全国のどの店舗、どの冷蔵庫で異常が起きているか、
リアルタイムに把握。
すばやい業務改善で、ブランド毀損リスクを回避する。
たった1店舗でも食中毒が発生してしまえば、企業のブランドは瞬く間に失墜し、計り知れない経営損失をもたらします。例えば、食肉や魚介類といった生鮮食材を扱う飲食店チェーンにおいて、冷凍庫や冷蔵庫の温湿度管理は社の経営状態を左右しうる重要な業務。業界大手の経営幹部はこう語ります。
「我が社は24時間営業の店舗を全国に約1,000軒展開しています。ヒューマンエラーによる食中毒を予防するため、食品衛生管理の国際基準であるHACCP* を導入し、日に数回、冷蔵庫や冷凍庫内の温湿度を手書きで記録するよう店員に義務付けていました。しかし、深夜の時間帯には店員一人体制をとらざるをえないほど、現場は人手不足です。調理や接客に追われる中でインジケーターを目視し記録する作業は店員にとって負担になっており、記入漏れや集計ミスが散見される状態になっていました。これはとても大きなリスクです」。
そこで同幹部は、温湿度管理を自動化でき、なおかつ遠隔監視ができるソリューションの導入を決断。選ばれたのは、日立の遠隔温湿度監視サービスでした。
日立は、1店舗につき10〜12機の温湿度センサーを設置。同じ冷蔵庫内でも、食材付近と冷気の吹き出し口とに分けてセンサーを配置することで、きめ細かい温湿度管理を実現しました。データは10分ごとに収集され、日立のクラウドに転送されます。異常が生じると店長などに自動通知されるのはもちろん、本社の管理者はクラウドにアクセスすることで全店舗の温湿度をリアルタイムにチェックできます。
そもそも日立をベンダーに選んだ決め手について、同幹部はこう振り返ります。
「日立さんは無線機器の提供から設置・評価、アプリケーションやクラウドの提供まで1社で担ってくださったため、早期導入が可能な点が大きな魅力でした」。
このサービスを導入したことで、「手書きの温湿度記録からは気付かなかったことが見えてきた」と同幹部は続けます。
「ある店舗の冷凍庫では、−18℃を保管の基準温度としています。これまでは、冷気吹き出し口付近のインジケーターに−20℃と表示されていたため、店員は異常なしと判断していました。ところがサービス導入後、基準温度を常に3℃もオーバーしていたことがわかったのです。原因は冷凍機のフロン漏れでした。別の店舗の冷蔵庫では、もともと温湿度記録の義務が無かった深夜の時間帯に、実は庫内温度が室温と同じくらいまで上昇していたことがわかりました。調べたところ、食材を搬入する際いつも扉を開きっ放しにしていたことが原因でした。品質管理に対する一人ひとりの問題意識の違いから、約1,000ある店舗のどこか1カ所でも異常が生じてしまうと、我が社の経営を揺るがす大問題に発展しかねません。遠隔温湿度監視サービスを導入したことで、こうした潜在リスクを見える化することができました」。
「遠隔温湿度監視サービスの導入1年目は全店舗で約4,000件の温湿度異常が発生していましたが、店舗ごとの原因を突き止めて一つひとつ改善した結果、2年目には発生件数を1/3以下まで減らすことができました」と、前出の幹部は手応えを語ります。
「それまではせいぜいエリアマネージャーまでしか把握できなかった店舗の異常を、我々経営陣が把握できるようになったことで、改善をスピーディーに進められるようになりました。また、店員が調理や接客に集中できるようになっただけでなく、データログをドキュメント形式でダウンロードできるため、HACCPの運用がとても効率的になりました。すでに日本国内でもHACCP導入の義務化が決まっている中で、日立さんの遠隔温湿度監視サービスをいち早く導入できたことは、我が社にとって大きな力になっています。これからも厳密な温湿度管理を追求し続け、“食の安全”を常に確保していきます。食材の廃棄ロス削減はもちろん、食品の質を保つことで商品価値を高め、我が社のブランドイメージを向上していきたいですね」。
日立は今後、電流の分析により設備の稼動状況も遠隔監視することで、動作異常の予兆検知や劣化の把握ができるよう開発を進めようとしています。より精緻かつ効率的な管理で、食中毒をはじめとする飲食業界のブランド毀損リスクを回避するために。日立は「Lumada」でお手伝いします。
詳細が知りたい方は、下記のフォームにてお問い合わせください。
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