VMware vCenter Site Recovery Managerと
日立の最新プラットフォームにより、東西で双方に稼働する
DRシステムを構築し、災害復旧をわずか30分で実現。
日本銀行が金融政策を遂行する場である短期金融市場において、金融機関同士の短期資金の仲介や債券の貸借取引、事法も含めたCP売買などを行う上田八木短資株式会社。日々膨大な量の資金や国債決済を行っているため、システムトラブルが発生すると、マーケット全体に多大な影響を及ぼすことに。そこで同社は事業継続性の向上を至上命題と捉え、自社マシン室とバックアップセンターで稼働していた約70台のサーバを仮想化し、東京・大阪の両データセンターに集約。双方のセンターを常時稼働させることで可用性を担保するとともに、VMware vCenter Site Recovery Manager(以下、vCenter SRM)により、万一の被災時にもわずか30分で復旧できる仕組みを整えました。

上田八木短資株式会社
情報システム部長
谷口 仁氏

上田八木短資株式会社
情報システム部
シニアマネージャ
佐藤 勝利氏
同社では、市場リスクや信用リスクといったリスク管理を最重要課題と捉え、システムトラブルによる市場への影響を一段と減少させようと、2010年の暮れから、さらなる事業継続性の向上に取り組んできました。
サイロ型で導入されてきた同社のサーバは70台以上に上り、バックアップセンターを含めると25ラックが立ち並ぶ状況に。仮に物理サーバが故障した場合、システムバックアップからリストアするため、同一型式のサーバ調達に時間がかかり、数か月間システムを復旧できないという物理サーバ固有の問題も解消したいと考えていました。
同社の情報システム部長 谷口 仁氏は「3.11の震災前から検討を進めていましたが、同震災を経験したことで、従前から持っていた東京電力管内のバックアップセンターのみでは事業継続性を保てないことがはっきりしました。そこで、基幹システムのリプレースのタイミングで東西にデータセンターを構えつつ、RTO(目標復旧時間)を短縮したいと考えたのです」と経緯を説明します。
今回のプロジェクトを推進した情報システム部の佐藤 勝利氏は「ハードウェアもそうですが、監視・バックアップツールなども個別で、システムに応じたオペレーションを学ばなければならず、しかも運用保守面でも多大な負荷がかかるなど、課題が山積みでした」と語ります。
RTO:Recovery Time Objective
そこで同社が選択したのがVMware製品による仮想化です。「復旧時間の足かせとなっていたシステムのハードウェア依存をなくしつつ、運用コストを低減するため、上田八木短資独自のスタンダードな仮想化基盤を構築しようとプロジェクトを推進しました」(佐藤氏)。
同社にて要件を取りまとめた後、2011年4月にベンダー提案を受け、日立システムズの提案を採用。金融機関におけるVMware製品の構築実績、VMwareの技術者認定資格であるVCPの保有数、日立製ハードウェアにおけるメーカーサポート力などを高く評価しました。
「仮想化の構築実績が豊富で、資格保有数も1〜2位を争うレベルです。さらに、親会社がメーカーでもあるため、VMware製品を含めて統一化された製品サポートを受けられるという安心感がありました」(佐藤氏)。
従来、外資系ベンダーのサーバでトラブルに見舞われていた経緯もあり、品質の高さに定評がある日立製品を高く評価。「日立の生産工場を見学し、部品の検品から製品が組み上がった後のエージングまで、品質の高い“ものづくり”を実際に目の当たりにし、故障発生率も下がるのではないかと高く期待を寄せています」(谷口氏)。
ハードウェアには最新機種のBladeSymphony BS500、Hitachi Unified Storage 130 を採用。東京・大阪の両免震データセンターに同一構成の仮想化環境を構築し、Storage Replication 機能を利用して直近の業務データおよびバックアップデータを双方向に同期。東西両センターを常時稼働系として運用することで、DR時の可用性を担保しています。また、余裕のあるリソースを確保し、全システムを片寄せして稼働可能な構成とすることで、万一首都圏でシステムを稼働できない事態となっても、大阪側で全システムの稼働を可能としています。
VCP:VMware Certified Professional
同社では、いずれの業務拠点からでも、東京・大阪の両センターで稼働する全システムが利用できるうえ、RTO、RPO(目標復旧時点)を大幅に短縮できたことが最も大きな効果と捉えています。「東京、大阪にある各業務拠点から全システムを利用できる構成としており、サイト間切り替えはvCenter SRMの標準シナリオを利用することで、誰でも簡単に実行でき、復旧時間を30分以内に短縮できます。データは5分以内の間隔で同期を取っており、直近のデータでロスなく業務を再開できます」(佐藤氏)
さらに、BS500の高い集積率を活かして約70台のサーバをVMware vSphereで仮想化し、計10台に集約。統合システム運用管理JP1による統合管理で、オペレーターの負荷も軽減。物理サーバで10年間運用し続けた場合と比べると、約50%程度のコストダウンを実現しています。
「従来のマシン室にはサーバや空調の維持コストも相当かかっており、新設した東西データセンターのハウジング費用を含めても、約50%のコスト削減の効果が得られる見込みです」(谷口氏)。
また、同社の新システム基盤では、サイト間切り替えだけでなくサイト内の可用性向上にも十分に配慮。機器障害時におけるシステムダウンの影響を最小化しています。
「時刻を制御するNTPサーバやエラーメールなどを通知するメールゲートウェイは、一瞬でも止まると監視漏れなどの重大な影響が生じるため、vSphere FT(Fault Tolerance)を利用し、無停止運用を実現しています」(佐藤氏)。
vSphere FTは、OS・アプリケーションを問わず仮想マシンを容易に保護できる機能。物理マシン故障時にはダウンタイムなく自動的にフェイルオーバーが可能です。
同社では、2013年1月に仮想化基盤の構築が終わり、大半の業務システムの移行が完了。さらに、2013年の夏以降を目途に、現在仮想サーバ上に構築中である基幹システムも稼働させる予定です。日本の金融マーケットを担うミッションクリティカルなシステムを、VMware製品と日立のプラットフォームが支えていきます。

USER PROFILE
マネーマーケットにおけるスペシャリストとして、インターバンク市場・オープン市場における資金仲介に携わり、またわが国の金融市場調節の一端を担い、金融環境の変化に適切に対応。
伝統に培われた経験と知識をもとに、マーケットでの厚い信頼を獲得し、マネーマーケットの機能維持および発展に努めている。