持続可能な社会を実現し、日立の社会イノベーション事業を拡大するには、世界各国政府および政策関係者との連携が重要となります。渉外活動を通じて、日本をはじめ世界各国・地域の政府、団体との対話に努め、最適なソリューションを提供していきます。
世界各国・地域の政策決定に積極的に関与し、最適な社会インフラ構築に貢献することを基本方針としています。なかでも、日立が得意とする環境やスマートシティを重点分野とし、政府関係者、政策立案に影響力をもつ研究機関やNGOなど、さまざまなステークホルダーとの対話を通じ、日立グループの抱えるリスクを早期に発見するとともに、政策に対して適切な提案を行い、社会の期待に応えていきたいと考えています。
日立では、これまで情報通信事業や海外事業などにおいて、それぞれの部門が個別に渉外活動を行っていましたが、これらを一元化し強化していくために、2009年度に日立製作所本社に渉外本部(発足時、渉外推進室)を設置しました。海外では、米国のワシントンとベルギーのブリュッセルに事務所を置き、それぞれ欧米の政策動向を調査しています。主な渉外活動としては、各国・地域の政府へのロビーイング、コミュニケーションをはじめ、政府主催の研究会、審議会への参画、国際機関、官公庁、社外団体に対する人材派遣を通じての政策立案への貢献、WBCSD(持続可能な発展のための世界経済人会議)などの国際団体への参画があります。こうした活動は、日立グループ渉外部門連絡会議を通じて、グループ全体に報告しています。
日立の渉外推進体制


アジアでのステークホルダーダイアログ
日立では、定期的に国内外で実施しているステークホルダーダイアログに地域の政策担当者を招き、社会課題を解決するため官民協力のあり方や企業の政策への関与などについて、幅広く意見交換をしています。社会課題がグローバル化し、さらには複雑化しているなか、政府や国際機関、NGO、企業の枠を超えたダイナミックな連携が必要とされています。日立は、さまざまな分野のステークホルダーとのダイアログを通じて、政策への関与についても透明性を確保し、社会課題を多面的に捉えながら、企業として貢献できる分野を見極めていきたいと考えています。
経済産業省(以下、経産省)では、地球温暖化対策の一環として、日本が優位性をもつ製品・技術(省エネ製品、高効率石炭火力等)が現行の「クリーン開発メカニズム(CDM)」のもとでは十分に活用されていないとして、新しいクレジット制度を検討しています。これに対して、日立製作所はグループ会社と連携し、グループがもつ省エネ製品やソリューションを通じて寄与していきたいと考えています。2010年10月の経産省の同分野における事業性調査公募で、「モルディブ共和国における(株)日立プラントテクノロジーの海洋深層水多段利用システムの導入によるCO2排出削減検討事業」が採択されました。
日立は、スマートグリッドを基盤に次世代技術を駆使した、環境負荷の低い次世代都市の実現に向け、さまざまな事業を推進しています。
2010年度には独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)により設立されたスマートコミュニティ・アライアンスに幹事会社として参加しました。スマートコミュニティ事業については、国内のみならず中国、スペイン、ハワイなどにおいて、経済産業省、国土交通省、NEDOなど政府関係機関の支援をいただき、調査・実証等を推進しています。
日立ヨーロッパ社と日立製作所は、「欧州社会が抱える課題に科学技術を通じていかに貢献できるか」を討議する場として、1998年度より「EU-日立 科学技術フォーラム」を開催しています。

EU-日立 科学技術フォーラムでのパネルディスカッション
2010年5月、日立創業100周年を記念して開催した本フォーラムでは、「持続可能な社会のためのスマートなエネルギー利用」をテーマに、講演やパネルディスカッションなどを行い、企業関係者、政府関係者、大学・研究機関の研究者をはじめとする産官学の有識者やNGO関係者など約140人が参加しました。日立グループは、ハイブリッド鉄道車両や環境配慮型データセンター等、低炭素社会の実現に寄与する技術を紹介しました。パネルディスカッションでは、「エネルギー効率の高い社会とそれを支える技術およびその技術を実現するための政策」をテーマに活発な議論が交わされました。
本フォーラムの結果を報告書にまとめ、欧州委員会、欧州各国の政府関係者、日立のビジネスパートナーと共有しています。