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社会貢献活動

社会貢献イブニング講座:第22回
「チャリティ上映第3弾『架け橋 きこえなかった3.11』
~災害時における情報格差について考える~」

2015年3月10日(火)18:30~20:45

  • 人づくり
  • 地域貢献
  • ボランティア支援

2013年度に実施し、好評を博した「社会貢献イブニング講座」チャリティ上映第1、2弾に引続き、チャリティ上映第3弾として、今回上映したのは、被災地で聴覚障がいのある方に取材をしたドキュメンタリー映画「架け橋 きこえなかった3.11」です。
「津波警報が分からなかった」という聴覚障がいのある方の言葉。警報が伝わっていれば、もっと助かっていた命があったかもしれない事実。あまりテレビや新聞で報道されていなかった聴覚障がいのある方たちの実状を世の中の人たちに伝えるため、被災したろう者の方々への取材に基づき、この映画は制作されました。 上映後には、ご自身も聴覚障がいのある今村監督に、情報格差や人と人とのつながり、「架け橋」というタイトルに込めた想いなどをご講演いただきました。

会場の様子

会場の様子

「架け橋 きこえなかった3.11」

この映画は、ご自身も聴覚障がいがある今村監督が、被災地における聴覚障がいのある方の実状を世の中の人たちに伝えるため、震災11日後に宮城県を訪れ、2年4ヶ月かけて宮城県ろうあ協会(現:一般社団法人 宮城県聴覚障害者協会)の会長や、避難所に足を運び被災したろう者の方々に取材を行い、制作されました。
映画のタイトルとなっている「架け橋」は、宮城県ろうあ協会の会長である小泉さんのお宅に監督が泊めていただいた際に見た、協会の会報誌の名前です。人と人をつなぐ架け橋のような仕事をしているからだと伺い、感銘を受けた監督はその言葉をタイトルにしたとのことでした。また、監督が編集で行き詰まっているときに福島で「架け橋」という日本酒に出会い、そのラベルのロゴをそのままタイトルに使わせてもらっています。 この映画には、「宮城県と全国各地を、そして今は人と人を結ぶ『架け橋』となるように」という想いが込められています。

映画「架け橋 きこえなかった3.11」

映画「架け橋 きこえなかった3.11」

聞こえないからできないと思うことが障がい~今村彩子 監督~

上映後は、出演者のその後の映像も交えながら、今村監督にご講演いただきました。
「情報格差をなくすことは、とても難しいことです。聴覚障がいのある方のために、文字で情報を伝えようとすると、視覚障がいのある方は困ります。聴覚障がいのある方と視覚障がいのある方にそれぞれ情報を伝えようとすると、聴覚と視覚の重複障がいがある盲ろう者の方が困ります。日本語で伝えても、日本語がわからない外国の方もいます。全ての人に完璧に伝えようとしても、必ず困る人がいます。では、できるかぎり情報格差をなくすためにはどうしたらいいのでしょうか?自分の家族や身近な方を守るためにはどうしたらいいのかと考えて対応する方が現実的なのではないかと思います。そのためには、まわりの人たちとのコミュニケーションやつながりが一番大切です。」

ご講演の様子

ご講演の様子

映画の出演者の中には、聴覚障がいがある方で文字が読めない方もいます。それでもその方は仮設住宅の生活の中でいろいろな人たちと積極的にコミュニケーションをとっています。電話はできないがFAXはできる、と明るく言う出演者もいます。監督はそういう出演者に出会い、聴覚障がいがあることをコミュニケーションができない理由にしていた自分が恥ずかしくなったのだそうです。聴覚障がいのある方が健聴者の中にはいっていくことはとても勇気が必要です。しかし、コミュニケーションをとっていくうちに距離がだんだんと近くなることを感じてくるのだといいます。「『聞こえないからできない』のではなく、『聞こえないからできないと思うことが障がい』なのだと思います」とお話くださいました。

今村彩子監督

今村彩子 監督

コミュニケーションについて、監督ご自身のエピソードもお話くださいました。
自宅の近所の朝市にいったときに、お店の方に話しかけられ、「わたしは耳が聞こえない」と言ってそれっきりになってしまったことがあったそうです。友人にそのことを話すと、「あなたは自分のことしか考えていない。いきなり耳が聞こえないと言われれば誰でもビックリする。その後に『紙に書いてもらえればわかります』とか『ゆっくり話してもらえればわかります』とか伝えればいい」と言われたそうです。監督はその通りだと思い、後日、そのお店の方にその内容を手紙に書いて渡しました。そうすると、お店の方はゆっくり話してくれ、監督はお店の方とコミュニケーションがとれて、とても嬉しかったのだそうです。

日立グループろう社員による手話案内グループ~TEAM SWAN~

今村監督のご講演の後、日立グループのろう社員による手話案内グループ「TEAM SWAN」の活動をリーダーの田中氏より手話でご紹介いただきました。
TEAM SWANは2005年に日立グループろう社員みずから立ち上げた手話案内グループであり、設立以来、ろう社員が聴覚障がいのある方へ手話で案内・説明をするサービスを行っています。メンバーは、日立グループの展示会やイベントをはじめ、社会貢献部が行っているユニバーサルデザイン出前授業や科学技術館における手話案内などでも活躍しています。

TEAMSWANのリーダー田中英之氏

TEAM SWANのリーダー 田中英之氏

事務局より

今回の上映会は、参加費を一人500円とし、事務局も合わせて日立グループ従業員63名分31,500円を「架け橋 きこえなかった3.11」に協力している一般社団法人 宮城県聴覚障害者協会へ寄付いたしました。
今村監督は、これまでの作品に共通している人々のつながりやコミュニケーションをテーマに、今後は自転車で日本を縦断して、いろいろな地域の方たちと触れ合いながら沖縄まで行くという映画を撮ろうと考えているのだそうです。

手話通訳をしていただいた「架け橋 きこえなかった3.11」の宣伝プロデューサー阿久津真美氏(左)と今村彩子監督(右)

手話通訳をしていただいた「架け橋 きこえなかった3.11」の宣伝プロデューサー阿久津真美氏(左)と今村彩子監督(右)

東日本大震災からもう4年になります。震災を「忘れない」「風化しない」はもちろんですが、今回の映画と監督のご講演を通して、いまだ多くは知られていない被災地における障がいのある方の実状を知り、命にかかわる情報の格差、災害時に弱者となりうるさまざまな方たちとの関わり方、そして人と人とのつながりの大切さについて、ひとりひとりが改めてもう少し深く考えてみるきっかけになったのではないかと私たち、日立は考えます。

事業所・グループ会社 日立製作所
講演者 「架け橋 きこえなかった3.11」 監督 今村彩子 氏
場所 日立製作所 秋葉原ダイビル 18階 大会議室
参加者 日立グループ 従業員 57名
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