日立は、「人を大切にする心」を経営の基本としています。グローバルな事業展開にあたり、関係する国や地域の文化、価値観の理解に努め、事業活動にかかわるすべてのステークホルダーに対して、国際規範に基づく人権を尊重した企業活動を行っています。
日立では、2010年に「日立グループ行動規範」を制定しました。本規範は、各国・地域の法令を遵守するとともに、国際規範に基づく普遍的人権を尊重することを基本とし、事業にかかわるすべての人の人格と個性の尊重、採用や処遇における差別の撤廃、労働における基本的人権の尊重を明記しています。また、本規範を17カ国語に翻訳するなど、国内外の全グループ社員の人権意識の向上に努めています。
4.1 人権の尊重に向けて
(1) 人権に関する国際規範を尊重し、人権を妨害もしくは阻害するような行動に関与しないよう配慮します。
4.2 差別の撤廃
(1) 従業員の採用・処遇および商取引などあらゆる企業活動において、当事者一人ひとりの人格と個性を尊重し、性別、年齢、国籍、人種、民族、思想、信条、宗教、社会的身分、門地、疾病、障がいなどによる差別や個人の尊厳を傷つける行為を行ないません。
4.3 情報管理にともなう人権の尊重
(1)個人情報の漏えい、コンピューターウイルスや不正アクセスによる新たな問題を未然に防ぐため、情報を扱う上で人権の尊重、安全への配慮に基づいた情報モラルの確立を図ります。
4.4 労働における基本的権利の尊重
(1)企業の社会的責任に留意した雇用を推進します。従業員の雇用にあたっては、各国・各地域の法令に準拠して実施します。就業の最低年齢に満たない児童に対する児童労働や従業員の意に反した不当な労働はさせません。
(2)企業の社会的責任に留意した調達を推進し、児童労働・強制労働を行なっている企業からの調達は行ないません。
(3)各国・各地域の法令や労働習慣を踏まえ、国連グローバル・コンパクトの原則として示される従業員の基本的な権利を尊重し、経営幹部と従業員の真正かつ建設的な話し合いを通じて、お互いの問題をよりよく理解し、共同で課題解決に努めます。
日立製作所では、本社に執行役を委員長とする「中央人権問題推進委員会」を設置し、営業部門、調達部門、人財部門など各コーポレート部門の責任者が、人権侵害を未然に防止する仕組みや施策を審議しています。審議内容は、各カンパニー・事業所長をトップとする「カンパニー・事業所推進委員会」を通じて全社員に伝達し、人権侵害の防止に努めています。
日立製作所 人権尊重の推進体制

日立では、「中央人権問題推進委員会」で審議、決定された指針に基づき、グループ全体の人権意識の向上を図っています。各事業所単位で、定期的な集合研修や講演会、映像による啓発活動を行っているほか、国内グループ会社すべて(440社、26万人)を対象に人権eラーニングを3年に1度の割合で実施しています。
啓発教材は、欧州のCSR推進チームと協力し、人権先進地域における人権に対する考え方を取り入れて作成しています。また、社内外で起こりうる人権侵害問題については、コンプライアンス通報制度、セクハラ相談制度、社員の意識調査などのシステムを通じて早期発見、早期解決に取り組んでいます。さらには、定期的な経営・事業リスクの調査においてもグローバルに人権リスクの把握に努めています。
日立グループの社員の行動および事業活動が常に人権を尊重したものであるよう、グローバル企業として、高い水準の教育、マネジメントのベストプラクティスを人権に最も関心の高い地域と考えられる欧州で開発し、これをグローバルに適用しようと考えています。
欧州CSR推進チームは欧州のグループ会社とともに人権プロジェクトを立ち上げ、国連事務総長特別代表のジョン・ラギー博士の報告に基づく活動の枠組みの理解を広め実行すべく活動しています。具体的には、社員に対する人権教育を実施するほか、人権の国際規範に準拠した社内関連規則やガイドラインを制定し、事業部門を含めて具体的な活動計画を立案しています。

欧州でのステークホルダーダイアログ
2010年度は、欧州日立グループの管理職者の60%がトレーニングを終えました。また、2011年3月には、日立ヨーロッパ社が日立製作所の経営幹部出席のもと、EU委員会、国際機関、各国政府関係者、NGO代表と、人権をテーマにしたステークホルダーダイアログを実施。日立グループがグローバルな事業活動上考慮しておかなければならない人権問題への取り組みについて貴重な示唆を得ました。
VOICES グローバルに責任ある行動を

欧州議会議員
欧州議会CSR調査委員
リチャード・ホウィット氏
私は、真のグローバル企業をめざす日立の取り組みを高く評価しています。特に、鉄道やスマートグリッドといった社会イノベーション事業への注力は、日立と社会の持続可能な発展に大きな役割を果たすと考えています。同時に、日立はグローバルレベルでの責任ある行動も求められています。そうした意味において、日立が今後ますますCSRの分野でリーダーシップを発揮することを期待しています。
日立は人権への取り組みにコミットしている数少ない企業のひとつです。人権意識の高い企業文化の醸成、全社員レベルでの人権に対する正しい理解、人権に関する国際規範の遵守といった方針を明確にしています。さらには、国連の事業と人権に関するガイドラインの普及や企業の透明性向上においても主導的な役割が期待されています。
2010年に訪日した際、日立グループの事業所を訪問し、責任者や作業員の方たちと会う機会がありました。グローバルにCSRに取り組んできた私の経験の中でも大変有意義な機会でした。日立には、私のこれからの活動においても引き続き密接な協力を期待したいと思っています。