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Hitachi

統合サービスプラットフォーム BladeSymphony

"本当に役立つ"情報を"リアルタイム"に配信!
カード会員と加盟店のうれしさをつなぐ
新サービスを実現したJCBの取り組みとは

カード会社大手のジェーシービー(以下、JCB)では、新たな情報サービス「イマレコ!」の提供を開始した。これは「イマ」そこにいる買い物客におすすめの情報を「レコメンド」するサービス。 具体的には、カード決済を行った会員に対し、近隣の加盟店で利用できるイマレコ!ギフトと呼ばれるおトクな情報や特典をリアルタイムに配信する。 現在、新宿エリアで1万人の規模でテスト導入している段階だが、あるギフト配信では「閲覧率(閲覧件数/配信件数)が46%」「利用率(利用件数/配信件数)が13%」と想定を上回る成功例もでてきている。 これまでにないサービスだけに、実現に向けてはさまざまな要件や困難を克服する必要があったという。ここでは、新サービスの背景や概要、そのサービスを支えるIT基盤について見ていきたい。

 

【課題】
JCBでは、カード会員と加盟店のニーズをダイレクトに結び、最適なタイミングで最適な情報をレコメンドする新たなサービスの開発をめざしていた。
【解決】
vRAMcloudによるリアルタイムデータ連携技術と、ギフト発行条件を柔軟に指定できるBRMS*1を活用した、リアルタイムマーケティングシステムを構築。幅広い携帯端末への対応も実現。
【効果】
ギフト閲覧率46%、利用率13%という想定を大きく上回る成功例も。さらに、加盟店との協業による新規ビジネス創出も可能になった。

*1
 ビジネスルールマネジメントシステム

花田 信人氏の写真
株式会社ジェーシービー
加盟店事業統括部門
加盟店事業統括部
市場開発グループ 次長
花田 信人氏

井上 庸氏の写真
株式会社ジェーシービー
加盟店事業統括部門
加盟店事業統括部
市場開発グループ 副主事
井上 庸氏

竹谷 貴海氏の写真
株式会社ジェーシービー
システム本部
業務システム開発部
ダイレクトチャネルシステムグループ 次長
坂本 良介氏

一人ひとりのカード会員を
対象とした新サービスの開発に挑む

モバイル/ネット環境の急速な普及は、流通・小売業のビジネスにも大きな影響をもたらした。今や消費者は、スマートフォン、タブレットなどの携帯端末を駆使して、欲しい商品をすぐに手にすることができる。

もちろん、こうした変化によって、リアル店舗の重要性が完全に無くなってしまったわけではない。しかし、商品の品揃えを増やすといった「待ち」の戦略だけでは、継続的な成長を果たしていくことは難しい。「オムニチャネル」などのキーワードが注目されているのも、さまざまな属性を持つ一人ひとりの顧客に対し、あらゆる購買チャネルでつながりを強めることが求められているからだ。

こうした状況を受け、新たな挑戦に乗り出したのが、カード会社大手のJCBである。加盟店との契約を一手に担う「シングルアクワイアリング(専属的な加盟店契約)」を強みとして持つ同社では、国内最大級の加盟店ネットワークを生かし多角的な事業を展開。自社保有の顧客データを基に加盟店からDM受託を行う「J-COMPASS」などのサービスで一定の効果を得てきた。

「もはやデータ分析・活用は当社のビジネスの根幹。社内の各部門には分析業務を手がける社員が数多く配置されており、加盟店の販促ニーズやカード会員さまの情報をサービスに生かす取り組みを進めています」とJCBの加盟店事業統括部 市場開発グループ 次長花田 信人氏は話す。

しかし、その一方で、今後に向けた課題もあったという。同社の加盟店事業統括部 市場開発グループ 副主事 井上庸氏は、「たとえばJ-COMPASSでは、DM受託サービスという特性上、送付先のお客さまカテゴリをある程度広げざるを得ません。一人ひとりの会員さまに最適化された情報をお届けするためには、個々の会員さまと加盟店のニーズをもっとダイレクトにつなげられる仕組みが必要と感じていました」と説明する。

カード決済情報を起点に
モバイルギフトを配信

膨大な数に上るカード会員を一人ひとりの「個客」と捉え、その人にとって有益な情報やサービスを最適なタイミングで提供する。この目標を実現すべく生み出されたのが、「イマレコ!」である。

東京・新宿エリアを舞台に、2014年10月から半年間の実証事業としてスタートしたイマレコ!は、「リアルタイム性」と「場所」を強く意識した新しい形のモバイルサービスだ。その流れは図1に示した通りだ。

図1
図1:イマレコ!の流れ
イマレコ!を利用したいユーザーは、まずユーザー登録とアプリのダウンロードを実施。
後はリアルタイム配信、または定期配信で送られてきたイマレコ!ギフトを加盟店で利用する

まず、カード会員が新宿エリアの加盟店でJCBカードを利用すると、そのオーソリゼーションデータ(信用照会情報)が加盟店より送られてくる。このオーソリゼーションデータを基に、同社が保有する顧客情報と加盟店の集客ニーズを即座にマッチング。その結果に基づき、近隣の加盟店のギフトを会員のスマートフォンなどに高速配信する。この間、最速で7秒*2。すでにお買い物モードに入っている会員に配信されるため、他の加盟店への送客や新宿エリアでの買い回り向上が期待できるというわけだ。

サービス開発にあたって最もこだわったのは、消費者にとっての「心地よさ」だったという。「欲しくもない情報を大量に送り付けられるのでは、お客さまにとってもご不快なだけでしょう。そうではなく、今、お買い物などを楽しまれているお客さまにとって、本当に役立つギフトや情報をお届けしたかった。イマレコ!というサービス名は、『イマ』そこにいるお客さまにおすすめの情報を『レコメンド』というところからきています。つまり、いままでの『数打ちゃ当たる』方式ではない心地よいサービスをめざしたのです」と花田氏は明かす。

さらに、イマレコ!は、JCBでしか実現し得ないサービスでもあった。「新宿エリアにおけるカード決済情報をリアルタイムで検知できること、幅広い業種・業態の加盟店と一括して契約を結んでいること。その両方が揃うのは当社ならではの強み。これをサービスに生かさない手はありません」と井上氏は話す。

特定業種の企業では、顧客にレコメンドできる情報やギフトもその領域内に限られてしまう。しかし同社であれば、食事を楽しんだカード会員にショッピング情報を提供するなど、業種の枠を超えた情報提供が可能。このことが、「心地よいサービス」の実現に大きく寄与しているわけだ。

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 ご利用の通信環境により差が出ることがあります。

ビッグデータ利活用に精通した
日立をパートナーとして選定

情報活用を基軸に据えたサービスだけに、イマレコ!の実現に向けてはIT基盤の構築も重要なポイントとなった。「当社としても全く新しい形のサービスですから、将来的にどう発展していくのか事前の予想が困難です。それゆえ、いきなり多額のコストを投下するのは難しい。そこで、初期費用はできるだけ抑えつつ、必要に応じてスケールアウトできるシステムを構築したいと考えていました。 また、イマレコ!では、ギフト配信をリアルタイムで行いますので、複雑なデータマッチング処理を短時間で実行できる高速性も重要な要件でした」と同社のシステム本部 業務システム開発部 ダイレクトチャネルシステムグループ 次長 坂本 良介氏は振り返る。

また、もう一つのポイントが、ギフト更新などの作業を容易に行えるメンテナンス性の高さだ。「環境変化の非常に激しい時代なので、新たなニーズが生まれた時にはIT部門が関与しなくとも、ユーザー部門だけですぐに対応できる柔軟さも不可欠です」と坂本氏は続ける。

こうした同社の期待に応えられるパートナーとして選ばれたのが日立である。「日立のビッグデータ戦略的活用支援ソリューション『vRAMcloud』は、データ量増加に即応できる高いスケーラビリティや、分散キャッシュによる超高速データ処理など、イマレコ!の実現に役立つ特長が備わっています。お客さま向けサービスに欠かせない信頼性・可用性についても、実績ある日立のITプラットフォーム製品を利用することで確保することができます。 こうした最適なシステム基盤構築の提案に加え、さらに大きな決め手となったのが、ビッグデータ利活用の知見を生かして、当社のコンセプトを実現するためのサービス設計まで支援してもらえることでした。システム構築からサービス設計まで、総合的な提案をいただき、安心して日立をパートナーとして選定できました」と坂本氏は話す。

日立のデータ分析チームと共同で
サービス実現に向けた課題を解消

坂本氏が話すように、イマレコ!の実現にあたっては、サービス設計が非常に重要なカギとなった。「立ち上げ時に一番苦労したのが、どうやってギフトをご提供頂くかという点です。加盟店にとって、カード会社は決済サービスだけの存在と見られがち。イマレコ!が、送客を実現できるサービスと認めてもらえないことには、魅力的なギフトも集まりません」と花田氏は振り返る。

ここで大きな効果を発揮したのが、日立のビッグデータ利活用ノウハウだったという。同社では日立のデータ分析チームと共に、新宿エリアにおける全体的な購買傾向やカード会員属性ごとの購買行動パターン、各加盟店の特長や強みなど、多岐にわたる分析を実施。この情報を基に仮説を練り上げ、それぞれの加盟店ごとの送客シナリオを作成して交渉に臨んだ。

「最初はあまり乗り気でなかった加盟店も、具体的な送客シナリオを目にすることで前向きに話を聞いてくれるようになりました。加盟店もそれぞれに販促ノウハウを持っているので、『それならもっとこうした方がいいのでは』『今の時期なら、こういうギフトが喜ばれるはず』という具体的な議論ができるようになったのです」と井上氏は話す。

加盟店へのプレゼンテーションでも日立のノウハウが生かされた。「カード会社に蓄積された大量の情報は、まさにビッグデータそのもの。しかし、単にデータがありますからギフトを下さいではダメ。その点、日立にはデータに具体性を持たせ、どのように効果を引き出すかを示すノウハウもあったため、加盟店への説得力を高めることができました」と花田氏は話す。 こうした取り組みの結果、イマレコ!専用の特別なイマレコ!ギフトを引き出すことに成功したのである。

大量データを超高速マッチングする
IT基盤の仕組み

イマレコ!のサービスを支えるIT基盤においては、vRAMcloudや日立ITプラットフォーム製品が大きく貢献している。

「システムの中核では、vRAMcloudによる分散キャッシュサーバを利用したリアルタイムデータ連携技術を活用し、カード会員の属性と加盟店の送客ニーズのマッチング、データ管理、ギフト発行などの処理を行っています。高速性が極めて重要なシステムですが、性能面でも非常に満足しています。また、分散キャッシュ技術の活用によって、少ないサーバ台数でも高い処理能力が得られますので、コスト削減にも大いに役立っています」と坂本氏は説明する。

システムを構成する日立のITプラットフォーム製品についても、JCBの満足度は非常に高い。「今回採用したブレードサーバ『BladeSymphony BS500』やミッドレンジストレージ『Hitachi Unified Storage 110』は高い性能・信頼性を発揮していますし、統合システム運用管理『JP1』によるシステム全体の運用効率化も図れています。また、『日立サポート360』によるワンストップなサポートサービスも安心感がありますね。当社のビジネスの根幹を支えるIT基盤として、これらをトータルに提供できる総合力は、やはり日立ならではの強み」と坂本氏は話す(図2)。

図2
図2:JCBのイマレコ!を支えるIT基盤の概要
既存の決済基盤、Web基盤とリアルタイムマーケティングシステムを連携。分散キャッシュによる
高速処理を実現すると同時に、ギフト発行ルールの柔軟な設定も行えるようにしている

環境変化への迅速な対応という面では、同時に構築されたビジネスルールマネジメントシステム(Red Hat, Inc.のRed Hat JBoss BRMSを活用)が威力を発揮。「ギフト発行においては、対象やカテゴリ、配信タイミングなどさまざまな項目を設定しますが、これをいちいちプログラミングで行うとなると大変な手間と時間がかかります。しかし、今回はExcelワークシートなどを利用して簡単に設定が行える仕組みを構築しましたので、ユーザー部門だけで作業を行うことが可能。これにより新たな施策もスピーディーに展開できます」と坂本氏は話す。

また、幅広い利用者にサービスを利用してもらえるよう、スマートフォン/タブレットだけでなくフィーチャーフォンにも対応。特にアプリについては、日立のモバイルWebアプリケーション実行基盤「快作モバイル+」を活用し、ハードやOSに依存しないコンテンツ環境を実現している。

高い閲覧率/利用率を達成、
加盟店との協業も積極的に推進

このようにして開発されたイマレコ!は、実証実験開始後、1週間で1000名を超える登録数を達成し、その後も順調に伸び続けている。

「さらに注目されるのが、これまで手がけたキャンペーンなどと比較して、閲覧/利用率が格段に高いということです。ギフト内容によって多少の差はありますが、配信件数に対して閲覧率46%、利用率13%に上った成功例もあります。一般にDMの反応率はコンマ数%程度といわれますから、これまでにない成果を挙げることができました」と井上氏は述べる。一人ひとりの個客に最適化されたサービスを提供するという狙いが、見事に実を結びつつある。

こうした成果は、同社のビジネスにも大きな影響を与えている。

「これまで当社の社員が訪問するのは、加盟店の経理部門などが多かった。しかし、これからは、イマレコ!のレポートを基に、販促部門やバイヤーの方々と独自商品の企画を行うといったことも可能になります。加盟店と共に新たなビジネスを切り拓くためのツールとしても有効に機能し始めているのです」と花田氏は話す。

今回のプロジェクトを支援した日立への評価も高い。井上氏は「イマレコ!のコンセプトを形にしていく上では、会員さまや加盟店のニーズをどうサービスに生かすか、システムをどう作るべきかなど、数々の課題がありました。しかし、日立がビッグデータ分析からサービス設計、IT基盤構築に至るまでトータルに支援してくれたことで、我々がめざしていた通りのサービスを実現できました」と満足感を示す。

同社では、今回の成功を踏まえ、イマレコ!のさらなる改善や新規サービスの創出に取り組んでいく考えだ。今回は新宿エリアだが、同様の仕組みを地方都市などに応用し、地域活性化を支援するといったことも検討しているという。

これに合わせて、日立のビッグデータ利活用支援にも、大きな期待が寄せられている。「今回のプロジェクトで改めて感じたのは、社内に蓄積された大量のデータをまだまだ最大限に活用できていなかったという点です。日立にはデータ分析・活用の専門家集団がトータルサポートしてくれるデータ・アナリティクス・マイスターサービスなどがありますので、ぜひ今後も客観的な視点で、当社のビッグデータ戦略を支えてほしいですね」と花田氏は述べた。

ビッグデータ戦略的活用ソリューション「vRAMcloud」

近年、絶えず変化を続けるビジネス環境下で迅速な意思決定やマーケティングを行うため、データをリアルタイムに分析し活用する必要性が高まっている。
日立の「vRAMcloud*1」は、分散処理やインメモリ処理などの高速処理技術とSI技術・独自フレームワーク群を活用することで、膨大なデータのリアルタイム分析を、より早く、低コストに実現し、顧客のビッグデータ利活用を支援するソリューション。 「vRAMcloud」を活用し、膨大な取引データや各種ログを分析することで、利用者個々のニーズに応じたサービスの提供が可能となる。

図3

*1
vRAMcloud(ブイラムクラウド):Virtualized + Random Access Memory + cloud
*2
内閣府の最先端研究開発支援プログラム「超巨大データベース時代に向けた最高速データベースエンジンの開発と当該。エンジンを核とする戦略的社会サービスの実証・評価」(中心研究者:喜連川 東大教授/国立情報学研究所所長)の成果を利用

USER PROFILE

株式会社ジェーシービー

株式会社ジェーシービー

所在地:東京都港区南青山5-1-22
設立:1961年1月25日
代表者:浜川 一郎
資本金106億1610万円

日本及びアジア地域を代表するクレジットカード会社として、ブランド事業・カード事業・加盟店事業・プロセシング事業をトータルに展開。少額決済に役立つ電子マネー「QUICPay」やグローバル非接触IC決済プログラム「J/Speedy」などの先進サービスも開発している。

特記事項

  • JBoss および Hibernate は,Red Hat, Inc.の登録商標です。 ・Red Hatは,米国およびその他の国でRed Hat, Inc. の登録商標もしくは商標です。
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