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Human Dreams. Make IT Real.

Hitachi

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「モノづくり技術」「OT」「IT」の融合が導く社会イノベーション

2013年3月29日

歴史を振り返ると、産業革命に始まる工業化社会の拡大を経て、エレクトロニクスの発達によってコンピュータが登場し、今日につながる情報化社会が到来した。
情報化社会では、「より速く、より大量の情報を、より効率的に」処理できるITシステムを持つことが競争優位の源泉となる。その後、情報化社会はさらに進展し、パソコン、インターネット、スマートデバイスなどのコンピューティング環境が個人レベルまで浸透。「いつでも、どこでも、より身近に」情報を利用できる環境が整い、「ITの利用技術」に価値の中心が移行するとともに、人々のワークスタイルやライフスタイルを変えていこうとしている。
しかし、こうした情報化社会の進展やITの進化によって、社会がどれだけ快適で豊かなものになったかというと、まだまだ多くの課題が山積しているのが実情だ。
地球温暖化や資源問題などへの対策が急務となっており、日本をはじめとする先進諸国では少子高齢化が深刻な問題となっている。一方、経済発展の著しい新興国はどうかというと、人口の爆発的な増加と急速な都市化に社会インフラ整備が追いつかず、環境やセキュリティ(交通渋滞、ゴミ問題、エネルギー問題、スラム化、経済格差など)、あるいは教育、健康、ヘルスケアなど、さまざまな社会課題が顕在化してきている。
こうした課題解決も見据え、日立が進めている社会イノベーション事業への取り組みの全体像を紹介する。また、その1つの事例として、世界各地で稼働している建設機械の稼働情報をリアルタイムに把握・診断し、予防保全や効率的なオペレーションを実現する日立建機のGlobal e-Serviceへの取り組みにスポットをあてる。

[写真] 瀧下 芳彦

日立建機 開発本部
開発支援センタ
情報戦略部 部長
瀧下 芳彦

[写真] 香田 克也

日立製作所 情報・通信システム社
スマート情報システム統括本部
戦略企画本部 本部長
香田 克也

「競争から共生へ」の転換をめざす

[写真] 香田 克也

工業化社会から情報化社会を経て、さらにその先にどんな社会をめざすのか―。まさに現在は、大きな時代の転換期に立っていると言える。この新たな時代に向けて、日立が掲げているのが「競争から共生へ」というビジョンである。日立製作所 スマート情報システム統括本部 戦略企画本部の本部長を務める香田克也は、次のように語る。
「経済発展において競争原理が大切なのは言うまでもありませんが、さまざまな社会問題を解決するためには競争を煽るだけではだめで、これからは共生という考え方が非常に重要なファクターになると考えられます。地球のリソースは有限であり、全体をうまく調和させながら、より良く機能させるための仕組みが求められるのです」
わが国のような成熟した市場において、単にシェアを奪い合うだけの競争を繰り広げたとしても、本当の意味での成長はありえない。むしろ、どんどん空洞化を招くばかりで、雇用の拡大や人々の生活の豊かさといった価値にはつながっていかない。
そうではなく、内需や外需といった枠を越え、さまざまなプレイヤー(企業や組織)やコンシューマーが有機的に結びついていくグローバルなエコシステム(生態系)を築いてこそ、そこに新たなサービスやビジネスが生まれ、さらなる発展や成長をもたらしていく可能性が広がっていくのである。
限りあるリソースを分け合いながら、過剰で必要以上の生産や消費に走ることなく、お互いにシェアすることで皆が「ちょうどいい」状態で、より良い生き方を追求していく。こうした価値観のもとで今後求められる社会のあり方を、日立は「共生(symbiosis)自律社会」と位置づける。「共生自律社会」とは、個人、企業、公共など、さまざまな主体が、個別最適を追求し競い合うのではなく、連携し合い、助け合い、分かち合う「共生」によってさまざまな課題を解決し、社会全体の持続的な繁栄を可能にする社会である。同時に、変化し続けることを常態とし、さまざまな主体が相互依存することなく「自律」した調整メカニズムを持つことで、活動を止めることなく全体調和の状態を維持していく。
ただ、従来型のインフラの上に、こうした全体調和を実現するのは困難だ。これまでにない新しい概念に基づいたインフラによってこそ、社会にイノベーションを起こすことが可能となる。
「ITによる社会インフラの高度化、革新こそが安全・安心な社会を実現し、ビジネスや生活をより快適で豊かなものにしていきます。その上にできあがるのが、競争による活力をエンジンにしながら、持続的に発展していく共生自律社会なのです。日立は、得意とする社会インフラシステムによって共生自立社会づくりに貢献していきます。これを社会イノベーション事業と位置づけ、日立のビジネスの中核とする考えです」(香田)