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CSRへの取り組み

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「人を大切にする心」。日立は創業以来この言葉を経営の基本としています。グローバルな事業展開においても、関係する国や地域の文化、価値観の理解に努めながら、国際規範に基づいて事業活動にかかわるすべてのステークホルダーの人権を尊重することを基本姿勢としています。

人権方針の策定

日立グループは、「日立グループ行動規範」を補完するものとして、2013年5月に「日立グループ人権方針」を策定しました。本方針では、国際人権章典および国際労働機関(ILO)の「労働の基本原則および権利に関する宣言」に記された人権を最低限のものと理解し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく人権デュー・ディリジェンス*1や適切な教育の実施、日立が事業活動を行う地域や国の法令の遵守、さらには国際的に認められた人権と国内法の間に矛盾がある場合には、国際的な人権の原則を尊重するための方法を追求していくことを明確に定めています。また、人権方針の策定に続いて、2013年度より人権デュー・ディリジェンスの実施へ向けて準備を進めています。
日立は本方針に基づき、グループの社員はもとより、グループの事業活動や製品・サービスを通じて関係するすべての人の人権の尊重をめざします。

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人権デュー・ディリジェンス:事業上の人権への影響を特定して評価、対応し、負の影響に対して防止・軽減、救済の措置を講じて、その効果を継続的に検証・開示すること

人権尊重の推進体制

日立製作所では、本社に執行役を委員長とする「中央人権問題推進委員会」を設置し、営業部門、調達部門、人財部門、CSR部門など各コーポレート部門の責任者が、企業活動によるステークホルダーの人権に及ぼす影響を把握し、人権侵害を未然に防止する仕組みや施策を審議しています。審議の内容は、各カンパニー・事業所長を委員長とする「カンパニー・事業所推進委員会」を通じて全社員に伝達し、人権侵害の防止に努めています。

日立グループでは、「中央人権問題推進委員会」が審議・決定した方針に基づき、グループ全体の人権意識の向上を図っています。各部門の人権推進リーダーを養成するほか、各事業所単位で、定期的に集合研修や講演会、映像による啓発活動を行っています。また、教育教材の開発、デュー・ディリジェンスの検討については、最も人権に対する関心の高い地域と考えられる欧州のCSR推進チームをリーダーに、世界6拠点(米州、欧州、日本、中国、インド、その他のアジア)のさまざまな意見を集約しながら取り組んでいます。これにより、グループ全体がグローバルな視点を取り込むとともに、各地域のCSRリーダーが中心となって、グローバルレベルで人権意識の啓発を行っています。

日立製作所 人権尊重の推進体制

日立製作所 人権尊重の推進体制 ・中央人権問題推進委員会を設置。メンバーには、委員長に執行役、委員に営業部門、調達部門、人財部門などの各コーポレート部門責任者を任用 ・中央人権問題推進委員会の直下に、各カンパニー・事業所推進委員会を設置。メンバーには、委員長に各カンパニー・事業所長、委員に各部門責任者を任命

欧州人権ステークホルダーダイアログ

日立グループ人権方針の策定と人権デュー・ディリジェンスの取り組みについて専門家と意見交換するため、欧州CSRチームは2013年2月にブリュッセルにおいて欧州委員会、国際労働機関(ILO)、NGO、企業、専門弁護士が参加する、欧州人権ステークホルダーダイアログを開催しました。
ステークホルダーから、人権方針は人権侵害の予防に寄与するだけでなく、人権が尊重される社会の実現に向けた企業の貢献を示すものであるべきだとする提案や意見が出されました。いただいた提案等は、「日立グループ人権方針」に反映されています。
続いて行われた人権デュー・ディリジェンスに関する議論においては、日立グループの欧州鉄道事業および電力事業の幹部が、特に施設新設時の地域社会に生じる人権問題を、指静脈認証システム事業にかかわる幹部は、銀行システムにおける顧客情報の保護の重要性を挙げました。一方、外部の専門家からは、人権影響評価の早い段階でステークホルダーや権利保有者を巻き込んでいく必要性があるとの指摘がありました。
ステークホルダーダイアログで出された貴重な提案や意見は、日立グループの人権デュー・ディリジェンスの取り組みに生かしていきます。

国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の共有

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日本での日立グループ人権ワークショップの様子

2012年7月、日立製作所本社部門、事業部門、主要グループ会社、海外地域本社のマネージャー55人を栃木県那須町に集め、NPO団体のShift*1を講師に国連で採択された「ビジネスと人権に関する指導原則」(UN Guiding Principles on Business and Human Rights)に関するワークショップを開催しました。参加者は部門や国境を越えてビジネスと人権について議論し、文化や法律の違いを理解するとともに、日立が果たすべき責任について学びました。
また、この国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に沿って、企業の人権尊重の責任についての考え方をグループ全体で共有するため、世界共通の人権eラーニングを開発しました。2013年度は、これを国内外のグループ会社で実施していきます。

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Shift:国連事務総長特別代表(当時)ジョン・ラギー博士を代表とする国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の執筆チームで構成されたNPO

中国における人権教育

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上海での人権ワークショップの様子

売上規模が大きく操業企業数の多い中国において、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき人権ワークショップを実施しました。
2012年8月、北京大学法学院梁暁暉博士を招いて、中国の日立グループCSR担当者を対象に、人権に関するCSRワークショップを行いました。30のグループ会社から約50人が参加し、「グローバル環境での企業と人権」をテーマに、「人権とは何か」「企業がもたらす人権への影響」「指導原則と企業」「日立ができること」を取り上げました。参加者からは、「人権が身近な問題だったということがわかった」「他社で発生した事例が紹介されたので、日立ではそういうことが起こらないように心がけようと思った」などの感想が寄せられました。
また、2013年2月には、香港の日立グループCSR担当者を対象に、同様のCSRワークショップを実施しました。このワークショップには、香港城市大学スーリヤ・デーヴァ博士を講師としてお招きし、13のグループ会社から14人が参加しました。

欧州での管理職向け人権研修

2013年1月、欧州のCSRチームが管理職を対象に人権研修を開催しました。「ビジネスと人権」をテーマに、管理職の理解促進をめざした前回の研修からさらに踏み込んだ内容を取り上げ、ビジネスにおける人権への取り組みの専門家であるNPO団体のShiftを講師に招き、英国とベルギーで実施しました。
研修では、まず国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の概要と企業の人権尊重の責任について学び、人権デュー・ディリジェンスのケーススタディに続いて、デュー・ディリジェンスのプロセスを体験しました。事業にかかわる潜在的または実際の人権への影響を特定し、そのリスクを評価して優先順位をつけることで、そうしたリスクに対してどのような防止、軽減あるいは救済措置を講じて対応するか、参加者が実際に検討しました。これまで想定してこなかった人権への影響について学ぶ貴重な機会となり、人権リスクに関する十分な知識をもつことの必要性や人権デュー・ディリジェンスを実施する重要性を実感しました。「日立グループ人権方針」の遂行に向けて、今後も研修を継続していく予定です。

国際的な議論への貢献

日立製作所は国連グローバル・コンパクト*1(以下、UNGC)の人権ワーキンググループのメンバーとして、先進企業の取り組みをまとめたケーススタディ集の作成や、ビジネスと人権に関するツールの開発、UNGCによって規定された人権原則の推進、および国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の理解・実行を促進する取り組みをサポートしています。
また、欧州では、欧州のCSRを推進するビジネスネットワークであるCSRヨーロッパのサプライチェーンと人権に関するワーキンググループに参加し、グッドプラクティス事例や実用的なツールを用いて、ビジネスにおける人権尊重を推進していくためのガイダンス文書を作成しています。このほか、2012年12月にジュネーブで実施された「国連ビジネスと人権に関するフォーラム」に日本企業で唯一のパネリストとして参加し、日本の人権問題の背景や日立の取り組みなどについて発表しました。
日立グループでは、今後も人権に関する国際的な議論に積極的に関与し、人権のグローバルな潮流について理解を深めるとともに、自社や業界の枠を超えて、人権尊重を推進する活動に貢献していきたいと考えています。

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国連グローバル・コンパクト:コフィー・アナン前国連事務総長により提唱され、2000年に発足した国際的協定。持続可能な社会を構築するために、人権、労働基準、環境、腐敗防止について10原則を定め、企業やNGO、市民団体等にその原則に基づいた活動を求めている

VOICES

日立の人権方針策定の取り組み

日立は今年、専門家を交えたステークホルダーの意見を取り入れながら、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則ったグループ全体の人権方針を策定しました。欧州での管理職向けの研修、グローバルCSRチーム、人財部門や事業部門が参加した日本での人権ワークショップ、中国でのCSR担当者向けの研修など、人権方針に対する理解や支持を得るための社内研修も行っています。

人権方針策定により人権への取り組みを約束することは、日立としての人権尊重の責任を実行する最初のステップです。次のステップは、社内での意識啓発やキャパシティ・ビルディングを通じて、人権方針をグループ全体に浸透させ、効果的に方針を実行に移すために人権デュー・ディリジェンスの仕組みや人権侵害が発生した場合の救済措置を整備していくことになります。

これは日立にとって大変意味のある取り組みですが、推進していくには時間を要し、とりわけ日立のように世界規模の、しかも業態が多岐にわたる企業にとってはなおさらです。今後、有意義な対話や人権の取り組みに関する計画および進捗状況をステークホルダーに伝え、その高まる期待に応えていくことが日立にとって重要となってきます。日立にはShiftのビジネスラーニングプログラムに参加していただいておりますが、人権に関する取り組みを進めていく日立への協力を今後も続けていきたいと思っています。

SHIFTマネージング・ディレクター レイチェル・デイビスの写真

Shiftマネージング・ディレクター
国連事務総長特別代表(当時)ジョン・ラギー博士の
元法務アドバイザー
レイチェル・デイビス

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