Hadoopをベースにしたシステムを構築し、2014年2月からバージョンアップしたサービスを提供している。

 「ReNUは、ユニックスの売上情報管理システムのデータと、私どもの商品情報を掛け合わせることで、一人ひとりの消費者に最適化された“レコメンド情報”を出力するサービスです」。こう説明するのは、ネットパイロティングでReNUのシステム開発リーダーを務める武田 正英氏だ。商品情報には商品のプロファイルと、それにひも付けられた顧客プロファイルが格納されている。この情報を実際の購入商品データに結びつけることで顧客像を推測し、レコメンドを生成。例えば、女性が高級シャンプーやトリートメントを購入したのであれば、美容にお金をかける層の可能性が高く、高級な美容クリームなどのスキンケア製品を購入する可能性も高い。このようなレコメンドをクーポンとして提示し、それに対する消費者の対応をフィードバックすることで、より精度の高いレコメンドが可能になる。これはすでに関連特許も取得済みだという。

 ER-CRMのサービスは2010年10月から始まっており、2014年2月のバージョンアップはReNUエンジンによって強化した“第2世代”という位置付けだ。「5社21店舗にて実証実験を行ったところ平均で来店回数11%上昇、顧客一人当たりの買い上げ点数15.5%上昇という効果を発揮しました。また顧客の購買パターンによってクーポン価格を変動させることで、利益率の最適化も可能です」と武田氏は語る。

 今回、このサービスにHadoopを導入することになった最大の要因は、従来のシステムでは規模拡大が難しいと判断したからだ。第1世代ではレコメンド処理をExcelのマクロで行っており、一部の作業は人間の手で行われていた。約30万人が会員になっていたが、人手による作業には限界があったと武田氏は振り返る。

 「当社のIT部隊は、少ない人数で数多くのプロジェクトを回しています。人員を増やすことなくHadoopを導入・運用するにはどうすればいいのか。これが大きな課題でした」(武田氏)

製品の信頼性と対応速度を評価 Hadoop導入でも日立が最適と判断

 この課題の解消に向け、同社では様々な方向からアプローチを検討。最終的に日立の提供する「かんたんHadoopソリューション」を採用した。その理由を武田氏は次のように語る。

 「2011年に行ったSaaSインフラ刷新の際、サーバーを日立製品へと移行したところ、故障率が大幅に下がった上、消耗部品が故障した際の対応も迅速になりました。今回の新サービスの強化でも、可能な限り時間や人的リソースを事業の立ち上げに割きたい。そのためには、信頼性の高い製品選びが重要だと思い、Hadoopの導入・構築も日立に相談したのです」

 武田氏がReNUのアーキテクチャ検討に着手したのは2013年2月。その翌月には日立に、Hadoopの利用を前提としたシステム構成の提案を依頼している。ここで提案されたのが「かんたんHadoopソリューション for ログ解析」をベースにしたカスタマイズ構成だった。パッケージ化されたソリューションを活用することで、導入・構築のリソースとコストの抑制が可能になるからだ。アプリケーション開発がスタートしたのは2013年5月。7月には実機テストが行われ、3月に提案された構成で十分な性能が出ることが確認された。

 「とにかく日立の対応はスピード感があり、提案内容も的確です。また細かい情報を日立と共有することで、Hadoopのアプリケーション開発で問題になりやすい部分も明確になり、開発のトライ&エラーも最小限に抑えられました」(武田氏)

 2013年11月には、日立のパートナーである大塚商会がシステムの導入・インフラ構築を実施。そのわずか2カ月後の2014年1月には結合テストを完了し、2月には本番稼働が始まっている。

人員は増やさず規模拡大が可能に 目標は1000万人規模の会員獲得

 ReNUおよびER-CRMにおける情報の流れは図に示した通りだ。

 まず店頭のPOSレジスターから、会員(消費者)ごとの売り上げ情報が、総合情報分析サービスに収集される。この情報は日次でHadoopに送られ、商品情報データベースのデータと掛け合わされ、会員ごとのレコメンド商品が選定される。これをさらにクーポンマスタ情報と照らし合わせることでクーポン候補が選定され、レコメンドクーポンが作成されるのである。クーポンの情報は端末管理システムへと送信され、店頭のKIOSK端末や会員のスマートフォンからアクセスされる。

 会員によるKIOSK端末の操作情報は、端末管理システムを介して店員用タブレットに送られる。会員の行動を把握しやすくすることで、店員から来店者への的確なアプローチを支援しているのだ。またこの情報はログとしても記録。商品情報データベースやレコメンド商品選定、クーポン選定へとフィードバックされ、レコメンドの精度向上に生かされている。

 「Hadoopへの移行によって、データ処理の拡張性は大幅に拡大しました」と武田氏。現在と同じ人員数のまま、1000万人規模の会員数にも対応することが可能だという。また会員の行動ログをレコメンド選定にフィードバックすることで、データ処理を完全に自動化できたことも大きなポイントだと指摘する。これによって人間の勘を排除した、ぶれの少ないレコメンドが可能になるからだ。

 今後はプロモーション活動を積極化し、ER-CRMの採用店舗を増やしていく計画だ。

 また将来はECサイトなど、他システムへのレコメンド情報提供や、レコメンド作成のリアルタイム化に向けた取り組みも進めていく予定だ。

図 レコメンドエンジン「ReNU」に関する情報の流れ

データ分析にはHadoop上のDWH環境の「Hive」と「かんたんHadoopソリューション 」を組み合わせて使用しており、データストアには分散型KVS(Key-Value Store)の「Riak」を使用。これらを日立製作所の機器上で稼働させている。

USER PROFILE

ネットパイロティング株式会社

ネットパイロティング株式会社
ヘルス&ビューティケア分野を中心に、マーチャンダイジング支援・e-ラーニング・チェーンオペレーションプロセス管理のソリューションを提供するIT企業。データ・コンテンツ・アプリケーションの融合によって、メーカー・卸・小売業の業務効率化・高度化に貢献している。

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株式会社ユニックス

株式会社ユニックス
流通小売業向けのITパッケージ製品、VANセンターによるEDI・情報処理サービス、ASPセンターによるシステムサービスを提供するIT企業。小売・流通市場のITビジネスで蓄積された30年間のノウハウによって、顧客企業の情報化経営の実現を支援している。

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株式会社大塚商会

株式会社大塚商会
システムインテグレーション事業とサービス&サポート事業を展開するITソリューションプロバイダー。2つの事業を柱に、顧客のビジネスチャンス獲得やコスト削減、生産性向上、競争力強化に役立つ最善の解決策を、ワンストップで提供し続けている。