サンゴ礁の再生活動の力になりたい!と思った田中さんは、PR活動を開始。その後、周囲のすすめもあって、特定非営利活動法人(NPO法人)を立ち上げます。

しばらくして、たまたま知人から「沖縄でイベントをやるんだけど、沖縄の環境のために何かできないかな」と相談を持ちかけられたんです。そこで「サンゴ礁の再生活動をやっている人がいるんだけど」と話してみたら、とても盛り上がり、金城さんと私でトークショーを行うことになりました。
トークショーで沖縄の海の現状と金城さんの活動についてお話しすると、多くの方が賛同してくださって、募金もたくさん集まったんですよ。それで、その後もダイバーを集めてサンゴの移植イベントを開催したり、活動を続けていたのですが、あるとき後援者の方に「本格的に活動をするなら、NPO法人を立ち上げたら?」とすすめられたんです。
正直なところ、「NPO法人って、どうやって作るの?」と右も左も分からない状態でしたけれど、皆さんにいろいろ助けていただいて、2006年、「NPO法人アクアプラネット」を設立することができました。
サンゴ礁は陸でいう森のような大事な役割を担っています。サンゴの中の褐虫藻が光合成をしてくれるおかげで、CO2を吸収してたくさん酸素を供給してくれるんです。それに、サンゴ礁はプランクトンや魚などさまざまな生き物たちの住みかになっていて、サンゴ礁がなくなると生態系が崩れてしまうおそれがあります。アクアプラネットでは、皆さんにこうしたサンゴ礁の大切さを知ってもらうための活動と、実際のサンゴの植え付けを行っています。
一般のダイバーの方とサンゴの植え付けをするイベントは年に2回開催しています。毎回、全国各地から100人近く、沖縄に集まってくださるんですよ。リピーターの方もいらっしゃって、スタッフが「サンゴの移植をしたいのか、りっちゃんに会いたいのか、どっちが目的だかわからないなぁ」なんて笑って言ったら、「両方です!」って答えてくださっていました(笑)。皆さんボランティアで駆けつけてくださるのですから、本当にありがたいです。

サンゴの苗。すべて沖縄産のサンゴから株分けされたものです。

岩場に穴を開けてサンゴの苗を植えます。小さいうちは、ブダイなどの魚に食べられないよう、カゴをかぶせています。

大きくなればカゴを外します。天敵や台風などの試練を乗り越え、順調に成長しますように…!
©AQUA PLANET
たくさんの仲間と一緒に進めてきたサンゴの移植の成果は少しずつ表れています。そして、それを実感するのは5月から6月、満月の夜なのだそうです。

観光でダイビングに来た人は、大抵の場合、主催者が選んだスポットにしか潜らないので、きれいな海しか知らずに帰ってしまいます。私たちのイベントでは「沖縄の海にはこういうところもあるんですよ」と、サンゴが死んでしまった場所を見てもらいます。
サンゴがいないところは、隠れる場所もないから魚が全然いないんですよ。ところが、そういう岩場にサンゴの植え付けをしてもらい、翌年も参加した方はとても驚かれます。「本当に魚が増えてる!」って。

自分たちの活動の成果が目に見えると喜びもひとしおです。なんといっても、サンゴの移植活動のクライマックスは、サンゴの産卵ですね。サンゴは毎年5〜6月の満月の夜、大潮のときにいっせいに卵を産むんですよ。あっちで「う〜ん」って出ると、こっちでも「う〜ん」って連動して出産が始まるというか(笑)。あたり一帯のサンゴからピンクの卵がぶわぁっと出てきて、次の日は入り江がピンクに染まるほどなんです。
金城さんが移植したサンゴも、産卵が確認されています。それはサンゴが根付き、繁殖している証拠ですから、とても大きな成果です。私は自分が移植したサンゴの産卵をまだ見ていなくて、毎年、産卵の時期になると、仲間同士で「まだかなー、まだかなー」とそわそわしています。沖縄に行けないときには、サンゴの様子をスタッフが逐一報告してくれるんですよ。いつか見られるといいんですが…。自分が植えたサンゴの卵だと、かわいさも倍増ですよね。