ページの本文へ

Hitachi

情報制御プラットフォーム

インタフェース仕様公開について

今日、製造業に代表される産業界は、社会・市場ニーズの急速な変化への対応が求められています。経済状況、需要変動、環境問題へ迅速に対応し、それに合せた生産設備やソフト・サービスの変更が必要であり、これらの神経系統となる制御システムについても、段階的構築、短期間での変更等、一層の柔軟性が求められています。また、昨今のダウンサイジング、オープン化の浸透は制御システムにも大きなインパクトを与え、システム構築にあたっての要求仕様は、より細密化・低価格化へと進んでいます。こうした状況を踏まえ、当社では1994年にEthernetベースのオープン自律分散システムおよびネットワークを開発しました。これは、従来の自律分散が備えているシステムの柔軟性、信頼性に加え、パソコンや汎用LAN等に対応した汎用性、オープン環境での接続性、分散開発環境の充実等の向上を図ったものです。
その後、日立製作所は、それまで当社独自のシステムアーキテクチャであった自律分散を、よりオープンな環境で幅広い分野へ適用を図るため、1996年に仕様公開(有償)を実施しました。また、同時にワークステーションやWindowsパソコンなど、各コンポーネントごとの自律分散ソフトウェアパッケージの販売も開始しました。こうしたオープン化への活動により、多数の制御機器メーカーやサーバーメーカー、流通ソフトウェアメーカーなどが、公開仕様に基づき対応製品を開発してきました。これらを活用することにより、最適な機器構成による一層使い勝手の良いシステム構築が可能となりました。

MSTC((財)製造科学技術センター)/JOP(FAオープン推進協議会)では、この公開された規格をベースに、大学・ユーザー・ベンダーが参加して、オープン化・標準化が進められました。 その結果、Ethernetベースのオープン自律分散ネットワーク(ADS-net)のインターフェース仕様が、JOP仕様として策定されました。MSTC/JOPでは、ADS-netを用いて実際にマルチベンダーシステムを構築し、その接続性や性能評価、そして、自律分散の持つ柔軟性等を実証しました。ここで標準化された新しい規格および実証システムは、各種展示会等で紹介され、注目を浴びました。その標準規格は、自律分散プロトコル仕様書(和文版・英文版共)として、MSTCのホームページより1999年に無償公開されました。この仕様に基づいて、世界中の誰もが自由にロイヤリティフリーで、Ethernetベース自律分散ネットワーク(ADS-net)を開発・販売・使用できるようになりました。

今後、当社では、自律分散システム応用技術の更なる展開、MSTC/JOPでの標準化・機能強化の支援、オープン自律分散を活用した各種製品レパートリーの強化、自律分散を導入される開発者へのサポートなどを通して、エンドユーザー/システム開発者双方に対する利便性をより一層向上させるよう、ご支援させていただきます。

国際的展開と標準化への期待

OA系でのネットワーク接続の標準化に比べ、遅れていると言われるFA系での情報制御の標準化が求められています。特に、最も接続が困難とされているシーケンサー接続の標準化への期待が大きいようです。一方、製造業や非製造業などのエンドユーザーの立場からは、先行き不透明な市場に迅速に対応するための段階的システム構築や、低価格パソコン・シーケンサーを用いた低価格システム構成、さらに使い慣れた市販のOAソフトを活用した利便性に優れたシステム開発などのニーズがあります。
オープン自律分散システム(およびADS-net)は、こうしたエンドユーザーニーズに対応するとともに、Ethernet・TCP/IPといったOA・FAを問わず業界標準となっているネットワーク上でマルチベンダー・マルチコンポーネントのシステム構築の実現により、システム開発者の負担も軽減します。特に、シーケンサーに対してもパソコンやワークステーションと同じ感覚で接続・制御が可能となりますので、アプリケーション開発者にとっては開発工数の大幅削減が期待できます。オープン自律分散システム(およびADS-net)の導入により、特別なハードウェアやOS、ネットワークを用いることなく、FA分野におけるユーザーニーズへのソリューションの提供が可能になります。

MSTC((財)製造科学技術センター)/JOP(FAオープン推進協議会)において、日立が公開したオープン自律分散の規格が昨今のFAシステムのオープン化、ネットワーク化の要求に応えるものと評価され、1996年から1999年にかけて、標準規格の策定と、この自律分散の有効性を確認するプロジェクトが推進されました。その規格書は英訳されMSTCのホームページを通して世界に公開されました。さらに、国際標準化としては、ISOやOMGなど国際標準化団体への提案が行われ、標準化に向け活動推進中です。ISO関連では、ISO/TC184/SC5/WG5にて、ADS-netを含むEthernetベースの制御ネットワークのフレームワーク標準化提案がNWIP (New Work Item Proposal) として日本より提案され、国際投票の結果、標準化推進の方向で採択されました。その後、2003年には、ADS-netは国際標準(ISO15745)となりました。ADS-netは日本発の国際標準ネットワークとして、世界をリードしていくものと期待されています。

また、日立はODVA (Open DeviceNet Vendor Association, Inc.)にファウンディングメンバーとして参加し、DeviceNetの普及活動および仕様の補強を行いました。ここでも、自律分散システム技術は、信頼性の向上・保守性の向上・拡張性の向上のために種々の仕様に採用されており、DeviceNetの適用範囲を広げることに寄与しています。

さらに、自律分散システムは、自律分散システム国際会議(ISADS)を始めとして、国際的標準化活動も推進しています。

オープン自律分散システム(およびADS-net)は既に世界中の多数のシステムで活用されており、今後も、自律分散システム技術を適用した機器の種類が国際的にさらに広がり、その結果として、FAシステムの構築がより一層容易になるものと期待されています。