中央研究所は、「はけ」と呼ばれる国分寺崖線の高低差をそのまま生かした地形をしています。構内を歩くと、地形同様、植生も変化に富んでいて、よく見ると、その中にさまざまな生き物たちが暮らしていることがわかります。
![[画像] 中央研究所マップ](/environment/showcase/employee/ecosystem/musashino/images/map02.jpg)
建物の前の草地に足を踏み入れると、そこらじゅうからピョンピョンと飛び出すバッタやコオロギ。草むらからは、トカゲがたびたび顔を出します。
そう、ここは生き物たちにとって、豊富な食べ物や子育てに最適な場所を提供してくれる、快適な住みかです。長い時間をかけて育まれた緑は、地域の多様な生き物たちの命をつなぎ、生態系を支えてきました。
![[画像] 長い時間をかけて
育まれた武蔵野の森は、地域の生き物たちの生態系を支えてきました](/environment/showcase/employee/ecosystem/musashino/images/case_txt03.gif)
構内を建物のある広場から、大池に向かって歩き出すと、「はけ」の地形に従った緩やかな勾配が続きます。環境カウンセラー石井さんによれば、「はけ」沿いの斜面の森は、特に手つかずで、江戸時代の武蔵野の風景さえとどめるのではないか、とおっしゃいます。
![[画像] このあたりは、とくに手つかずの自然が残っているところ。
武蔵野本来の植生が維持されていますね](/environment/showcase/employee/ecosystem/musashino/images/case_comment02.gif)

森に入ると、野山に生える植物も見られます。夏は花の季節ではありませんが、よく見るとひっそり、かわいらしい花をつけた草を見かけました。こうした草や木の葉、花の蜜(みつ)や樹液などを求めて、虫たちが集まってきます。
![[画像] 豊かな緑を求めて集う生き物たち。森は多様な生き物を養っています](/environment/showcase/employee/ecosystem/musashino/images/case_txt04.gif)

(左から)キツネノカミソリ、ヒメワラビ、カラスウリ、ヒヨドリバナ

泡のように見えるのはクヌギの樹液
コガネムシが夢中で食事中です

日暮れ時、羽化するアブラゼミの姿が。
6年もの間、地中で樹液を吸って大きくなりました

カマキリは肉食性。昆虫などを食べます
![[画像] 虫が集まる場所には、虫を食べる生き物たちがやってきます](/environment/showcase/employee/ecosystem/musashino/images/case_comment03.gif)

ニホンカナヘビ
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花の蜜を吸うツマグロヒョウモン
今回の観察で、たびたび出会ったツマグロヒョウモン。近年になって、関東地方でよく見かけられるようになった種類です。
ツマグロヒョウモンは、もともと暖帯から亜熱帯にかけて生息するチョウで、主に西日本に生息していました。北上の要因の一つとして、ヒートアイランド現象や温暖化の影響によって、冬を越えられるようになったことが考えられています。
中央研究所の構内に入ると気付くのが、さまざまな鳥の声です。野鳥は警戒心が強く、声は聞こえど、なかなか姿を見せてくれません。
しかし、中央研究所が毎年行っている調査によると、現在確認されているだけで約40種類。実に多くの野鳥が生息していることがわかっています。
虫が集まる場所は、鳥たちにとっても格好のえさ場です。
![[画像] 構内で確認されている野鳥は、約40種類。虫たちが集まる場所は、鳥たちの格好のえさ場です](/environment/showcase/employee/ecosystem/musashino/images/case_txt05.gif)

(左) ハクセキレイ。口に何かをくわえています。草むらを歩きながら、昆虫を捕まえたようです
(右) 木の幹にコゲラの姿が見えます。コゲラはキツツキ科の小さな鳥です。尖ったくちばしで木の皮の下に隠れた虫を捕って食べます
中央研究所では、他にウグイス、ムクドリ、シジュウカラ、コジュケイ、カワセミなどのさまざまな野鳥が確認されています。
今回、自然観察しているときには、オオタカが「ケッケッケッ」とひと際甲高い声で鳴いていました。猛きん類であるオオタカは、鳥や小動物などをエサにしています。この地域の生態系の頂点に立つ存在です。

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鳥は木の実が大好きです。
植物は鳥においしい実を提供し、それを食べた鳥はフンに種を忍ばせて、遠くへと運びます。フンを落とした場所から、新しい芽が生まれ、いつの日か成長すると、
また鳥の食べ物を提供するのです。
![[画像] ムクやエノキの幼木](/environment/showcase/employee/ecosystem/musashino/images/picture_12.jpg)
構内にたくさん見られたムクやエノキの幼木。ムクやエノキの実は鳥の大好物。ちなみに、ブルーベリーのようなムクの実は、干し柿のような味がして、人間が食べてもおいしいそうです。
![[画像] キウイの苗](/environment/showcase/employee/ecosystem/musashino/images/picture_13.jpg)
こちらはなんと、森のなかで見つけたキウイの苗。
どこかの庭に植えられたキウイを食べた鳥が運んだのでしょうか?
さまざまな植物を育てる家庭が増えた今、こんな外国のお客さまが突如登場することもめずらしくはありません。