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環境への取り組み

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ソーラー発電淡水化設備

〜絶滅危惧種アラビアンオリックス保護に貢献〜

[画像] 太陽光エネルギーで動く淡水化設備。砂漠に水を提供することで生態系の保全を支えています。

持続可能な社会の実現に向けて、日立グループでは「生態系の保全」を取り組みの大きな柱として掲げています。生命に欠かせない水、その環境を整えることが、生態系の保全にとって重要なことのひとつと考えています。
たとえば、渇水の砂漠に水飲み場をつくり、動物たちが住みやすい環境にする。日立グループは絶滅危惧種のアラビアンオリックスを保護するプロジェクトに「ソーラー発電淡水化設備」を提供しています。

絶滅危惧種、アラビアンオリックス

[画像] 野生では絶滅

みなさんは、アラビアンオリックスという動物をご存知ですか?
アラビアンオリックスは、アラビア半島に広がる砂漠地帯に生息するウシ科の動物。まっすぐにのびた長く美しい角が特徴で、伝説のユニコーンのモデルともいわれています。

[画像] アラビアンオリックス

かつては群れで駆け巡っていたアラビアンオリックスですが、その美しい角を狙う人々に乱獲され、1960年代後半にはとうとう野生のアラビアンオリックスは絶滅してしまいました。

[画像] アラビア半島の地図

そんな中、アラブ首長国連邦(UAE)は1960年代前半にアラビアンオリックスの最後の群れから何頭かを捕獲して動物園などに保護しました。飼育下での繁殖に成功して絶滅の危機を回避し、アラビア半島の保護地区全体で推定5,000〜7,000頭が生息しているといわれていますが、現在でも、国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種に指定されています。(*)

  • * 2011年6月16日にIUCNが発表した絶滅危惧種のレッドリスト最新版では、アラビアンオリックスの評価は、絶滅危惧IB類(近い将来における野生での絶滅の可能性が高い)から絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している)に変更されました。

砂漠の動物を保護するプロジェクト

[画像] 砂漠に飲み水を

現在、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国では、皇太子主導で絶滅危惧種のアラビアンオリックスをはじめ、砂漠に生きる希少動物の保護を目的としたプロジェクトが進行しています。

このプロジェクトにおいて、日立グループの太陽光発電を利用した独自の給水設備「ソーラー発電淡水化設備」が採用されました。

[画像] ソーラー発電淡水化設備の図

広大な砂漠は、生命に不可欠な水を安定的に確保するのが難しい環境です。従来より、砂漠の地下水には塩分が含まれていることが知られており、そのまま飲み水として利用することはできないとされていました。
そこで、この「ソーラー発電淡水化設備」では、淡水化装置という特殊な装置を使って、塩分濃度の高い地下水を淡水化して飲めるように処理しています。淡水化装置で塩分を取り除いた水が、砂の中に埋設したパイプを通じて水路に送られ、アラビアンオリックスをはじめとする砂漠の生き物たちに提供されているわけです。

[画像] エネルギーは太陽から

また、砂漠地帯では電源の確保も大きな課題となります。動物たちが住む砂漠地帯に電気はありません。しかし、大地にさんさんと降り注ぐ太陽の光はたくさんあります。
そこでソーラーパネルを設置し、太陽光エネルギーで電気を作り出します。

[画像] ソーラーパネル

豊富な太陽光エネルギーを活用することで、淡水化設備を運転するための電力を調達できるようになり、大自然のなかで、環境にも配慮した形でアラビアンオリックスをはじめとする砂漠の生き物たちに飲み水を安定的に供給しています。

淡水化装置のしくみ

[画像] 淡水化装置

淡水化装置には、RO膜(*)という特殊な膜が使われています。RO膜には0.0001ミクロンの孔があり、この超微細な孔を水の分子だけが透過するため、塩分や不純物を取り除いて淡水化することに利用されています。

RO膜を利用した淡水化装置では、「逆浸透」という、ろ過技術を採用しています。

  • * RO膜:英語のReverse Osmosis(逆浸透膜)の頭文字を取ったもので、塩分を含んだ水に圧力をかけ、水を分子レベルで浄化。RO膜に水を逆浸透させて、きれいな水をつくります。

ここで逆浸透の原理を説明しましょう。はじめに、通常の「浸透」のメカニズムを説明します。
塩水と真水を半透膜(*)で仕切ると、塩の濃度を同じにしようと真水は自然に濃度の高い塩水へと移動する特性をもっています。これを浸透現象と呼び、ある一定の圧力差が発生するまで移動が続き、その一定の圧力を「浸透圧」と言います。
浸透に対して、「逆浸透」は文字通り浸透と逆の動きを利用します。塩水などの不純水に、人工的に浸透圧以上の圧力をかけます。すると、通常の浸透現象と逆の方向に水の分子だけが透過します。これが逆浸透現象です。

[画像] 浸透と逆浸透のメカニズム

  • * 半透膜:一定の大きさ以下の分子だけを透過させる膜。動物や植物の細胞膜は半透膜といわれ、水の分子だけを透過し、塩分を通さない性質をもっています。

このような淡水化装置は、日本国内はもとより、深刻な水問題を抱える海外の地域にも飲み水を供給し、人々の暮らしを支えています。こうした技術やノウハウが絶滅危惧種の保護にも役立っているのです。

水事業を通じて生態系の保全を支える日立グループ

淡水化装置で塩分の多い地下水を飲み水にかえる。その際に必要な電力は太陽光のエネルギーを活用する。この独立型発電と淡水化設備を連結した給水システムの構築には高度な技術とノウハウが必要となります。

[画像] 自然エネルギーの安定稼働

太陽光をはじめとする自然エネルギーは、天候に左右されやすい、不安定なエネルギー源です。そこで、「ソーラー発電淡水化設備」では、曇天や雨天でエネルギーの供給が少なくなってきた際に、あらかじめ太陽光エネルギーを蓄えておいた蓄電池からも電力を供給します。こうして淡水化設備を安定して稼働させることで、頻繁にオンとオフを繰り返すよりもエネルギーを有効に活用することができます。

一方で、蓄電池の残量が一定以下になると、蓄電池からの電力の供給を自動的にストップする工夫も取り入れました。蓄電池の電力をすべて使い切らない設計にしたことで、最低限運転が必要な制御システムなどに支障をきたすことはありません。また、1日1回、スタッフが直接現場に足を運び、運転状況を確認するだけでなく、GPRS(*)技術を用いて24時間遠隔監視も行なっています。

  • * GPRS 【General Packet Radio Service】携帯電話網を使ったデータ伝送技術。第2.5世代(2.5G)と呼ばれる技術の一つ。パケット単位でのデータ送受信が可能。

[画像] 環境や用途に応じた柔軟な設計

太陽光発電のほかに、風力発電を活用した淡水化設備の提供も可能です。その地域の環境に合った自然エネルギーを活用することで、電源の確保が難しい場所にも対応できるため、今後の普及拡大が期待されます。

また、日立グループでは、利用する環境や目的、用途、設備の規模などにも幅広く対応した設計が可能です。水源の保全や上下水道、治水・利水、下水の再利用など、世界に誇る水処理技術を各地域のさまざまなニーズに応えてカスタマイズし、最適な水環境ソリューションを提供する日立グループに世界各国から注目が集まっています。

この事業・製品についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのサイトをご覧ください。

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