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病院運営支援ソリューション:PET検診支援

PET薬剤の製造

PET検査は専用の薬剤(PET薬剤)を用います。PET薬剤は短半減期の放射性同位元素(RI)を使用するため、病院内で製造するか、または、製薬メーカーから日々必要数を購入する必要があります。

PET薬剤を製造するためには加速器、PET薬剤合成装置などが必要です。

加速器

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加速器の役割は、PET薬剤に用いる放射性同位元素(RI)を製造することです。

RIは高いエネルギーをもつ荷電粒子とRIの原料であるターゲットとの核反応により製造されます。この「高いエネルギーを持つ荷電粒子」を作り出すのが加速器です。

  1. 写真中央の「イオン源」と呼ばれる装置で荷電粒子を作り出します。
  2. 荷電粒子は、電磁石で作られる磁場でらせん状に軌道を描きながら、加速電極により発生する高周波電場で加速され、除々にエネルギーを増加させます。
  3. 所定のエネルギーまで加速された荷電粒子は、ターゲットに照射されます。
  4. ターゲット物質と荷電粒子の核反応によりPET薬剤に用いるRIが製造されます。

PET薬剤合成装置

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加速器で製造されたRIは自動的に移送され、PET薬剤の合成に用いられます。

加速器で製造されたRIをPET薬剤の原料と化学的に合成(標識化反応と呼びます)させるための装置がPET薬剤合成装置です。例えば、がんの検査に用いられるFDGと呼ばれるPET薬剤は、写真のPET薬剤合成装置により30分〜1時間程度で製造されます。

製造されたFDGはすぐに薬剤師により品質検定され、合格後、PET受診者に投与されます。

FDGはフルオロデオキシグルコースの略称で、ブドウ糖に類似した構造を持ちます。図にあるように、ブドウ糖の一部がRIである18Fに置換されています。

FDGはブドウ糖に類似しているため、体内での挙動も類似しています。投与したFDGはブドウ糖と同じ様に細胞に摂取されますが、ブドウ糖とは異なるため、細胞内で分解されず蓄積していきます。がん細胞もFDGを摂取しますが、その摂取量が通常細胞に比べて多いという特徴があるため、通常細胞より多くFDGが蓄積します。PET装置により体内のFDG分布がわかるため、異常に蓄積しているところ、つまりその部位にがんが存在する可能性があります。

ただし、FDGは炎症や膀胱などにも蓄積することが分かっています。また、脳や心臓などは元々ブドウ糖を多量に消費するため、FDGも多く蓄積します。そのため、FDGによるがん検査では、これらの生理的な蓄積に注意が必要です。

一方で、FDGで脳の糖代謝を調べることにより、アルツハイマーなどの認知症の診断に応用する試みも始まっています。

またFDG以外にも、メチオニン(腫瘍の検査)や、アンモニア(心臓の検査)などのPET薬剤が使用されており、最近では、アルツハイマー病の原因のひとつと言われているアミロイドβタンパクを描出できるPET薬剤も開発されています。今後も機能画像を提供する新たなPET薬剤による検査が増加することが見込まれています。

 

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