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PETとは

PETは形でなく機能を診る検査です

健康診断で肺の撮影を行なうレントゲン撮影(X線一般撮影)やCT、MRI、超音波検査など、画像を用いた診断法を一般に画像診断と呼びます。これらの検査は、X線や磁場、超音波などを利用して病変や臓器の形態変化を捉える方法で、一括して形態画像と呼ばれています。

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画像診断のひとつに、放射線を放出する検査薬を体内に投与し、体内から発信される放射線(信号)を検出して画像化する核医学検査があります。この核医学検査法には、PETやSPECTなどが含まれます。

核医学検査は、投与した検査薬の体内分布をとらえるもので、検査薬の体内各部位への分布の仕方は、その場所で行なわれる代謝を反映します。このことから主に細胞のはたらき(機能)を調べることができ、機能画像と呼ばれています。

特定の臓器や疾患に集まりやすい検査薬を用いることで、様々な疾患の診断を行います。

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なぜPETでがん検査ができるの?

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PETはPositron Emission Tomographyの略で、陽電子断層撮影法と呼ばれます。
PETに用いる検査薬には陽電子を放出する放射性同位元素が含まれており、陽電子が体内の電子と結合することにより放出される消滅放射線をカメラで捉えて画像化します。
PETで使用する検査薬は200種類以上ありますが、がん検査に最も多く用いられるのがFDG(18F-フルオロデオキシグルコース)と呼ばれる検査薬です。FDGはブドウ糖と同じ構造を持つ物質で、図に示すようにブドウ糖分子の1つのOH基が、陽電子を放出するフッ素の放射性同位元素18Fに置き換えられたものです。

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体内にFDGを投与すると、ブドウ糖と同様にFDGは細胞内に取り込まれます。このとき18Fは陽電子を放出し、細胞内の電子と結合して消滅放射線を発生させます。このことで、体内のブドウ糖代謝の部位による差異をFDGの集まり方で調べることができます。

通常、がん細胞は、正常細胞よりもブドウ糖の消費量(代謝量)が3〜8倍多いと言われています。ブドウ糖類似のFDGもブドウ糖と同様に正常の細胞と比べてがん細胞に多く集まると考えられます。

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FDGの集まりが多いほど、その部位は濃く画像に現れます。画像の濃淡はがん細胞の代謝の程度により異なりますので、一般に濃い画像ほどより細胞分裂が活発である、つまり増殖しやすいがんであると診断されます。一方で、細胞分裂が活発でないがんはFDGの集積が弱く、画像に明瞭に現れない場合があります。

監修 東京女子医科大学 核医学・PET検査室