[ オープンMRI(APERTO) ]
MRI(Magnetic Resonance Imaging=磁気共鳴撮像)は、身体に磁気を当てて内部を画像化する装置。内臓や血管、脳などの病変をチェックできるので、生活習慣病などの予防・診断に威力を発揮している。特に注目されているのが、「オープンMRI」。文字通り開口部が広いので、威圧感を感じずに検査を受けられる“人にやさしい”装置である。
水分が大半を占める人間の身体は、大量の水素原子を含んでいる。その水素原子核が磁気に共鳴して原子核から微弱な電波(MR信号)が発生する。これを受信コイルで受信して、コンピュータでその分布を解析して画像を構成する。
磁気を利用するMRIは、(1)X線CTに比べて放射線の被ばくがなく、(2)骨や空気の影響を受けずに鮮明な画像が得られ、(3)身体の縦・横・斜めのどの方向からも撮影でき、(4)画像コントラストを変えて精密な診断ができる、といった優れた特色がある。
身体の断面像が得られる良く似た装置に、X線CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)がある。X線CTは、短時間に全身を撮影でき、肺がん検診や救急診断など、医療の世界で広く使われている。

従来のMRI(トンネル型)は、強力な磁場を生み出すために超電導磁石を使用している。超電導状態を保つ冷却設備が必要なため、装置の小型化が課題だった。また、磁石の構造上、トンネル型にするのが一般的で、被検者から「圧迫感がある」「閉塞感を感じる」という声もあった。
そこで、被検者にも操作する人にもやさしいコンパクトな装置として日立メディコで開発されたのが、オープンMRI「AIRISシリーズ」である。
開発のポイントは、超電導磁石にかえて永久磁石を採用したこと。永久磁石方式は、冷却設備が不要で、磁石本体もコンパクトにできる。さらにレイアウトの自由度が高いので、磁石を上下に配置することで、開口部の広い“オープン化”が可能となった。トンネル型のもうひとつの課題だった撮影時に発生する音も低減している。
ある種の金属や合金を超低温にすると、電気抵抗がゼロになる。この現象を「超電導」(超伝導)という。この材料で超電導コイルをつくると強力な磁場を発生させることができ、磁気浮上式リニアモーターカーなどに応用が期待されている。

日立メディコのMRIは、世界46か国で活躍し、オープンMRIの分野では世界トップの実績をあげている。最新の「APERTO Inspire」は、(1)320度の開口部をもち、(2)永久磁石方式で最高の磁場強度を実現して画像もより鮮明になり、(3)患部を3次元で高速に画像化するなど、スピーディーな検査、高度な臨床応用を実現している。
MRIで検査が可能なのは、脳こうそく、脳しゅようなどの脳疾患、動脈りゅうなど血管障害、がん、子宮筋しゅ、さらに、つい間板ヘルニアやじん帯断裂など、軟骨や筋肉組織の障害の検査にも最適だ。最近は、脳ドックなど健康診断の一環としても幅広く利用されるようになってきた。
オープンMRIはコンパクトで扱いやすいので、手術室に導入して病変の位置を確認しながら高度な治療を行う応用が始まっている。東京女子医科大学と共同開発した「インテリジェントオペ室」(*)では、手術中にベッドをスライドさせるだけで、手術中の患部のMRI画像を撮像し、MRI画像で病変を確認しながら手術を行うことにより、脳しゅようの全摘出率が大幅に向上するといった成果が生まれている。

(2006年3月28日掲載)
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